保護者の過干渉も一因? 子どもの非行行動の原因を探る
きょうだいをいじめる、嘘をつく、保護者の財布からお金を持ち出す……子どもにこのような問題行動があらわれた時、保護者はどのように対応したらよいだろうか。少年非行に詳しい立正大学社会福祉学部教授の村尾泰弘氏は、「このような場合、子どもは心に大きなストレスを抱えていることがある」と語る。ベネッセ教育情報サイトでは、子どもが問題行動を起こす理由について村尾氏に話を伺った。
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子どもは、人間関係の中に何らかのストレスがあると、そのはけ口として非行行動をとりがちです。非行行動は、最初は保護者の目の届くところで起こります。
幼児であれば、友達をいじめる、友達におもちゃを貸さない、小学生であれば、嘘をつく、頻繁にケガをする、きょうだいをいじめるなどが挙げられます。この段階で子どものストレスが解消されなければ、家庭外の学校や社会で非行行動を行ってしまうことがあります。お金の持ち出しや万引きになると事態はより深刻で、日々の生活において子どもが何らかの欲求不満を抱えていることは明らかです。
多くのご家庭から少年非行に関する相談を受けますが、「うちの子に限ってなぜ問題行動を起こすのかわからない」と言われることが少なくありません。多くの保護者が子どもを思いやるあまり過保護や過干渉になってしまい、それが子どもの負担になっている場合があります。保護者の期待や要求に応えようと、かなり無理をしてしまうのです。上手にそのストレスを解消できる子もいれば、保護者に本音を言えず欲求不満になり、非行行動でそのストレスを解消しようとする子もいるのです。
非行行動は子どもからのSOSであるととらえ、原因を追求するとともに、家庭でのコミュニケーションが一方通行になっていないか振り返っていただきたいと思います。多くの保護者がよかれと思っている行動が、子どもの負担になっている可能性もあるのです。
出典:どうする? 子どもの問題行動【前編】 -ベネッセ教育情報サイト