子どもが「自ら考える力」を育む日常のコミュニケーション[やる気を引き出すコーチング]

コーチング講座に通っていただいている小学校の先生から、「先日、かなり凹むことがありました」とメールがきました。
保護者懇談会で、『子どもたちに自分で考える力を!』と話したところ、「まだ1年生では早い。」「そんな力はない。」「子どもを信用なんてできない。」「そうだ!」の満場一致で打ちのめされてしまいました……という内容でした。

コーチング講座には、小中学生も参加していますが、決して「まだ早い」などということはなく、十分「考える力」を持っていると私は感じています。むしろ、早い段階から育んでおいたら、保護者の皆さんもずっと楽だろうと思います。
「子どもにそんな力はない」と決めつけることによって、かえって、「考える力」のない子どもを育ててしまっているのではないかと心配になります。
では、どうしたら、子どもの「自ら考える力」は育まれていくのでしょうか。

■子どもの考えを尊重する

コーチング講座に通っている子どもたちが、なぜ、「自ら考える力」を伸ばしていくのかというと、一緒に参加している大人たちが、常に、自分の考えを尊重してくれるからです。
質問を投げかけていくと、子どもは突拍子もないことを言ったりします。現実的ではないことも出てきます。ところが、コーチングを学んでいる大人は、どんな答えが返ってきても、
「なるほど!おもしろい発想だね」
「すごいことを考えているね」
「すばらしい想像力だね」
と、承認しながら聴いてくれます。

たとえ、「それはいかがなものか?」と感じる否定的な答えや考えであっても、否定せず、いったん受けとってくれます。
「そうか、◯◯さんはそう思うんだね」
「そんな気持ちなんだね」
「そう考えたんだね」
受けとった後は、さらに質問によって、対話を深めてくれます。
「じゃあ、何があればできるのかな?」
「それをそのまま実行すると、どんなことが起きるのかな?」
「◯◯さんが同じ立場だったら、どんな気持ち?」
こうして「考える力」が鍛えられていくのです。

■大人のほうが教わる姿勢を示す

コーチング講座に参加している大人たちは、一緒に学んでいる子どもたちを、基本的に、とても尊敬しています。
「子どもなのに、大人と一緒に勉強しに来ていてえらいな」、「長時間、よく集中しているな」という目で見ていますので、コーチングの手法というよりは、純粋に「知りたい」という気持ちから、つい、子どもに質問をしています。

「コーチングを勉強していてどう?うちの子にも勉強させたいと思うけど、何と言ったら、講座に参加してみようという気持ちになるのか教えてくれない?」
質問された子どもは、「うーん、どうなんだろう?」と想いを巡らせながら、自分の考えを話しています。
すぐには答えられなくても、これは、なかなか良いトレーニングになっていると、そばで見ていて感じます。大人の「教えてほしい」というスタンスに、子どもは、自尊心をくすぐられるのか、積極的に考えて話すようになっていくのです。

「この前、質問されたことですけど、あの後、考えてみて、こういうふうに言ってみたらいいと思いました」と、後日、あらためて、子どものほうから質問した大人に声をかけに行ったりしています。

子どもが相手ですと、「こちらが教えてやらなければ」と、つい、手や口が出てしまいますが、それでは、子どもは与えられる答えを待つようになり、「自ら考える力」は育ちません。

また、「どうせ、大人が答えを持っていて、それを押し付けるんでしょ!」と思って、自分の考えを言わなくなります。大人のほうが、「よくわかっている」、「こちらの答えが正しいに決まっている」という気持ちを脇に置いて、むしろ、「よくわからない」、「だから、あなたの考えを知りたい」という立ち位置にいるほうが、自ら考える子どもへと成長していくように感じます。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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