子どもの腹痛、どうしたらいい? 症状別の原因&対処法をご紹介!

子どもの体はまだまだ機能が未発達で、抵抗力も弱いもの。大人が思う以上に、頻繁に具合が悪くなります。何でもさわり、すぐ口に入れて確かめようとすることから、おなかをこわしてしまうことも多いですよね。たいてい、手当てをするとケロッとよくなるものですが、中には心配な腹痛もあります。「おなかが痛いならトイレに行きなさい」と促して済むものか、何らかの異変があって急を要する腹痛なのか、見分ける必要があります。ここでは心配しないでよいケースと速やかに医療機関で受診するべきケースに分けて、ご紹介していきましょう。


腹痛は外からはわかりにくい

 小児科医によると来院の1〜2割は腹痛なのだそうです。腹痛は子どもにとって日常的な体のトラブルですが、発語がまだの赤ちゃんはもちろん、おしゃべりができる子どもも症状を伝えるのは難しいといわれています。特に腹痛はケガと違って、外から見ただけではわかりません。子どもは何らかの違和感を総称して「おなかが痛い」という言葉で表現していますので、どこがどう痛いのかをしっかり聞いて、判断する必要があります。

 

≪腹痛のチェックポイント≫

・顔色が悪い

・急に痛み出した

・腹痛が数日続いている

・痛みに波がある

・下痢をしている

・便秘をしている

・便の表面やトイレットペーパーに血が付着する

・便の中に血が混ざっている

・ノロウイルスやロタウイルスが周囲で流行している

・腹部をぶつけた

・熱がある

・嘔吐(おうと)

・脚の付け根が痛い

・へそのまわりが痛い

・さわられるといやがる部分がある

・腹部が張っている

・嘔吐物に黒っぽいものが混ざっている

・排便すると痛みがなくなる

・横になると痛みがやわらぐ

・一定の時間になると腹痛が起こる

・水分が取れない

 

 

【便秘】よくある腹痛の原因と対処法【胃腸炎など】

≪便秘・ガス溜まり≫

子どもの腹痛でいちばん多いのが、「便秘」です。腸の中に便やガスが溜まり、腹痛を引き起こします。その際、腹部(特に下腹部)がパーンと張っていることが多く、体を伸ばすと痛がったり、腹部をさわられると痛がったりします。熱や嘔吐(おうと)がない場合は、まず便やガスが溜まっていないかを考えましょう。腹部を優しくマッサージしたり、市販の浣腸を使って、便やガスを出してあげましょう。親が自分で行うのに不安がある(怖い)というかたは、小児科でも浣腸の処置をしてくれますので受診してください。

 

◆予防策

規則正しい生活、食物繊維をしっかりとる、水分をしっかりとる、朝出かける前などに排便習慣をつくる

 

 

≪胃腸炎・感染症≫

いわゆる「おなかの風邪」と言われるものです。発熱や倦怠感など風邪の諸症状に似ていますが、下痢や嘔吐を伴うのが特徴です。ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどウイルス性による急性胃腸炎などは、「おなかの風邪」と呼ばれることも多く、冬場に園や学校で大流行します。一方、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、0-157、病原性大腸菌などによる細菌性の急性胃腸炎は夏場に多く見られ、食中毒の原因となることが多いです。細菌性の場合は、ウイルス性より症状も重篤です。どちらも非常に感染力が強いので、お世話をする家族も手袋着用&手指の消毒を心がけ、うつらないようにしましょう。

 

◆予防策

手洗いとうがい、流行期はマスク着用、食べ物にはしっかり火を通す、調理器具の殺菌消毒

 

 

≪虫垂炎(盲腸)≫

右側の下腹部に小腸と大腸の境目がありますが、細くひょろっと飛び出ている部分を虫垂といいます。ここに雑菌が繁殖し、感染し炎症を起こすと虫垂炎(いわゆる盲腸)となります。2歳以下で発症するケースはほとんどありませんので、2歳以下の場合は別の病気を疑いましょう。虫垂炎は、はじめは腹部全体が痛みますが、次第に右の下腹部へと痛みが移動していくといわれています。吐き気や嘔吐を伴ったり、発熱することもあります。背中を丸めるように痛がるケースが多いです。気づくのが遅れると、虫垂が化膿して腹膜炎になってしまう恐れがありますので、注意してください。

 

◆予防策

雑菌が繁殖しないよう腸内環境をととのえる、暴飲暴食を控える、ストレスを溜めない

 

 

