主体的な学びは「手を使う」ことから⁉ おうちでできるモンテッソーリ・メソッド

GoogleやAmazonの創業者や藤井聡太棋士など、モンテッソーリ・メソッドで育った人の活躍が脚光を浴び、最近また注目を集めるようになりました。そこで、ご自身もモンテッソーリ教育を実践する園の教員で、『子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド』を上梓した堀田はるなさんに、モンテッソーリ・メソッドの実際の活動や、ご家庭でできる習慣づくりについて伺いました。

手を使うことは、すべての「やってみたい」のはじまり

モンテッソーリ・メソッドの前提は、子どもたちが主体的に学ぶことですが、その下準備として取り入れているのが「なるべく手を使った活動をする」というものです。
モンテッソーリ・メソッドでは、さまざまな教具を使って活動をします。例えば、「洗濯する」という活動があります。これは、汚れた布を子どもサイズの洗濯板で洗うという活動です。現在は大人でも洗濯板を使って洗濯をすることはほとんどありませんから、なぜこの活動を今でも取り入れているのか不思議に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、この活動の目的は洗濯物の汚れを落とすことだけではありません。洗濯をすることによって体を動かしたり(手を大きく使ったり指を細く使って洗ったり)、指先の細かい動きを成熟させるためにやっているのです。また、子どもは水遊びが大好きですから、いつも本当に楽しそうにお洗濯をします。お母さんの真似をしたいお年頃の女の子にもとても人気です。教具の目的と子どもの興味が一致しているという意味で、今でも洗濯を取り入れているのです。
手を使うことはすべてのはじまりです。自分から「なにかしたい」という思いを実現するのも手によってです。だから、この時期に手をたくさん使って動きを洗練させることがとても大切なのです。

教具を与えることではなく、生活に身近な「お手伝い」からはじめてみて

ご家庭でモンテッソーリ・メソッドをはじめるとしたら、教具を与えて作業するのではなく、
お子さん自身の生活の中で「自分のことをできるようになる練習」からはじめてみてください。
例えば、「自分の靴は自分ではく」「自分の洋服は自分で選んで着る」「脱いだ服は洗濯機に入れる」など、簡単なことからはじめます。自分の身の回りのことを自分でやる習慣をつけるのが一番大事なことですからね。

ただ、お子さまがやるのを待っているとすごく時間がかかるので、そこをぐっと我慢することが難しいかもしれません。「早くして」などと言わずに、なるべく待つことを心がけ、急いでいるときは「お母さんがここまでやるから、ここからは●●ちゃんがやってね」などと分業にできるといいですね。大人は手伝うだけで、やるのはあくまで本人という意識をもつようにします。
こうしたことができるようになってきて、お子さん自身が「もっとやりたい」という態度を示したら、お手伝いをしてもらうようにします。一緒に洗濯ものをたたんだり、野菜を洗ったりお皿を出したり、料理のお手伝いもいいですね。生活の中でできることが増えると、お子さまの喜びも大きいでしょう。

遊びでは、工夫して遊ぶ機会を作ってあげられるといいですね。楽しいことを一方的に提供してもらえるテーマパークよりは、自分でアクションを起こして楽しめる公園などがおすすめです。楽しみを与えられるばかりでなく、自分で発見することができる力が身につくと、将来的にも自分の得意なことややりたいことが見つけやすくなるでしょう。

モンテッソーリメソッド 棋士の藤井聡太八段(二冠(王位・棋聖))が、幼少時に受けていたことで注目を集めた、「モンテッソーリ・メソッド」。
本書では、東京・原宿で、約45年続いている伝統ある保育施設「モンテッソーリ原宿子供の家」の教師が、多くの親が知りたい「モンテッソーリ・メソッド」のすべてを、わかりやすく解説いたします。

プロフィール



モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。結婚を機に、教育の道へ転身。2016年NPO法人東京モンテッソーリ教育研究所付属教員養成コース卒業、日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。

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