「早く宿題やりなさい!」と言ってもやらない子 親がどう接すればやるようになる?

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お子さまが宿題をしていないのを見て、「早くやりなさい!」と叱ってしまうという保護者のかたのお悩みを耳にします。子どもに保護者のかたの言葉が響かないのには理由があります。お子さまを責める前に、まずは親子の関係性の問題に目を向けることが重要です。お子さま2人を塾に通わせずに都内屈指の国立小学校に合格させ、多くの保護者のサポートをする「かおりメソッド」の提唱者・岩田かおりさんに宿題の取り組ませ方についての考え方を聞きました。

この記事のポイント

言葉が響くか否かは親子関係が大きく影響する

「子どもが宿題をするようになるには、どういう声掛けをしたらいいですか?」とよく質問をされます。
しかし、この問題に対して、「こうすれば解決する」という魔法の言葉や特効薬はありません。なぜならば、子どもが保護者の言うことに耳を傾けるかどうかは、これまでの親子関係が大きく左右しているからです。

たとえば、仕事に置き換えて考えてみましょう。突然上司から「これをすぐに100部コピー取ってくれる?」と頼まれたとしたら、いかがでしょう。信頼している上司の頼みならば、多少面倒くさいと思うかもしれませんがコピーを取ってあげるでしょう。
しかし、いつもガミガミ言われたり、「この人の言うこと聞いていいのかな」と不信感を抱いていたりする相手からであれば、なるべく言うことを聞きたくないと思うのではないでしょうか。

親子関係も同様で、お子さまに言葉が響かないことには理由があります。お子さまを責めるのではなく、「なぜ、私の言葉が響かないのか」というところまで振り返って考える必要があります。言うことを聞かない状態は、子どもとの関係性を振り返るための機会だと捉えるとよいでしょう。
もし、親子関係を立て直す必要性を感じたら ガミガミ言わなくても勉強する子になる!子どもを「学び体質」にするのは、「承認」と2つのステップ の記事を参考になさってください。

「親・宿題 VS 子ども」から「宿題 VS 親子」の構図にチェンジ

親子の関係性の再構築は、一気には進みません。ある程度時間をかけて取り組む必要があることです。
とはいえ、「すぐになんとかしなければいけない」と宿題の締切が差し迫っていることもあるでしょう。その場合に大事にしていただきたいことは、宿題に取り組む子どもの味方になってあげるということです。

多くの保護者のかたが、「親・宿題 VS 子ども」という構図で捉えてしまいがちです。そうすると、「早く宿題をしなさい」「さっさとがんばりなさい!」とお子さまに声をかけてしまいます。

しかし、私はこの構図を「宿題 VS 親子」に組み替える必要があると考えています。こうなると、「明日までに宿題を倒そう! ママは何が手伝える?」と子どもと一緒に作戦を考えられるようになるのです。こうした会話を交わしていくことで、子どもと信頼関係を築きながら宿題をクリアしていくことができます。

保護者とお子さまとが一緒になって宿題に向かっていけるように、「夏休みなどの長期休暇の終盤は、予定を空けておいてください」と私は伝えています。宿題に打ち込むべき時期に、保護者のかたがお忙しいとお子さまと一緒に取り組んでいくことができないからです。

学校では、スケジュール通りに宿題をしなさいと言われます。しかし、子どもによって、コツコツ積み上げていくタイプが合う子もいれば、切羽詰まってパワーを発揮するタイプの子もいます。大人でも仕事の進め方に個性が出ますよね。
ですから、休みの終盤に一気に仕上げることは必ずしも悪いことではありません。「毎日コツコツやりなさいと言ったでしょう!」と叱るのではなく、お子さまが力を発揮しやすいように親子で協力して宿題に打ち込む姿勢が大事なのです。

主体性を育むには「やらない」という選択も経験させる

これからの社会においては、主体性を持って自己決定をしていくことがすごく重要になります。「あれをしなさい」「これをしなさい」と言葉に従わせているだけでは、お子さまの主体性は育まれません。

保護者のかたにこんなことを言うとびっくりされるのですが、「宿題をやらない」という自己決定をさせることも一つの方法です。宿題をしないことを一度体験してみると、「ああ、やっておけばよかった」と後悔する子がいます。自己決定からどのような事態が生まれるのかを経験させることで、次の宿題への向き合い方が変わっていきます。
宿題をしないことイコール悪ではないのです。

精神年齢にもよりますが、小学校高学年くらいになると自分でスケジュールを立てることができるようになっていきます。
保護者のかたの役割は、取り組む宿題の内容や量を確認し、そして、「どうやって終わらせるか一緒に考えようか」と声掛けをするというところまで。そこから、実際に宿題をするかしないかは本人に任せることが重要です。子どもの自ら育つ力を信じ、環境整備をしてくことに注力していきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

「宿題をしなさい」の言葉が響かないと感じたのならば、まずは親子関係を見直してみましょう。親子の関係性を再構築する機会だと捉えていくことが重要です。
直面している宿題には、「親・宿題 VS 子ども」から「宿題 VS 親子」の構図に転換して協力し合いながら取り組みましょう。
宿題への取り組みを、お子さまの主体性を育む機会と捉え、保護者のかたの役割を再考する機会としていけるとよいでしょう。

プロフィール


岩田かおり

株式会社ママプロジェクトJapan 代表取締役
第一子、第二子をお受験塾に入れずに都内の国立小学校に合格。幼児教室勤務、そろばん教室の運営を経て、「子どもを勉強好きに育てたい!」の想いから、独自の教育法を開発。「学び体質に育てる」と「親子関係」を大切にし、子育てする家族を応援するガミガミ言わず勉強好きで知的な子どもを育てる作戦『かおりメソッド』を全国へ展開中。(株)リクルートでの企業講座では満足度100%実績あり。PHPすくすく子育て、雑誌VERY掲載、ウェブDomani、ラジオ出演などメディアでも活躍中。3人(1男2女)のママ

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