大人だけじゃない小学生がなることも! 睡眠時無呼吸症候群とは?

 最近は「睡眠時無呼吸症候群」について知っているかたも多いのではないでしょうか。これは、睡眠時の呼吸に異常をもたらす症状です。睡眠時無呼吸症候群の症状があると、質のよい睡眠をとることができず昼間に眠くなり、作業に必要な集中力も落ちます。大人だけでなく、小学生や小さいお子さまにも起こります。

気道が狭くなると、通ることができる空気の量も減ってしまう

 睡眠時無呼吸症候群は、その名の通り睡眠時に気道が狭くなって息が不十分となり、その結果熟睡できなくなり、いろいろな症状を引きおこす病気です。呼吸が通る道、気道は、口や鼻から気管に至る「上気道」と、気管から肺までの「下気道」があります。下気道では気管から気管支は周りが気管軟骨という軟骨で補強されていて人が姿勢を変えたくらいでは簡単にはへこまないようになっています。

しかし、「上気道」は軟骨などで囲まれていません。上気道にあるのは、舌、扁桃腺やアデノイドなどがその通り道にあり、容易に上気道を圧迫し、狭くしてしまいます。
空気の通り道が詰まったり、狭くなったらどういうことが起こるでしょうか。

寝ている間に呼吸が何度か止まっているから息苦しい、眠れない…

 気道の途中にある扁桃腺やアデノイドが炎症を起こして大きくなったりすると、気道は狭くなり、時には閉塞してしまいます。上気道が閉塞すると、息苦しくなりますので当然ながら睡眠が浅くなり、目が覚めてしまいます。夜にきちんと眠れないために、昼間に眠くなってしまいます。これが、睡眠時無呼吸症候群による睡眠不足と昼間の眠気が発生するメカニズムです。

睡眠時無呼吸症候群は小学生にも起こる

 睡眠時無呼吸症候群が知られた当初、この症状は気道周囲の脂肪がつきすぎて気道が狭くなることから成人の肥満男性に多いものと認識されていました。しかし、その後になって扁桃腺やアデノイドが大きくなったり口のわりに舌が大きいことから子どもにも少なくないことがわかってきました。

睡眠時無呼吸症候群は、子どもにいろいろな影響を残すことがあります。集中力低下、学力低下、低身長や夜尿、落ち着きがなく、キレやすい、不登校なども引きおこすことがありますので放置するのは危険です。

睡眠時無呼吸症候群をうたがうのは…

 夜は早めに布団に入って寝ているようなのに寝が足りていない、寝起きが極端に悪い、昼間も眠そうにしている、大きないびきをかいて、睡眠中、時に息が止まったりするなどの症状があれば、睡眠時無呼吸症候群かもしれないと疑ってもいいかもしれません。

参考文献:
「現代の不眠ー24時間型社会のぐっすり眠り学」塩見利明 著(明治書院)
「ねむり学入門—よく眠り、よく生きるための16章」神山潤 著(新曜社)

プロフィール



40年間小児外科を中心に小児医療に携わる。小児外科指導医。

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