不登校の子どもが「進級(進学)したら学校に行く」と言うのを信じてよい? 本当に行けるようになる?[不登校との付き合い方(19)]

4月からの新入学、新学期のクラス替えで、子どもたちの環境はガラリと変わります。仲のいい友だちと離れてしまい不登校になったりする一方で、不登校だった子が「学校に行く」と言い始めたりすることも。子どもには、楽しく学校に通ってほしいと思っている保護者ができることは? 「不登校新聞」編集長の石井志昂さんにお話を伺いました。

この記事のポイント

学校へ行きたくない原因がわかっていれば、そのことを学校へ手紙で伝えて

進級や進学のタイミングで、これまで不登校だったけれど登校しようとする人、変わらず学校に行かない人それぞれです。ただ、また1年間ずっとそのままなのか、というとそれもケースバイケースです。

いじめがあって不登校になった場合で、たとえば前のクラスではいじめにあっていたけれど、クラス替えになったら変わるかもしれないという子どももいます。いじめるのが誰なのかわかっている場合なら、時期を問わず、ぜひそのことを学校へ伝えておいてほしいです。
例年2~3月頃には、次年度の計画を先生たちが綿密に練る時期なので、クラス替えが予定されている場合は、そのときまでに要望を伝えておけるとよいでしょう。
不登校になっている場合は、その原因を取り除くために優遇して考えてくれる可能性が高いでしょう。いじめがあるような状態で学校行っても傷つくだけだということは、わかっているわけですから。

要望を学校へ伝えるときは、口頭で伝えるだけでなく、手紙に書いてください。渡す先は担任、または学年主任へ。このとき、手紙は封筒に入れてしっかり封をして渡してください。いじめている子やいじめられている子の氏名が広まったりしないよう、手紙が先生以外の人の目に触れないように、プライバシーの配慮をお願いします。

保護者に直接、すぐにこうしますといった答えはないと思いますが、考慮してくれるはずです。学年会議に上げて検討するので、紙に書かれたものがあると効果的です。口頭で伝えただけでは、担任のフィルターがかかっているのではと周りに思われてしまうこともあるからです。

そして、もし望んだとおりのクラス替えになったからと言って、子どもに登校を無理強いしないでください。「せっかく希望を通してもらったんだから」と親が重圧をかけるようなことはやめてほしいと思います。最も大事なことは、子どもからみた「よい環境」です。大人はついつい登校することだけを求めてしまいますが、学校へ行くことだけがよいのではないこともしばしばある、ということは忘れないでください。

「学校へ行く」と言いつつ行く様子がない子ども。でもその言葉は嘘じゃない

進学して心機一転、通学し始めたけれど、すぐに行けなくなることもあります。たとえば、なくなるはずと思ったいじめが、やはり継続していたとか、学校の先生に「がんばれ」といわれて、がんばろうとするあまり、かえって疲れて苦しくなってしまうという人もいます。

こうした理由がなくても、「4月からは学校に行くよ」とか「5月の連休明けから行く」と言ったのに、ぜんぜん行くそぶりもないまま、ずっと昼夜逆転生活を続けている場合もあります。保護者から見ると、勉強もやると言ったのにやってないし、何もしようとしていないと映るでしょう。

こうした場合でも、「4月から行く」という宣言は、うそをついたわけではありません。理解してあげづらいかもしれませんが、言ったときには行く気はあるんです。ただ、不安も大きいので、学校の勉強の準備がほんとうにできなかったりします。

深層心理的には、「4月からは行くから、3月までは休ませて」と思っている部分もあります。だから、学校へ行く準備をしていない子に「なんで何もしないの!」と問い詰めると、本人は内心焦っているので、焦りが倍増してしまい、ますますどうにもならなくなります。こうして親子ともに別方向で苦しんでしまうことになるわけです。

心のどこかに、こう言っておけば家族にうるさく言われないから、という気持ちもなくはないでしょうけれど、それよりも自分で自分に「学校へ行こう」と言い聞かせている部分もあるのだと思います。宣言したときの「学校へ行く」という決意は本物です。

「学校へ行くこと」をゴールにしないで。本人の「納得」が大切

こうして、やはり学校へ行けなかったときに、保護者としては「行くって言ったじゃないか」と責めないでほしいと思います。学校で学び育つことがいちばん正解であるという考え方をまず外してもらったほうがいいでしょう。これは、「本人の納得」を大事にしてほしいからです。

4月から学校へ行くと宣言したけれど、それでも行けないのは、本人が納得した上での失敗です。苦しいけれど、まわりがそれで責めなければ、次の一歩へつながっていくはずなんです。受験で失敗したときも同じですよね。自分で決意して臨んだのにうまくいかなかったとき、保護者としては「それはつらかったね」と、心を砕いて寄り添うしかないのだと思います。

まとめ & 実践 TIPS

不登校の子ども場合、進級・進学のタイミングで「学校へ行く」と言い出すことがあります。それでも、やはり行けなかった、行ったけれどまたすぐ不登校になった場合に、大人は「行くと言ったじゃないか」と責めないであげましょう。子どもが自分で悩みぬいて出した結論だからです。また、いじめなど不登校の原因がわかっているなら、新学期が始まる前に、学校へクラス替えなどの要望を手紙で伝えることも大切です。

プロフィール

石井志昂

石井志昂

『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、400名以上の取材を行っている。

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