【症状別】腹痛×嘔吐、発熱、下痢などを併発したときの原因&対処法

≪腸重積≫腹痛×血便、嘔吐

腸の一部がめり込み、腸が閉塞してしまう病気で、突然激しい腹痛に襲われます。症状は嘔吐を伴い、激しく泣きます。乳幼児によく起こる病気ですので、子どもの泣き方の変化には特に気をつけてください。しばらくたつとピタッと泣き止むので「何でもないのかな?」と見過ごしがちなのが、この病気の怖いところ。腸が出血しているためケチャップやイチゴジャムのような血便が出ますので、便をよく見て判断するとよいでしょう。腸に閉塞が起こると、腸のその部分が壊死してしまいます。壊死してしまうと穿孔という穴が開いてしまい、細菌感染など危険な状態に陥ります。

 

≪腹性てんかん≫腹痛×脳波の異常

腹性てんかんは、てんかんの一種です。10歳以下の子どもに多く見られるもので、へその周囲の痛みが度々起こります。脳波の検査をすると異常が見つかり、判明します。

 

≪嵌頓ヘルニア≫腹痛×嘔吐

嵌頓(かんとん)ヘルニアは、一部の腸が出てしまい腹部に戻らなくなってしまう状態をいいます。嘔吐と強い腹痛が主症状ですが、小児科医に「鼠径(そけい)ヘルニアがある」と言われたことがある場合は、気にかけておいてください。必要に応じて外科的処置を行います。

 

≪急性膵炎≫腹痛×吐き気、冷や汗

腹部の右上を痛がる場合は、急性膵炎(すいえん)が考えられます。キリキリとした痛みが長い時間続き、吐き気や冷や汗を伴い、苦しそうにしています。これは膵臓に炎症が起き、消化液やホルモンの分泌が狂ってしまったために起こるものです。流行性耳下腺炎(おたふく風邪)にかかっている子どもに見られることがあるので、おたふく風邪の際は特に気をつけてあげてください。時に、重症化により危篤状態となるケースもあります。

 

≪消化性潰瘍≫腹痛×嘔吐、吐血、血便

消化性潰瘍とは、胃・十二指腸の粘膜が深く傷ついた状態になっていることを指します。大人がかかる病気のイメージがあるかもしれませんが、近年は子どももかかるケースが増えたといわれています。原因としては、ピロリ菌感染が考えられます。胃潰瘍はピロリ菌が陰性で6歳以下に多く、急性。十二指腸潰瘍はピロリ菌が陽性で10歳以上に多く、慢性的。このような違いがあります。激しい腹痛とともに、嘔吐・吐血・タール便が見られ、乳幼児の場合は大量吐血することもあります。

 

 

ストレスなども原因に! 予防策をしっかりとろう!

≪心因性の腹痛≫

赤ちゃんや幼児にはあまり見られませんが、もう少し年齢が上がると心因性の腹痛もあります。熱や嘔吐もなく「おなかが痛い」と言うだけの場合は、ストレスや不安による心因性の腹痛が考えられます。反復性臍疝痛(はんぷくせいさいせんつう)と呼ばれることもあります。平日の登校前に多い、寝ているとき・遊んでいるとき・休みの日には起こらない、といった特徴があります。大人はついつい「気のもちよう!」と言いたくなりますが、極度の緊張で自律神経が乱れ胃腸が過敏になることは、誰にでも大いにあり得ることです。仮病と決めつけてしまわず、「気になっているけどうまく表現できない悩みがある」サインだと捉え、まずは話を聞くところから始めます。原因がわかれば対処したり、子どもにとって心地よい環境をととのえてあげたりと手助けしてあげましょう。

 

◆予防策

しっかり睡眠をとる、適切な食事をとる、日中は戸外で活動し日光を浴びる、夢中になれる趣味をもつ、家族や友人とのおしゃべりを楽しむ、排便のリズムをつくる

 

 

特に心配のいらないものから急を要するものまで、子どもの腹痛に関する各症状をまとめました。放置してよい腹痛などありませんが、子どもが「おなかが痛い」と泣いたり訴えたりするときは、様子を見るか速やかに医療機関へ連れて行くかを判断できるよう、知識をもっておくとよいのではないでしょうか。 ふだんから生活のリズムと排便習慣を身につけさせ、健康で丈夫な体をつくっていくことが何よりの近道といえそうです。

 

 

プロフィール

監修:宮原光興

医療法人社団悠翔会 悠翔会在宅クリニック川崎 院長

宮原裕美
芝パーククリニック 内科医員

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