侮らないで! 足首のねんざの正しい対処法

子どもの頃に経験することの多い足首のねんざですが、実はしっかり治療しておかないと、運動をするときに機敏な動きができにくくなったり、高齢になって歩くのが大変になったりするなど、侮れないケガです。将来に問題を残さないために、正しい治療法を知っておきましょう。

足首のねんざとは、どのような状態のこと?

ねんざとは、関節に大きな力が加わって靭帯(骨と骨をつなぐコラーゲンの線維)や関節包(関節をつつむ膜)が傷ついた状態です。通常の生活や運動による関節の動きより逸脱して動くことによって、関節が外れそうになり、靭帯や膜が断裂します。

足首は、ねんざをもっとも起こしやすい部位です。足首の関節は、下腿(すね)の内側の脛骨(けいこつ)の内果(内くるぶし)とその外側の腓骨(ひこつ)の外果(外くるぶし)がつながってつくる天蓋(傘状になった骨の上部)の中央に距骨(きょこつ)があり、それらの骨と骨との間にある軟骨(関節軟骨)、3つの骨をつなぐ靭帯や関節包などで構成されています。さらに、その下に踵骨(しょうこつ)があって、距骨下関節を形成しています。このうち、足首にかかる衝撃を和らげる役割をする靭帯と軟骨が、足首をひねったりすることで過大な力が加わり、靭帯が伸びたり切れたり、軟骨がはがれたり亀裂が入ったりした状態を、足首のねんざといいます。

足首のねんざは、本格的にスポーツを始める小学校3~4年生くらいから増え始めます。靭帯を切ってしまうほどの激しい捻挫は、中学生~大学生など、活発に動く年代に多くなります。女性は、社会人となってハイヒールを履くようになる10代後半以降にも多くなります。また、筋力が衰えてくる高齢者にも起こります。

捻挫をしたときの応急措置

足首をねんざをした場合、まずは痛みや腫れ、内出血をこれ以上起こさせないように応急措置をします。
足首に限らず、けがの応急措置の基本は、

・安静(Rest)
・冷却(Icing)
・圧迫(Compression)
・挙上(Elevation)

の4つです。それぞれの措置の英語の頭文字をとってRICE(ライス)*といいます。 まずは患者を横にするなどして安静にし、患部を氷やアイスパック、冷却スプレーなどで冷やし、包帯やテーピングなどで患部を圧迫・固定し、それから心臓より高い位置に上げます。
その後、病院に行くかどうかを考えますが、立ち上がるのにしばらくかかったり、触るとものすごく痛かったり、皮下出血(青あざ)が出てきた場合などは、病院(整形外科)を受診しましょう。

ここが大事! 応急措置後は「安静」にし、はれがひいたら「リハビリ」を

軽いねんざの場合は、通常は2~3日で強い痛みは取れ、1~2週間で日常生活に支障はなくなります。自宅での治療方法は、痛み具合等にもよりますが、数日~2週間くらいは足首の動きをおさえるように包帯やサポーターなどで固定し、安静にしながら日常生活を送ります。腫れがある程度引いてきたら、徐々に足を動かしていきましょう。腫れが引いても心配だからと動かさないでいると、靭帯がゆるんだ状態で癒着(ゆちゃく)して、痛みが残ってしまう可能性があるからです。

病院に行った場合は、医師の指示に従い治療します。家での治療と同様に、まずは安静にすることが基本です。靭帯が切れている場合はギプスで固定し、それ以外は足関節専用の装具をつけます。足首の腫れがある程度引いてきたら、靭帯が早く修復するように、リハビリをできるだけ早く開始します。

たかがねんざ、と思わず正しい対処法で早めに処置を行うべきです。子どもの将来の健康のためにも、保護者のかたが正しい対処法を知っておけば、いざというときも安心ですね。

*一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
http://www.jossm.or.jp/series/flie/003_2.pdf

監修:獨協医科大学越谷病院 整形外科主任教授 大関 覚 医師

プロフィール



獨協医科大学越谷病院 整形外科主任教授

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