社会性は、「親子関係」の中で育まれていく ボーク重子さんに聞く!これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方 ~Lesson12 社会性

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ライフコーチのボーク重子さんに、子どもの「非認知能力」の育み方について、連載でお伺いしています。第12回の今回は、社会の一員として、コミュニティーの一員として、自分のことを認識する「社会性」についてのお話です。

この記事のポイント

【保護者のかたのお悩み】
Q.子どもが発表会や班活動などの時に、みんなで協力してひとつのことに取り組んだり、何かを作り上げたりすることが苦手なようです。どうすれば集団行動がうまくできるようになりますか。

集団には「ルールがあること」を教えるだけでいい

「集団行動」の在り方は、時代によって変わっていくので、「うまくできる」ことにこだわる必要はないと思います。
大人になるにつれ、他者との向き合い方もだんだんわかってきますし、今すぐ親が教えられるのは、「コミュニティーや集団の中には、ルールがある」ということだけでいいでしょう。

集団にうまく適合できる子もできない子もいて当然ですので、親は「集団行動ができないからダメな子だ」とジャッジはしないことです。大事なことは、子どもにうまく立ち回らせることではありません。

自分が大事にされていることがわかると、相手も大事にできる

社会性を育むためには、0歳から始まる家庭のなかでの「親子の関係」が大事だと思います。人は自分が大事にされていることがわかると、相手も大事にすることができます。だからこそ、親子のスキンシップ、愛着形成がとても大切です。

私が子育てで「やり直したい」と思うことがひとつあります。それは、娘が赤ちゃんの時に、一緒に寝てあげなかったことです。娘が生まれたころのアメリカでは、「赤ちゃんのころから親子は違う部屋で寝る」ことが主流でした。でも今もし子育てをやり直すことができたら、その一般論にとらわれずに、一緒に寝たいですね。赤ちゃんなのですから、一人は不安だったのではないかと思うのです。

日本でもよく、「小学生になったら、一人で学校に通えるようにしてください」と言われると思いますが、子どもが一緒に通ってほしいと言うのであれば、子どもが「もう一人でいい」と言うまで、一緒に通ってあげればいいと思います。人の成長はそれぞれですし、家庭環境も違います。それをあえて突き放すことが、「社会性を身に付ける」ことにはならないのではないかと、今は思います。

まずは家庭でどれだけ子どもに愛を与えてあげられるか。たっぷりスキンシップをして、「人(他者)というのは大事な存在だね」ということを、言葉だけでなくて、非言語で、子どもに伝えていくことが大事ではないでしょうか。

親子の関係が、そのまま外での「社会性」に表れる

親子のスキンシップのよさは、コミュニケーションが増えることです。
私たちは、人間関係を「コミュニケーション」によってつくっていきます。ですから、小さいうちから親子でたくさんコミュニケーションをとるということは、人間関係を築く、とてもよい練習になります。

また子どもの話を親がよく聞いてあげることも大事だと思います。そして子どもが何でも言えるような環境が家庭にあるとよいですね。
そういった環境で育つ子どもは、相手の話をきちんと聞くことができますし、自分の考えだけを押し付けるのではなくて、「相手にも言い分がある」と考えることができるようになりますので、良好な人間関係を築いていくことができます。

これこそが、「社会性」です。
世界で最小単位のコミュニティーは、「家族」です。
そこでの社会性が、そのまま外に出ていくと考え、大事にしてほしいと思います。

自分を自分で管理できる子に育てる

自分の行動や感情を管理できないと、人間関係がうまくいかずに、社会で生きづらくなってしまいます。その時に大事なのは、「自分を管理する」力です。
これは、親の「しつけ」でもあります。しつけをすることで、子どもはルールを守れるようになります。それでは、しつけとは何でしょうか。「叱ってやめさせる」ことでしょうか。私はしつけとは、そういうものではないと思います。

叱ってやめさせるだけでは、恐怖で子どもをコントロールしているだけです。子どもが怖いと思わなくなり、叱られてもいいやと思うようになれば、とたんに機能しなくなります。だからこそ、子どもが自らルールを学び、理解する必要があります。それがしつけです。また、ルールを理解するとともに、「自制心」を持つことも大切です。

自制心は、「我慢すること」と教えがちですが、それよりも「その先にあるいいことや未来のために、今やるべきことを考えて行動すること」だと教えると、子どもも受け入れやすくなるでしょう。

親が自分を律する姿を子どもに見せる

先ほども話しましたが、社会性は、家庭のなかで育むことができます。
普段の生活のなかで、おうちのかたもイライラして、子どもをつい怒鳴ってしまうこともあると思います。そういう時は、自分も悪かったと思えば、子どもに対してきちんと謝るとよいでしょう。

子どもと違い、大人はつい自分の感情で怒鳴ってしまったり、悪いことをしたりしてしまっても、叱ってくれる人がいません。だからこそ、自分が自分を律して、子どもに対しても悪いことをしたと思ったら、必ずその場で謝るというのが大切です。そういった態度は、子どもに伝わり、悪いことをした時には、きちんと謝れる子になりますし、他者の痛みがわかる子になります。そういったことの積み重ねで、社会性は高められると思います。

まとめ & 実践 TIPS

子どもの社会性を育むためには、まずは親が子どもを大事にすることが大切だとわかりました。自分が大事にされていることがわかると、子どもも他者(相手)を大事にできるようになるそうです。良好な親子関係が、子どものこれからの人間関係、社会性にもいい影響を与えそうです。

撮影/奥本昭久


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子どもを幸せにする非認知能力の育み方

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プロフィール


ボーク重子

ICF会員ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。米ワシントンDC在住。30歳の誕生日を前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強で訪れた南仏の語学学校で、米国人である現在の夫と出会う。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上でオバマ元大統領(当時は上院議員)とともに、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在は、全米・日本各地で《非認知能力を育む子育て》《新しい時代のキャリア構築》についてコーチングと講演会を開催している。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など shigekobork.com 東京FMラジオ局のAuDee (Iphoneアプリ)、マイスタジオにて「ピンクdeワオ:自己肯定感コーチング」毎週月曜日から金曜日朝6時配信中。

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