節分とは?何をする?由来や食べ物、地域ごとの違いは【専門家監修】
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2月初めの節分。豆まきをしたり、恵方巻きを食べたりと、楽しい時間を過ごすご家庭も多いのではないでしょうか。年中行事は、由来や歴史、地域ごとのさまざまな風習を知ることで、いきいきとした学びにもつながるもの。
今回は、島根県立大学で民俗学を研究する中野洋平准教授監修のもと、節分の由来や地域ごとの違いについて解説します。また、節分の過ごし方についてのアンケート結果もご紹介。
お子さまとぜひチェックしてみてくださいね。
そもそも節分とは?
2月の節分に行う豆まきは、立春の前日に行われる年中行事です。立春の前日である2月3日に行われることが多いです。
立春前日に行う諸行事は、旧暦では正月行事の一環として実施されていました。正月行事とは、「年が改まる時期」に際して実施される行事の総称です。旧暦においては、立春が1月1日前後にあたります。さらに、立春は二十四節気の最初にあたる節目、つまり1年の初めの節目です。なので立春前日の節分は、年が改まる節目でもありました。
現在の私たちには実感しづらい感覚ですが、かつては、暦(月日)で1年が改まると同時に、二十四節気で年が改まるという、二重の新年があったのです。年の数だけ豆を食べるという風習があるのも、新年に行っていたためです。
節分の豆まきの由来
節分の豆まきは、中国から伝来し、宮中の年中行事となった追儺(ついな)が起源といわれます。追儺は、疫病の象徴である鬼を追い払う行事のこと。
宮中の追儺は晦日(みそか)つまり12月末日、1月1日の前日に実施されていましたが、12月晦日の追儺が宮中以外に広まるに従って、二十四節気における新年と考えられていた立春前日の節分にも実施されるようになりました。
節分では何をする?定番の食べ物は?
節分には、邪気を払い1年の無病息災を願うため、豆まきをしたり、最近では恵方巻きを食べたりするのが一般的です。それぞれの由来や方法を見ていきましょう。
豆まき
「鬼は外、福は内」と言いながら、煎った豆をまく豆まき。病気や災害など悪いものを象徴する「鬼」を追い払い、福を呼び込むことを目的としています。
豆まきの由来
鬼を退治するために豆をまくようになったのには、中国から伝わってきた「追儺(ついな)」という行事が関係しています。「追儺」は、災いの象徴である鬼を「方相氏(ほうそうし)」というキャラクターが追い回す行事でした。
日本に伝わってきた当初は、桃の弓やわらの矢を用いたり、鼓を鳴らして鬼を追い払っていたようですが、いつのころからか豆をまくようになりました。豆をまくようになった時期は定かではありませんが、南北朝時代には「鬼は外、福は内」と言いながら豆まきを行っていたことが文献にも記録されています。
なぜ豆で退治するようになったのかにも諸説ありますが、鬼を滅ぼすという意味の「魔(ま)を滅(めっ)する」が「魔滅(まめ)」となり、「豆」につながったといわれています。
豆まきの方法
- 福豆(煎り大豆)を準備する
- 豆をまく人を決める
- 家長や年男、年女などが行うのがよいといわれていますが、行事を楽しむために家族全員で豆をまく家庭が多いようです。
- なるべく夜に行う
- 鬼は夜にやってくるといわれているため。
- 「鬼は外、福は内」と言いながら豆をまく
- 自分の年の数だけ豆を食べる
- 地域によっては、自分の年齢より1つ多く食べることも。
※5歳以下のお子さまの場合は、豆がのどに詰まりちっ息につながる可能性があるため食べさせないでください。
硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで!|消費者庁
恵方巻き
節分の日に恵方巻きを食べるのは、もともとは関西を中心にした風習です。しかし、最近では、全国に広まりつつあります。
恵方巻きは、縁起がよい食材を用いた太巻きのこと。その年の恵方(縁起がよい方角)を向いて1本丸ごと黙って食べると願いがかなうといわれています。次のルールを守って、食べるようにしましょう。
- その年の恵方を向いて食べる
- 1本丸ごと一気に食べる
- 幸福や商売繁盛を一気にいただくことができるよう、カットせずに丸ごと一気に食べるのがよいといわれています。
