並行遊び(平行遊び)とは? 一緒にいるのに一緒に遊ばないのはなぜ? 何歳から始まる?
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- 育児・子育て
我が子がほかの子と楽しそうに遊んでいる姿を見ると、とてもほほえましい気持ちになりますよね。お子さまの遊びを見ていて「どうして隣で一緒に遊んでいるのに、別々のことをしているんだろう?」「一緒に何かを作ったり遊んだりはしないのかな?」と疑問に思う時はありませんか?
そこで今回は、大阪教育大学教授の小崎恭弘先生に、一緒にいるのに一緒に遊ばない「並行遊び(平行遊び)」について詳しくお話を伺いました。
子どもは遊びをとおして成長する
大人はつい「友達と仲良く遊ばなくちゃいけない」や「ブロックはきちんと積まなくてはいけない」などと思いがちです。しかし、本来「遊び」は、規制やルールから離れて、自由に楽しむものです。
オランダの歴史学者ヨハン・ホイジンガは、「人間は遊ぶが故に人間である」と定義しています。つまり、遊びこそが人の本質ということです。そして、特に子どもは、遊びをとおして多くを学び成長していきます。
そのため、幼児教育や子育ての現場では、遊びを中心として、子どもたちの成長を考えていくことが大切なのです。
一人遊びから友達と遊ぶまで! 成長に伴い遊びも発達
子どもが成長するにつれ、遊びは人との関わりの程度(社会参加度)によって、変化していきます。「並行遊び」はその変化の中の一つです。発達心理学者パーテンの、子どもの遊び方の分類を見てみましょう。
(1)何もしない遊び
0歳の赤ちゃんは、周りを見てじっとしているだけのように見えますが、これも遊びの一つです。興味のあるものに目や耳を向け、さまざまな刺激を吸収しています。
(2)一人遊び
一人遊びとは、友達と関わることなく、自分の興味のあることに没頭して遊んでいる状態です。一人遊びは、幼い子だけがする遊びではなく、子どもが成長しても見られます。
(3)傍観遊び
他の子どもが遊んでいるのを見ながら、自分はその遊びに加わらないのが傍観遊びです。他の子どもに対して興味が出てくる2歳ごろになると見られます。
(4)並行遊び(平行遊び)
他の子どもと近くで並んで同じ遊びをするものの、子どもどうしがあまりコミュニケーションを取って遊ぶ様子が見られないのが並行遊びです。こちらは後ほど詳しくご紹介します。
(5)連合遊び
4~5歳ごろになると、より集団を意識した遊び方ができるようになります。連合遊びは、友達とコミュニケーションを取りながら同じ遊びを行いますが、そこにルールや役割分担などはありません。
(6)協同遊び
連合遊びが発展し、集団遊びにルールや役割分担が加わると協同遊びになります。
このように、一人遊びから発展し、並行遊びを経て、友達との協同遊びへとつながっていくのです。
加えて覚えておいてほしいことは、一人遊びはずっと続くということです。大きくなっても1人遊びができるということは、自分の世界をしっかり持ち、自分自身が楽しめる力があるということです。
「友達と遊んでいない」「一人でポツンといる」など、保護者のかたが気になる時もあるかもしれませんが、決してダメなことではありません。一人遊びを大切にしているお子さまを、温かく見守ってあげましょう。自分の興味の合う友達や環境と出会った時、自然と友達と一緒に遊ぶようになっていきます。
また、遊びの発達には個人差があります。年齢に沿った遊び方が見られなくても、心配しすぎずお子さまの遊びを尊重できるといいですね。
並行遊びとは? どうして一緒に遊ばないの?
遊びの分類の一つである「並行遊び」について、さらに詳しく見てみましょう。
並行遊びの特徴とは?
並行遊びとは、他の子どもと近くで並んでいるものの、人と交わらない遊びを指します。遊んでいる場所や遊びそのものの行為の共有はしますが、そこにお互いのやり取りや展開、発展が見られない、あるいは少ないのが特徴です。
並行遊びはいつごろから始まる?
並行遊びは、周りの子どもや遊びに興味・関心が広がる時期から始まります。「あ、他の子はこんなことをして遊んでる! 自分もやってみよう」という興味から、人の刺激を受けて並行遊びが始まっていくのです。年齢でいうと2~3歳ごろ、早ければ1歳半ごろから見られる場合もあります。
並行遊びはどんなことをしているの?
並行遊びの具体例には……
・一緒に砂場にいるけれど、1人はお山に穴を掘っていて、もう1人は型抜きをしている
・隣で積み木を一緒にやっているが、やり取りをするわけではなく、それぞれ好きなものを作って遊んでいる
などがあります。
どうして並行遊びをするの? なぜ一緒に遊ばないの?
保護者のかたは「なぜ隣にいるのに、一緒に遊ばないの?」と思うかもしれません。しかし、並行遊びは健全で順調な遊びの過程の一つであり、一人遊び→並行遊び→連合遊びと発展していく道半ばです。
一人遊びから、いきなり連合遊びや協同遊びに進むことはありません。子どもが並行遊びをするのは、自然な流れなので心配する必要はないのです。
おもちゃを「取った」「取られた」並行遊びでお友達とトラブル……どう対応したらいい?
並行遊びは、自分の世界の中だけの遊びです。
そのため、自分の世界にあるおもちゃや環境に対して外から邪魔をされると、子どもは不満に思い、おもちゃを取ったり取られたりというトラブルが起きる時があります。
並行遊びの段階で「仲良くしなさい」や「お友達に貸してあげなさい」というのは、まだ理解できず難しいことが多いでしょう。子どもたちの活動を想定しながら遊べるような場所とおもちゃがある環境では、並行遊びは平和に促されやすいといえます。
そのため、保護者のかたができることは、遊ぶ環境を整備することです。
たとえば……
・十分な数のおもちゃを用意する
・遊べるスペースを確保する
・広い場所に移動する
といった対策を取ってみましょう。
他の子どもと間隔を空けすぎると並行遊びではなくなるので、適度な距離感がポイントです。子どもたちが、落ち着いて安心して遊べるような環境をつくっていきましょう。
おもちゃの取り合いなどのトラブルは、子どもが並行遊びから抜け出して、連合遊びに向かっていくプロセスで出てくることなので、決してマイナスなことではありません。
ケンカをしたり、我慢をしたり、ゆずってもらってうれしかったりといったことを経験し、人との関わりを学んでいく機会になればいいですね。ただし、おもちゃでたたいたり、かんだり、引っ張ったりといった相手を傷付ける行為は、保護者のかたがしっかり止めてサポートしましょう。
まとめ & 実践 TIPS
並行遊びとは、隣で同じ遊びを行いながらも他の子どもとコミュニケーションを取ることなく遊ぶことです。これは、遊びの成長過程の一つなので、「どうして一緒に遊ばないの?」と心配になる必要はありません。他の子どもとおもちゃの取り合いなどでトラブルになった時は、おもちゃの数や遊ぶスペースなどの環境を整えることで、お子さまの遊びをサポートしましょう。遊びもトラブルも成長につながります。お子さまの成長を温かく見守れるといいですね。
編集協力/海田幹子、Cue`s inc.
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