どう選べばいいの?幼稚園・保育園・認定こども園の違い・注意点をわかりやすく紹介

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どう選べばいいの?幼稚園・保育園・認定こども園の違い・注意点をわかりやすく紹介

幼少期の子どもの多くが過ごす幼稚園、保育園に認定こども園。「どのような違いがあるの?」「うちの場合はどこが合うの?」といった疑問もあるのではないでしょうか。

そこで今回は、幼稚園と保育園、認定こども園の違いや、それぞれの注意点、家庭の事情に合わせてどちらに入れるべきかを選ぶ視点について、子育てアドバイザーの高祖常子さん監修のもと、ご紹介します。

幼稚園・保育園・認定こども園の違いは?

幼稚園と保育園、認定こども園は管轄が異なり、幼稚園は文部科学省、保育園と認定こども園は内閣府の外局であるこども家庭庁となります。それ以外にも職員の資格や対象など異なってくるため、表で違いを見ていきましょう。

幼稚園・保育園・認定こども園の違いは?

※1 1号・2号・3号認定について
・ 1号認定→保育を必要としない3歳以上の児童(幼稚園)
・ 2号認定→保育を必要とする3歳以上の児童。保護者の就労証明が必要。
・ 3号認定→保育を必要とする3歳未満の児童。保護者の就労証明が必要。
こども家庭庁/よくわかる「子ども・子育て支援新制度」
※2 認可外保育園の場合は、園が保育料を設定。一般的に認可保育園よりも高くなりやすい。
※3 認定こども園の必要免許は、2025年3月までは園によっていずれか1つでも可。

幼稚園とは

幼稚園は文部科学省の管轄であるため幼稚園の先生は教諭免許である「幼稚園教諭免許状」が必要です。
入園の対象となるのは、3歳から小学校入学前の子どもとなります。

また、幼稚園の預かり時間は4時間が基準。延長保育や、夏休みや冬休みでも預かり保育を実施している園もありますが、基本的には保育園より短い預かり時間となります。

保育園とは

保育園はこども家庭庁管轄となり、保育士は児童福祉法に基づく国家資格となります。

対象は「保育を必要とする事情」がある1歳未満から小学校入学前の子ども。保育を必要とする事情とは、保護者が仕事や病気などで保育ができないため、子どもの保育を必要とする状態のことを言います。

また、保育園は認可保育園と認可外保育園とに分けられます。認可保育園とは、児童福祉法で定められた基準をすべて満たし、都道府県知事によって認可された保育施設。認可外保育園とは、児童福祉法で定められた基準を満たしていない、または何らかの事情で認定されていない保育施設です

また、預かり時間は8時間(標準保育時間)。延長保育を利用することも可能です。
保育料は認可保育園の場合は課税状況によってランクが決められ、ランクに応じた保育料となります。同じ収入でも、自治体によって保育料が異なるため、お住まいの自治体の保育料を確認しておきましょう。認可外保育園の場合は、園が保育料を定めますが、一般的に認可保育園よりも高くなりやすい傾向です。

認定こども園とは

認定こども園は、こども家庭庁管轄で保育園と幼稚園の機能を併せ持ち、教育と保育を一体的に行う施設です。1つの園に保育園枠と幼稚園枠とが設けられており「幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型」の4つのタイプがあります。

認定こども園は教育と保育を一体的に提供する施設であるため、原則として先生は「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両方の資格が必要です。ただし、令和6年度末までの経過措置として、保育士資格か幼稚園教諭免許状でも働ける園があります。

幼稚園と保育園、認定こども園を選択する際の注意点と選び方

幼稚園と保育園、認定こども園を選択する際の注意点と選び方

お子さまの預け先を幼稚園、保育園、認定こども園のどこにしようか迷うこともあるでしょう。

上記の表の「施設の機能」にあるように3~5歳は保育園、幼稚園、認定こども園共に「幼児教育」となっており、指針はそれぞれ多少の表記の違いはありますが、教育内容はほぼ同一になっています。

預かり時間についても、幼稚園でも預かり保育があったり、認定こども園という選択肢も増えたりしたことで、「共働きなら保育園」というわけでもなくなりつつあり、選択肢が広がっていると考えていいでしょう。

大前提としては、園種よりも個々の園の方針や預かり時間によるところが大きいもの。
個々の園をしっかり見学し、家庭の状況によって預かり時間や教育方針も踏まえて、子どもに合う園を選ぶことが大切です。

幼稚園・保育園・認定こども園の注意点は?

幼稚園を選ぶうえで注意しておきたいこと

教育内容が特徴的な園が多いことから幼稚園に魅力を感じられるかたも多いでしょう。英語や音楽、体操といった課外活動を設けている園は、日常の教育に加えて習い事が用意されているといえます。

幼稚園で注意しておきたい点は「保育料」。幼児教育の無償化により標準利用料は無償化されていますが、保護者が直接負担している通園送迎費、食材料費、行事費などは、無償化の対象外です。充実した教育機会が提供される園であれば、保育料が高額になるケースも少なくありません。

「行事や係における保護者の負担」「給食の有無」「預かり保育の有無」についても確認しておきましょう。平日の係活動や、学芸会や運動会の衣装を手作りで行うなど、保護者の時間が取られることも多いもの。特に、働いている保護者にとっては都合をつけるのが難しいケースもあります。