- 話さずに黙って食べる
- 話すと運が逃げていき、ご利益がなくなるといわれています。
地域ごとに違う!節分の豆知識
節分に何をするかには、地域ごとの違いもあります。まく豆や食べる物など、それぞれの特徴を見ていきましょう。
まく豆の違い
北海道、東北、新潟県や宮崎県、鹿児島県などでは、煎った大豆ではなく、落花生をまく地域も多く見られます。北海道では、1950年代ごろから落花生をまくようになったようです。なぜ落花生をまくのかの理由は明らかになっていませんが、殻がついているため床や地面に落ちたものを食べても衛生的に安心であることが関係しているのではないかといわれています。
食べる物の違い
- イワシ:西日本の一部地域
イワシを焼くときに出る煙やにおいで、鬼が寄りつかないとの考えから、西日本の一部ではイワシが食べられています。また、食べるだけでなく焼いたいわしの頭とヒイラギの葉を玄関や門に飾ることも。これは、イワシのにおいで鬼を防ぐことに加え、ヒイラギの鋭い葉で家の中をのぞこうとする鬼の目を突くという意味があるんだとか。
参考:節分にイワシを飾る理由 節分に食べるもの - ミライ科 - 進研ゼミ中学講座ブログ - けんちん汁:関東地方の一部
関東地方の一部では、節分にけんちん汁を飲んで体を温める風習が見られます。関東で飲むようになったのには、神奈川県鎌倉市にある建長寺でけんちん汁が生まれたことと関係があるとの説も。建長寺では、今でも節分会でけんちん汁が振る舞われています。 - 鯨:山口県や島根県の西部
大きい物を食べると縁起がいいとして、山口県や島根県の西部では鯨を食べる風習があります。鯨の大きさに、大きな幸せや大きな成長、大きな志を持つことなどへの願いを託しているんだとか。
参考:<大晦日(おおみそか) 年越し ・節分>鯨飯(くじらめし) | 全国学校栄養士協議会 - こんにゃく:香川県など四国の一部
香川県など四国の一部では、食物繊維が豊富で腸内環境を整えてくれる効果のあるこんにゃくを食べる風習があります。こんにゃくを食べることを、体の中を掃除することにたとえて「1年の砂おろし」と呼んでいるとか。
参考:こんにゃくの白あえ 香川県 | うちの郷土料理:農林水産省
節分はどう過ごす?アンケートで聞いてみた
豆まきや恵方巻きに加え、地域ごとにさまざまな風習がある節分。各家庭では、どのように過ごしているのでしょうか。保護者のかたにアンケートで昨年の節分はどう過ごしたかを聞いてみました(※1)。
※小数点以下を四捨五入しているため、合計が100%にならないことがあります
節分に豆まきをした家庭は69%。豆まきは、多くの家庭で行われる行事となっているようです。フリーアンサーで寄せられた声からは、各家庭で工夫して節分を楽しんでいる様子が伝わってきました。
- 「福は内〜」とせんぐまき(注:餅まきのこと)のように豆とお菓子をまきます!おやつ争奪戦⁉︎(小学4年生/中学2年生のお子さまの保護者・宮崎県)
- 豆まきはもちろん、ヒイラギにイワシを指して玄関に飾り、太巻きも毎年自分たちで作って、願い事をしながら丸かじりしています。(小学3年生のお子さまの保護者・香川県)
- 家族で順番に鬼役、豆を投げる役をしました。恵方巻きも食べました。(小学4年生のお子さまの保護者・群馬県)
- 某豆菓子の個包装特大パックを部屋中にまき散らした。(小学1年生/3年生のお子さまの保護者・静岡県)
豆だけでなくお菓子もまいて楽しさをUPさせたり、豆が汚れないように個包装のものをまいたりと、各家庭の工夫が参考になりますね。
まとめ & 実践 TIPS
親しみのある行事でも、由来や風習、地域ごとの違いを知ると、新しい気付きや学びも多いもの。お子さまと一緒にチェックして、節分をよりいっそう楽しく過ごしてみてはいかがでしょうか。
(参考)
第1章 節分と豆まき|本の万華鏡(国立国会図書館)
(出典)
※1
節分についてのアンケート
調査地域:全国
調査対象:小学生・中学生・高校生のお子さまをお持ちの保護者のかた
調査期間:2023年1月30日~2023年2月9日
調査手法:WEBアンケートによるベネッセ調べ
有効回答数:71名
https://benesse.jp/qa/nayami/20230130-2.html
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