「全米最優秀女子高生」を育てたボーク重子さんに聞く、子どもの習い事、何をさせる?  やめたいと言われたときはどうする?

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全米の大学奨学金コンクール「全米最優秀女子高生」のグランプリに輝いた娘のスカイさんは、どんな習い事をしていたのでしょうか? また、その習い事を選んだ理由とは? 子どもに習い事をさせる本当の理由を、ボーク重子さんに聞きました。

子どもが何に興味があるのか、パッションを探す手伝いをする

粘り強さというのは、つまり自分との関わりです。嫌なことを粘り強くやるのは、大人でもなかなか難しいこと。人間は楽しいからこそ、自分にとって意味があるからこそ続けられます。大人がやるべきことは、子どもが好きなことを見つける手助けをすることだとボークさんはいいます。

「大人と子どもの決定的な違いは経験値です。大人は色々なことを経験しているし、情報収集能力もあります。大人がすべきことは、子どもの経験値をあげてあげること。子どもに、“何をしたい?”と聞いても、彼らは人生の経験が限られているし、情報も限られています。子どもは自分が知っている中でしか選べません。大人の役割は、そのベースを広げてあげることです。
そのひとつにお稽古や習い事があります。人より秀でるためや、何かのために役立つからではなく、子どもの好奇心を育んだり、パッションを見つけたりなど、主体性を育むためのものです。何事も実際にやってみなくては本当に好きかどうかがわからないので、トライアルという気持ちで気軽に始めてみましょう。いろいろなことを試すために短い期間でやるのがおすすめです。習い事を始めてみて、子どもが“もうちょっとやってみたい”と言うのであれば続けさせます。“全然楽しくない”と言ったら、潔くやめて次のことを始めましょう。

お稽古に関する、子どもの観察ノートを作ることをおすすめしています。すごく楽しそうだった、またやりたいと言っていた、など、子どもの様子をちゃんと書いておくとあとから振り返って気付くこともできます。子どもがまたやりたいと言ったことは、機会を増やしてみること。時々、“うちの子は飽きっぽくて、何をやらせてもすぐにやめたいと言うんです”という相談を受けますが、子どもが飽きっぽいのではなくて、まだ本当に好きなことが見つかっていないだけ。いろいろなことを試す中で、好きなことが見つかるはずです。声かけとして注意することは、“これをやりなさい”という言い方をすると、子どもの主体性がなくなってしまうので、自分で決めさせること。“こういうのがあるから、どう?”と、あくまでも提案するという形で導いてあげてください。また、親子で一緒にやるというのもおすすめです。 “ママ、このボランティアに行ってみたいんだけれど、一緒に行かない?”という誘い方はいかがでしょうか? 自分でやりたいと思ったからやると決めた、というふうに子ども自身が思うことが重要です。」

また、習い事を通して、自制心を育むことができます。

「自制心とはやりたくないことを我慢してやるという力ではなく、先を見越す力。目標のために先を見越して、前向きにがんばる力です。目標が大きすぎたり、遠すぎたりすると、見越すハードルが上がりすぎるしモチベーションを保つのも大変になってくるので、発表会など、目標を近くにそして小さく設定してあげましょう。目標づくりや、その先にあるものを見せてあげることは親の役割です。これをやったらこうなる(こんないいことがある)、というのが可視化されると、わかりやすい目標になります。たとえば、エクササイズもそうですよね。想像しやすい目標を見せてあげることで、モチベーションにつながります。」

3歳のときから続けていた習い事を辞めたい、と子どもに言われた時

「習い事に関して、娘のスカイの例を話しますね。3歳のときからプライベートのコーチをつけて、スケートを習っていました。競技会にも出て優勝するなど、ぐんぐん伸びていたのですが、6歳くらいのときにジャンプの練習が始まったんです。練習する娘の様子を見ていると、ジャンプをするときにちょっとだけ躊躇する間があることに気が付きました。しばらくして、娘から、“スケートをもうやめたい。実はジャンプが怖い”と打ち明けられました。正直言うと、もったいないという気持ちもありました。ここまで何年も続けてきて、しかも競技会に出て結果も出ているのに……。ジャンプに対する恐怖心を克服してこそ伸びるんじゃないか、という考え方もあったと思うのですが、娘と話し合って、とりあえずスケートを1か月お休みすることにしました。もし、怖くても本当に好きならスケートがまたやりたい、と娘が言いだすと思ったからです。怖くて好きでもないのなら、このままやめることになってもしかたがないと思いました。それを決めるのは私ではなく娘です。
 結局、娘は二度とスケートをやりたいとは言いだしませんでした。スケートと並行して、バレエも習っていたのですが、娘はバレエが好きで大人になった今でも続けています。バレエは骨格的に優れている子がたくさんいて、スケートのほうが娘には向いていたと思うけれど、私や周りがどう思うかよりも本人が決めた好きなことを続けさせるべきだと私は考えました。怖い思いをして好きじゃないことをして勝っても、あまり意味がないと思ったんです。だったら、負けてもいいから好きなことをやったらいいと私は思います。好きで自分にとって意味のあることだからこそ結果を受け止めて進んでいける。そうやって非認知能力が高まっていくのです。」

一回目
ボーク重子さんに聞く、非認知能力を伸ばすために家庭でやるべきこと

二回目
非認知能力で最重要!「自己肯定感」を育むために、親が知っておきたいこととは?[ボーク重子さんに聞く]

まとめ & 実践 TIPS

習い事やお稽古を通じて、子どものパッションを探しましょう。一度始めたことは、簡単にやめてはいけないという考えで始めるのではなく、トライアルの気持ちでいろいろなことを経験させることが肝心です。子どもがやめたがったときには、無理して続けさせるのではなく、すっぱりとやめて、また新たな違うことにトライさせてください。好きなものが見つかれば、子どもは自ら続けたがるものです。

プロフィール


ボーク重子

ICF会員ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。米ワシントンDC在住。30歳の誕生日を前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強で訪れた南仏の語学学校で、米国人である現在の夫と出会う。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上でオバマ元大統領(当時は上院議員)とともに、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在は、全米・日本各地で《非認知能力を育む子育て》《新しい時代のキャリア構築》についてコーチングと講演会を開催している。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など shigekobork.com 東京FMラジオ局のAuDee (Iphoneアプリ)、マイスタジオにて「ピンクdeワオ:自己肯定感コーチング」毎週月曜日から金曜日朝6時配信中。

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