ティーチングも必要では?と感じる子どもへのアプローチ[やる気を引き出すコーチング]

「コーチングで“子どもの自発性を引き出す”、“自分で考えるように促す”というのはわかるのですが、やはり、ある程度、教えてからでないと自分では考えられないのではないでしょうか?いきなり『どうすればいいと思う?』ときくだけで本当に良いのでしょうか?」
コーチングをお伝えしていると、このようなご質問を折々にいただきます。確かに、私たちコーチも、ティーチングを併用しながらコーチングをしているケースがあります。

■教えっぱなしにしない

これは、コーチング主体の指導をされている野球のコーチの実践方法です。
例えば、練習風景を見ていて、「もっと上向きに打った方がうまくバットにボールが当たるのにな」と感じることがあります。本人はどうしたらいいのか解決策が見つからず悩んでいるようです。
そんな時は、「少し上に向かってバットを振ってごらん」と教えてみます。この後、多くの指導者は、うまく打てると、「ほら!言った通りにやったらうまくできたでしょう!」と言ってしまいがちです。うまくいかなった時は、「どうして言った通りにできないんだ?もっと上向きに打たないからダメなんだよ」などと、さらにティーチングを重ねてしまいます。

こちらに見えているものと本人が実際にやってみた感覚とは違うことがあります。ですから、やってみた後は、コーチの評価を伝えるのではなく、質問をします。

「今、打ってみてどうだった?」
質問されると相手は考えます。
「まっすぐ飛ばなかったけど、感覚がわかってきた」
「まだ、角度が足りない感じがする」
など、本人が自分の実践を振り返ります。出てきた答えも、コーチは評価せず受けとり、質問を繰り返します。
「そう!じゃあ、次はどうやってみる?」
質問されることでまた考えます。

ティーチングをしたら、教えっぱなしにするのではなく、本人が自分で振り返ってみる機会を与えることでコーチングにつなげていきます。

■アウトプットを求める

質問だけではなかなか引き出せない時、これだけは大切だから、ぜひ伝えておきたいと思う時は、ティーチングもします。その後は、アウトプットを求めるようにします。
一度、聴いた(インプットした)ことを自分の言葉で説明してもらうのです。

「じゃあ、今、私が言ったことを、◯◯さんにも説明してもらえる?」
「今の話で何が大事だと思った?私に教えてくれる?」
とアウトプットを促してみます。
自分の言葉で説明できるということは、自分の考えが整理され、自分のものになっているということです。説明できないと、
「あれ?どういうことだったっけ?」
「なんで、そうなるんだっけ?」
「どうして、こうするんだろう?」
と自分で考えるようになります。

まったく何も情報がないところから、いきなり、自発的に考えることは難しい子どももいますが、ティーチングされたことを自分の言葉で説明するところから、コーチングをスタートするという方法もあります。

■子どもの興味が湧く情報提供をする

少し前、「高校生が、セミの寿命は1週間じゃないことを自分で調べて発表して、学会で賞をもらったんだって」というニュースを、小学5年生のお子さんに伝えたところ、急に、近所の公園にいる昆虫に興味を持って、学校の授業でも先生に質問するようになったという話をされていたお母さんがいました。

ティーチングというよりは情報提供ですが、何が、子どもの「知りたい!」「やってみたい!」という動機を引き出すかはわかりません。
そのきっかけとして、様々なジャンルの情報を、子どもに伝えてみることは非常に効果的です。強要するのではなくいろんな材料を見せて、ピンと来るものを自分で見つけてもらうイメージです。

「ティーチングとコーチング、どっちがいいの?」と二者択一でとらえるのではなく、両方をうまく併用していったら良いのではないでしょうか。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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