つい口にしてませんか?「男だから、女だから」子育てするうえで意識すべき「ジェンダーバイアス」とは
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小さな子どもがいると「男の子だから強くないと」「女の子だから優しい子に」など、性別によってイメージを植え付ける声かけをよく耳にするのではないでしょうか。しかし前提として性別問わず、個性は人それぞれ。その一言が、子どもたちに対する押しつけになってしまうこともあります。
しかし、性別によって性格にある程度の傾向も見られます。「ジェンダーバイアス」をきちんと理解したうえで性別ごとの傾向を理解し、適切にお子さまと向き合えるようにしましょう。
保護者が知っておくべき「ジェンダーバイアス」とは
「ジェンダー」とは社会的・文化的な視点からの性差のこと。今まではよく耳にしていた「男性は仕事をし、女性は家を守る」というイメージは、ジェンダーによるジャッジ、そして今までの社会が作り上げてきた傾向であると言えます。「バイアス」は偏見などの意味で使われ、ジェンダーバイアスとは「男性だから〇〇、女性だから〇〇」といった意識のことです。
実は人生のなかで、いろんなジェンダーバイアスに触れている私たち。男の子はズボン、女の子はスカートという学校の制服から、「女流棋士」などわざわざ性別をつける呼称まで、今までは気にならなかったことも多いのではないでしょうか。しかしこれからは男女ともに同じように活躍していく時代。子育て中の保護者は、これから社会に出ていくお子さまにジェンダーバイアスを植え付けてしまわないよう意識するのが大切です。
とはいえ全員に当てはまらないけれど、性別に関連して大きな傾向があるのも事実。今回はそれを参考までにご紹介します。性別関係なく当てはまると思いますが、その際は「男の子(女の子)だから」ではなく「この子はこうなんだね」と個人を尊重した対応ができるとgoodです。
【男の子の傾向】とにかく「活発」が大変
男の子は一般的に電車や車、戦いごっこなどの激しい遊びを好む傾向にあり、これは女の子よりも男性ホルモンの分泌が多いからと言えるそうです。とくに男兄弟がいると同じように一緒に遊べる相手が身近にいるのでヒートアップしやすく、より楽しさを求めて全身や身の回りにあるものすべてを使って遊ぼうとする傾向にあります。
とにかく走り回り、ガッシャンガッシャン大騒ぎ。熱中しているためママの声は届きにくく、いったんおさまったかと思えばまた次の大騒ぎが始まります。ママの思う「言うことを聞かない」は、こんな遊び方からくるものかもしれません。
■保護者の対応はどうする?
フィールドを広く使ったりボールを使ったりするため、熱中して周りが見えずお友だちにぶつかったり、ものを壊してしまったりしがちです。大人目線だと「なんでそんなことしたの!?」と聞いてしまいたくなりますが、お子さまはまだ「先を考える力」を身に付けていく途中、そして遊びに夢中になりやすい年齢です。そのため「なんで」と聞かれても分かりません。
活発なのはよいことなのでそのままでいてほしいけど、周りに被害が及ぶ行動はしないように気を付けてほしい……そんな保護者の思いを伝えるなら、「結果と原因と改善策」、そして「やってはいけないこと」を日ごろから何度も教えることが大切です。
仮に「すべり台で遊んでいたとき、お友だちを押して怖い思いをさせてしまった」場合、その原因を考えます。「友達と競い合ってすべり台を滑っていたから」という状況があったなら、改善策として「すべり台は競争の道具ではない。ゆったりと高い場所の景色を見たりすべる感覚を楽しんだりするものだから、競争したいならみんなが安全に遊べる別の場所で」など、理由と別の方法を教えましょう。
【女の子の傾向】気苦労が多くなり大変
女の子は基本的に男の子ほど激しく動き回ることはありませんが、一般的に男の子よりも会話の量が多くなりがちで、ファッションコーディネートに厳しい面があります。また、男の子にも言えることですが状況によっては犯罪やトラブルに巻き込まれる可能性が高いことも。そのため保護者はお子さまとのコミュニケーションや気配りに労力がかかる傾向にあります。
「お友だちがこう言った、ああ言った」でトラブルになるのをはじめ、おままごとやメイク遊びのお付き合いまで。とにかく一日中しゃべっているタイプであれば常に聞き役になる必要があるなど、動き回る子とは別の大変さがあります。
■保護者の対応はどうする?
目に見えないトラブルは、多くが会話のなかで生まれます。知らないうちにお友だちを不快にさせてしまうこともあれば、逆もあるでしょう。会話のなかでいろんな言葉を学びますが、本人は深く考えず使ってしまいます。そのため保護者は「その言葉や言い方は、言われたほうは悲しく感じるから使わないで」など、言葉の意味や相手の立場になって考えて話すことを教えましょう。
とはいえ、どんな場面でも自分の意思をハッキリと主張することはとても大切。だからこそ「何を言うべきか・何を言わないべきか」の判断力を身に付けることが重要です。今は男性も女性も就きたい職について自由に働き、家事育児も分担がスタンダードな時代です。「女の子だから、男の子だからこうしなきゃ」ではなく、性別関係なくその子に合わせた対応を考えたいものです。
お化粧がしたい! お手伝いがしたい! という子には、見守りなどが大変ですが子ども用の化粧品を準備したりできる部分だけ手伝ってもらうなどして、積極的に経験を積ませてあげられるとベスト。そのとき「女の子は大人になったらお化粧するんだから今はやらなくていい」「男の子がお化粧なんてしないの」「女の子は料理をしておくと将来役立つよ」「男の子はお料理できなくても大丈夫」なんて言っちゃうのはNG。性別は関係なくお子さまの「やりたい」を素直に受け止めることが大切です。
まとめ & 実践 TIPS
どちらかといえばとにかく体力が必要な傾向にある男の子の子育てと、とにかく気力が必要な傾向にある女の子の子育て。ただし今回ご紹介したのは、あくまで「ひとつの大きな傾向」です。
もし女の子(男の子)は育てやすそうでいいなぁと思ったら、なぜ育てやすそうに見えるのかを考えて、静かに熱中できる遊びやおもちゃを増やす・公園に連れていく頻度を増やすなど自身の育児に取り入れるべきポイントを性別問わず一度考えてみましょう。
保護者ひとり一人がジェンダーバイアスのない育児を心がけることで、これからの日本はもっと暮らしやすい社会になるはず。小さな一歩で、性別問わず希望通りに生きられる素敵な世界を目指していきたいですね。
出典:ベネッセ教育情報サイト「なぜ、男の子は乗り物、女の子はぬいぐるみを好むの? 遊びの性差【前編】」
URL https://benesse.jp/kosodate/201606/20160618-2.html
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