深刻な症状につながる恐れも!? 早期に対処したい子どもの鼻づまり

鼻づまりといえば風邪を想起させますが、それだけではありません。風邪が原因で起きる鼻づまりなら一過性のものであり、それほど心配することはないでしょう。でも、風邪以外が原因で起きる鼻づまりは、深刻な症状を引き起こすものもあるので注意が必要です。

子どもの鼻づまりは、夜寝ている間だけに起きるものではありません。完全に慢性化し、常に鼻が詰まった状態になってしまっているため、昼間でも口を半開きにしていなければ呼吸ができなくなってしまいます。その影響は、睡眠不足による集中力不足・歯並びの乱れ・上気道の発達への悪影響・発育不全と、さまざまな形で表れてきます。
早期に発見し、一刻も早く適切な治療を受けさせたい子どもの鼻づまり、しっかりと掘り下げてみましょう!


【アレルギー性鼻炎】鼻呼吸ができているかに気をつける

≪原因≫

原因はいろいろ考えられますが、主なものとしては、ダニ・ペットの毛などのハウスダスト、花粉、大気中に放出される化学物質(PM2.5等)などが挙げられます。遺伝的要素も否定できないようですが、体質の原因ばかりを心配する必要はありません。それより同じ家で生活する家族なので、生活環境そのものの影響だと考える方が対処法を検討しやすく、前向きな姿勢で治療に当たれます。

 

≪症状≫

主な症状はくしゃみと鼻水ですが、その他、目のかゆみ、喉の痛み、皮膚のかゆみや湿疹などが表れることもあります。ひどくなった場合の合併症として、喘息になったり、皮膚のかゆみや湿疹が悪化してアトピー性皮膚炎になることもあるので要注意です。

 

原因となる抗原の種類等により、季節性と通年性とに分かれ、通年性アレルギー性鼻炎の症状は比較的冬場に多く表れると言われています。これは、冬場は空気が乾燥することが多いうえ、暖房で室内を閉めきることが多いためです。

 

鼻水が増え、さらにくしゃみなどで鼻の粘膜に炎症が起きて腫れ上がったりすると、鼻水を体外に放出しづらくなります。その結果、鼻腔内に鼻水がたまった状態が続き、鼻水に付着したウイルスや雑菌が炎症を悪化させて鼻腔を狭め鼻づまりが慢性化。さらに鼻水の放出を妨げるという悪循環が長い間続くと、ひどい場合には鼻の気道を塞いでしまいます。そうなってしまうと、冒頭に書いたような鼻呼吸のできない症状へと進んでしまうのです。

 

夜間、大人のように大きないびきをかき続けるような症状が見られたら、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。また、昼間でも口を半開きにして鼻呼吸が難しいという状態がいつも見られるようなら、明らかに治療が必要と言えるでしょう。鼻呼吸ができなくなり口を開けた状態が続くと、喉や舌の筋肉が緩み奥の方へ垂れ下がり気味となります。これが、いびきや睡眠時無呼吸の原因です。
また、喘息と鼻炎に密接な関係があるという調査結果も報告されています。喘息患者の67%以上が、鼻炎に悩まされていると言います。

 

≪対処≫

根本的な治療としては、体質を改善しアレルギー反応を示す抗原への免疫力を高めることですが、容易ではありません。時間をかけ、じっくり治療に向き合わなければならないでしょう。

 

必然的に、症状を抑える対症療法が中心となります。まず代表的なのが、抗ヒスタミン剤などの内服療法により、くしゃみなどの症状を抑えること。また、鼻の中を吸引して鼻水を除去し薬液を直接噴霧する方法や、ネブライザー吸入によって鼻呼吸をよくする方法もあります。睡眠時無呼吸症候群の場合、手術などの外科的治療を行うこともあります。

 

粘膜の炎症を招く原因は鼻水と鼻づまりです。手術では過剰な鼻水を抑えるため、神経の一部を切断。これにより、過剰な鼻水や粘膜の腫れを抑える効果が期待できます。全身麻酔で行いますが、手術時間は30分ほどですし、出血もごくわずかで済みます。手術の結果、日常的な鼻の洗浄を続けることで鼻づまりを防ぐことができ、不足のない睡眠を取れるようになって、通常の生活が送れるようになります。

 

 

