いつまで川の字で寝る? 【後編】4歳を過ぎたらひとり寝を考える
小さいころは添い寝をしているご家庭が多いと思いますが、お子さまに個室を与え、ひとり寝へと移行するタイミングはいつごろがよいのでしょうか。教育学博士の篠田有子先生に聞きました。
ひとり寝を始めるのは自我が生まれる4歳~小学1年生がベスト
私が研究を始めたころ、小学5、6年生の75%、中学生では95%が保護者から離れて寝ていました。近年、ひとり寝をする年齢がだんだん遅くなっているように思います。お子さまが少ないことも影響しているのかもしれませんが、子離れがなかなかできない、母親が父親との関係よりも、子どもとの関係を重視しているといった背景が考えられます。父親も、そうしたお子さまと母親の関係を優しく見守っている傾向にあるようです。
ただ、お子さまを自立させるという観点から考えた場合、4歳から小学1年生くらいに子どもに個室を与え、ひとり寝をさせることを推奨しています。このころから準備しておけば、寂しくなったら両親のベッドに潜りこむこともできますし、泣いて訴えることもできるからです。甘えん坊のお子さまもいるかもしれませんが、らせん階段を上るように一進一退を繰り返しながら、前へと進んでいきます。
一方、中学生のころになってから個室を与えた場合、不安や心配事があっても、保護者のベッドに潜りこむなんて、したくてもできないという年齢に突入しています。不安や心配事があると、学力だって上がりませんし、やる気も出てきません。ひとり寝デビューはできるだけ早いうちから準備しておくことが、自立を考えたうえではスムーズだと言えます。
◆篠田先生に聞く! ひとり寝アドバイス
Q1.もう既に小学3年生です。いつからひとり寝させればよいですか?
A1.学期の始まりなど何かの節目に提案を!
小学校入学が一番よいタイミングですが、以降でも学年や学期が変わる時、「○○になったら一人で寝てみようね」と事前に話をしておくとよいでしょう。そのほか、引っ越しや家を建てた、新しいベッドを購入したなどの機会があればスムーズにひとり寝できるようになります。きょうだいの進級に合わせてきょうだい寝からスタートしてもよいでしょう。
Q2.きょうだいがいる場合はどうしたらよいですか?
A2.上の子から順にひとり寝、もしくはきょうだい寝を!
最初のうちは添い寝をしていて、時期がきたら上の子から順にひとり寝をさせ、やがてきょうだいだけで寝る習慣をつけさせましょう。もちろん、年齢差がないならすぐにきょうだい寝でもよいと思います。
Q3.子どもが寝付くまで一緒に居てはダメですか?
A3.慣れるまでは一緒に居てもOK。
初日からケロッとして一人で寝られる子もいますが、泣いてしまう子の場合は、まずは寝付くまで一緒に居てもよいと思います。やがて一人で寝られることがわかれば自信もつき、次第にお子さまもやる気になるはずです。また、絵本を読み聞かせたり、じゃれあい遊びをしたりするなどの入眠前の儀式をすれば、お子さまも気持ちを切り替えられるのでおすすめです。また、ひとり寝を嫌がる場合には、ブランケットやお気に入りのぬいぐるみなどを用意してあげるのもよいかもしれません。保護者がいなくても安心な空間をつくってあげましょう。
Q4.たまに一緒に寝たいと甘えてきますが、許してよいでしょうか?
A4.邪険にせずに、甘えたい気持ちを十分に受け止めてあげましょう。
自立したように見えても小学5、6年生までは、保護者に甘えたくなる時もあると思います。たとえば、地震や台風などがあった時、友達とけんかした時などです。そんな時に、お布団に潜りこんできたとしても、邪険に接するのではなく、その気持ちを受け止め、一緒に寝てあげてください。月2回は一緒に寝るのはOKというように最初のうちは決めているご家庭もあるようですよ。
≪篠田先生からのメッセージ≫
保護者が、いつまでも「もう少し一緒に寝たかった」「子ども一人だと寂しい思いをさせるのではないか」といった不安な気持ちがあると、お子さまにも伝わってしまいます。ひとり寝デビューまでに、添い寝や普段のコミュニケーションを通じて、お子さまに十分に愛情が伝わっていれば、親子の絆は壊れることはありません。一度決めたら、保護者はお子さまを信じて、ひとり寝をサポートしてあげましょう。
『子どもの将来は「寝室」で決まる』 <光文社新書/篠田有子(著)/821円=税込> |