子どもの授業中の居眠り…睡眠時無呼吸症候群の可能性が?
高校の先生から「お子さまの居眠りが目立つ」と連絡をもらい、びっくりしたことはありませんか? 成績が以前より落ちてきたり、帰宅してもぼうっとしているときがあったり。高校生にもなれば、夜の時間帯、部屋でどう過ごしているかは見えにくいもの。しっかり寝ていないせいで寝不足になっているのでは…そう決めつける前に、子どもの「眠りの質」について考えてみましょう。
「テスト中」にも眠ってしまう眠気の強さ
授業中居眠りをしてしまっている、と高校の先生から報告を受けたのなら、まずは叱らず、どんなふうに眠くなってしまうのか尋ねてみましょう。体育のあとやお昼のあとは眠くなってしまう、部活動が大変で疲れてしまうなど、眠気の原因について本人も考えているかもしれません。夜間どのような睡眠をとっているのか本人に確認し観察してみましょう。夜間も十分寝ないで勉強している、あるいはゲームやテレビで睡眠時間が少なくなっているなど、必要な睡眠時間がとれていないのかもしれません。改善策をお子さまとじっくり話し合ってみてください。睡眠の重要さを改めて話し合うよい機会です。
しかし、テスト中に眠ってしまったり、集会で起立しているときなど、普通は眠気が起こりにくいようなときにも眠気が勝ってしまうのであれば、単なる寝不足だけではなく、病的な問題があるかもしれないと考えるべきかもしれません。睡眠時無呼吸症候群のような病的な原因が潜んでいる場合には、生活習慣の見直しだけでは解決が難しい場合があります。
異様な眠気…「睡眠時無呼吸症候群」の可能性
先にあげたような昼間の強い眠気の原因として考えられるのは、睡眠時無呼吸症候群という病気です。文字通り眠っている間に一時的に呼吸が止まってしまうのを繰り返すというもので、無呼吸の他に大きな音のいびきなども特徴です。眠ってはいるのですが、十分な酸素が脳に入ってこないため眠りが浅く、本人もすっきりと寝た気がしません。原因は、扁桃腺、アデノイド、肥満など喉の周辺組織の肥大により、喉のところの空気の通り道が狭くなってしまうこと。いびきは狭くなった気道を勢いよく空気が通るためその付近の組織が振動することで発生します。
喉の周辺組織の肥大、あるいは喉が狭くなってしまう理由はさまざま。生まれ持った顎や舌の大きさが関係することや、鼻の疾患によるもの、アレルギー、肥満などがいわれていますが、素人判断は難しいです。事故につながったり、高血圧になったり、また日常生活にも支障をきたすことがありますので、「眠いだけだから」と軽く考えず、内科(呼吸器科など)や耳鼻咽喉科など睡眠時無呼吸症候群の専門の先生に相談するのがいいでしょう。大きな病院では専門外来もあります。
もしかして…と思ったら…
現在、日本人の睡眠時間の少なさは世界的にトップクラスですが、睡眠不足や強い眠気に対して問題意識はまだまだ不足しているようです。最近になってやっと睡眠時無呼吸症候群についての知識やその弊害が注目されるようになってきました。これは子どもにもある疾患ですし、治しうる疾患でもありますので、子どもの様子を見て「もしかして…」と思ったら、まずはしっかりとお互いに話し合ってみたり、また専門家に相談してみるのが安心策です。