【副鼻腔炎】早期の診断と治療が重要

≪原因≫

副鼻腔炎は一般に、蓄膿(ちくのう)症とも言われています。副鼻腔は眉間や眼の真下あたりにあり、空洞で粘膜に覆われ鼻とつながっています。副鼻腔炎はここに起きる炎症です。風邪などが原因で起きる急性副鼻腔炎と、長引いてしまった慢性副鼻腔炎とに分かれます。

 

≪症状≫

鼻づまりが起き、色がついて濁った粘り気のある鼻水が出るのが特徴です。鼻づまりや汚れた鼻水が喉に落ちることでせきが出ます。また鼻づまりで頭がボーっとし、睡眠も浅くなってしまいます。たまった鼻汁が耳管に流れ中耳炎を引き起こすこともありますし、ときには鼻汁に含まれるウイルスや菌が原因で髄膜炎にかかる場合もありますので、治療が必要です。

 

≪対処≫

急性副鼻腔炎なら、1〜2週間でほぼ完治します。治療は鼻腔の洗浄で鼻水を除去し、鼻づまりを解消します。また薬液を直接送り込むネブライザー吸引療法も効果的です。内服療法としては、マクロライド系の抗生物質を少量、長期間投与します。慢性化した場合など、手術が必要なこともあります。いずれにしろ、早期の診断と治療が求められます。

 

 

【鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)】意外と多い弯曲、手術が必要

≪原因≫

鼻中隔(びちゅうかく)は軟骨の板と骨の板とでできています。軟骨の成長と骨の成長には差があるのですが、この差が弯曲(わんきょく)を生み出す原因に。そのため、児童の70%・成人の90%に鼻中隔の弯曲が見られるというデータがあります。鼻中隔が曲がっていても、特異な症状が出現していなければ鼻中隔弯曲症とは言いません。

 

≪症状≫

やはり鼻づまりを起こします。口呼吸・いびき・においがわからないなどの症状が出ます。また、ひどい場合、鼻血が出ることもあります。

 

≪対処≫

治療としては、手術が挙げられます。ただし、骨の生育が落ち着くのを待ってから手術しないとさらなる変形をきたすことがあるため、17〜18歳以降に行うよう専門医にすすめられることが多いです。それまでは鼻の通りをよくするため、副鼻腔炎などと同じような対症療法を行い、生活への影響を最小限にとどめる治療を行います。

 

 

自宅でもできる、鼻づまりがひどい場合の対処法

≪上体を起こす≫

横になった状態では、鼻づまりを起こしやすくなります。特に夜間の就寝時などは、少しでも気道の通りをよくしてあげる工夫が必要です。クッションなどを背中に敷き、なだらかな傾斜を作ってあげてください。ただし、顎を引くような姿勢は気道を狭めます。首の後ろ側に丸めたタオルなどを敷き、顎が心持ちツンと上を向くような体制を作ってあげれば、気道を確保しやすくなります。眠っている間の寝返りを想定し、敷き布団の下に入れて布団全体に傾斜をつけてあげると、さらに効果が高まるかもしれません。

 

≪部屋を加湿する≫

特に空気が乾燥しがちな冬場は、湿度の維持が重要です。60%程度の湿度を保てるよう、適度に加湿してください。

 

ただし、ときどき換気することも重要です。閉めきった室内で洗濯物を干したままにして、そのうえ加湿したりすると、カビの原因となってしまいます。カビは夏場だけに発生するわけではありません。カビはアレルギー性鼻炎の大敵ですし、吸引すると体調を崩す原因になります。カビを見つけたら早めに除去し、お部屋の定期的な換気を忘れないようにしてください。

 

≪蒸しタオルを鼻に当てる≫

蒸しタオルは電子レンジを使えば簡単に作れます。適度に濡らしたタオルをラップでくるみ、レンジで加熱してください。蒸しタオルの蒸気を鼻から吸引させることも効果的ですし、鼻の周囲に当て肌を温めて血行を改善することも鼻づまり解消に役立ちます。ただし、毎回必ず清潔なタオルを使うよう注意してください。不潔なタオルは雑菌を体内に吸入させる元となってしまいます。

 

≪吸引グッズを使い吸い出してあげる≫

赤ちゃん用の鼻水吸引グッズは、なかなかの優れものです。安全かつ衛生的に、詰まった鼻水を吸い出してあげることができます。使用後の洗浄と消毒を入念に行い、衛生的に使用することも忘れないでください。

 

 

プロフィール

監修:宮原光興

医療法人社団悠翔会 悠翔会在宅クリニック川崎 院長

宮原裕美
芝パーククリニック 内科医員

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