給食がない園であれば、毎日のお弁当づくりが必要となります。
また、預かり保育として延長保育を希望する場合は、預かり保育があるかどうか、何時まで可能かを確認しておくことが必要です。

より詳しい幼稚園の選び方と注意点については、以下の記事をご確認ください。
幼稚園の選び方とは?園生活の満足度を高めるために重視したいポイントとスケジュール

保育園を選ぶうえで注意しておきたいこと

働く保護者にとって、1歳未満から預けられることや勤務時間によって早朝保育や延長保育を利用できる保育園は心強い存在ですよね。保護者の係活動や保護者会などの開催時間や曜日への考慮がされているケースも多いようです。

一時期、保育園入園に関して待機児童問題で大騒ぎになりましたが、今はほぼ解消されつつあります。ただし首都圏の保育園の場合は、必ずしも第一希望の園に入れるわけではないこともあります。家から遠い園となったり、兄弟姉妹で別々の園となってしまったりするケースもありますから、早めに地域の保育園について情報収集しておくことが大切です。

また、保育園だと教育面が幼稚園に比べて十分でないように感じるかたもいらっしゃるかもしれませんが、前述したとおり、保育園、幼稚園、認定こども園の教育指針は、ほぼ同一になっています。

保育園でも園ごとに遊びからの学びに力を入れていたり、リトミックなどのプログラムを取り入れたりとさまざまな工夫がされています。見学などで確認したり、質問したりしてみましょう。

認定こども園を選ぶうえで注意しておきたいこと

認定こども園も増えてきてはいますが、地域によっては施設数がまだ少なく、入園できない可能性もあります。

また、認定こども園は、保育認定によって預け方や保育料が異なってくるので注意が必要です。0歳から2歳については保育園と同じく3号認定が必要で、保護者の就労証明が求められます。3歳から5歳に関しては保護者の就労証明が必要な2号認定がなくても預けることができますが、ひとつのクラスの中に1号・2号認定の子どもたちが混在するため、子どもによってお迎え時間が異なるということが発生します。

さらには、保育を必要としない3歳以上の児童である1号認定では、給食が義務ではないため、給食の有無の確認を忘れないようにしましょう。

より詳しい認定こども園の選び方と注意点については、以下の記事をご確認ください。
認定こども園とは?保育所・幼稚園との違いやメリット・注意点を簡単に解説!

幼稚園・保育園・認定こども園の選び方

お子さまを通わせる園を選ぶ際には「通える範囲にある園をリストアップする」「パンフレットやホームページなどから観点ごとに比較し絞り込む」「見学をしたうえで決める」という3つのプロセスを意識していきましょう。

1つ目の「通える範囲にある園をリストアップする」ことはとても大切です。

送迎する親もそうですが、毎日通う子どもも遠かったり、毎日電車を使ったりということになると、疲れがたまることもあります。また、仕事との両立が必要な場合も、保育園だけでなく、幼稚園や認定こども園が選択肢に入ることもあるでしょう。共働きではないなら幼稚園というわけでもありません。
認定こども園の幼稚園枠などの利用も検討してみるといいですね。

通園可能な園をリストアップしたら、2つ目の「パンフレットやホームページなどから観点ごとに比較し絞り込む」プロセスへ。園種が同じでも、方針や雰囲気が異なることも多いもの。
次のような観点から、個々の園を比較していきましょう。表にまとめると比較しやすいのでおすすめです。

どの園も一長一短で決められないということもあるかもしれません。その場合は、家庭の状況やお子さまの特性に合わせて絶対譲れない点や、優先順位を決めておきましょう。

リストから候補を絞り込んだら、「見学をしたうえで決める」プロセスへ。

園を選ぶ際は、家からの近さや、給食の有無といった利便性が優先になってしまいがちですが、長く通うのであれば教育方針や雰囲気が子どもに合うかという視点も大切です。雰囲気や在園児の様子、遊びの様子、先生と在園児の関係性といったものは、口コミやパンフレットだけではつかみづらいものです。

見学をして、実際に自分の目で見て雰囲気を体感することが重要です。子どもがのびのびとしているか、夢中で遊びこんでいるか、先生はどんな関わりをしているか、威圧的でないか、自分の子どもと似たタイプの子がどうしているかやどのような関わりを受けているかなどを見ていきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

幼稚園と保育園、認定こども園にはそれぞれ異なる点がありますが、教育・保育指針はほぼ同様になっています。幼稚園でも預かり保育が充実してきていたり、教育プログラムに力を入れている保育園もあったりします。

幼稚園か保育園か認定こども園かと園種で選択するのではなく、それぞれの園の方針や教育内容などをしっかり調べて、お子さまと家庭の状況に合う園を見つけていけるといいですね。

プロフィール


監修:高祖常子

認定子育てアドバイザー。資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級、キャリアコンサルタントほか。NPO法人ファザーリング・ジャパン副代表理事、子どもすこやかサポートネット副代表、認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク副理事長、NPO法人タイガーマスク基金代表理事ほか。こども家庭庁「幼児期までの子どもの育ち部会」委員ほか国や行政の委員を歴任。子育て支援を中心とした講座や講演会講師を務める。著書に『感情的にならない子育て』(かんき出版)、など。3児の母。

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