どうする? 子どもの問題行動【前編】~子どもの問題行動は親へのSOS~

保護者に嘘をつく、きょうだいをいじめる、保護者のお財布からお金を持ち出す……、これらの行動をお子さまが起こした場合、お子さまは心に大きなストレスを抱えているかもしれません。今回は、少年非行に詳しい立正大学社会福祉学部教授の村尾泰弘先生に、子どもが非行を中心とした問題行動を起こしてしまう理由についてお伺いしました。



子どもの問題行動はストレスを感じている証拠

わたしは以前、家庭裁判所調査官として、少年非行の問題に関わってきました。現在も、大学で教壇に立つかたわら、相談室や児童養護施設のスーパーバイザーとして、子どもの非行を中心とした問題行動について相談を受けています。少年非行にはさまざまな定義がありますが、家庭裁判所では少年による非行を、3つの種類に分けています。


【少年非行とは】
・犯罪少年…14歳以上20歳未満の犯罪をした少年
・触法少年…14歳未満の刑罰法令に触れる行為をした児童
・ぐ犯少年…今のままの状態を続けると犯罪行為をしてしまう、または刑罰法令に触れる行為をしてしまう
         可能性が高い20歳未満の少年

どの非行行動も、子どもから発せられるSOSのメッセージであることが多いのです。その子を取り巻く人間関係の中に何らかのストレスがあり、そのはけ口として万引きなどの非行行動をとってしまうことが多いのです。特に多いのは保護者やきょうだいとの人間関係においてトラブルを抱えている場合ですが、友達や先輩との関係、先生との関係でストレスを感じて問題行動に至ることもあります。子どもは、自分の気持ちを内省し、保護者や第三者に伝える力が未熟なため、無意識のうちにきょうだいをいじめたり、万引きをしたりすることで、親の関心を引こうとする場合があるのです。



気を付けたいお子さまからのサイン

非行行動は、最初は保護者の目の届く家庭内で起こります。幼児であれば、友達をいじめる、友達におもちゃを貸さないということが頻繁に続けば、何らかのストレスを抱えている可能性があります。小学生であれば、嘘をつく、頻繁にケガをする、きょうだいをいじめるなどが挙げられます。
その段階でお子さまのストレスが解消されなければ、家庭外の学校や社会で非行行動を行ってしまうことがあります。お金の持ち出しや万引きになると、事態はより深刻です。お子さまが日々の生活において何らかの欲求不満を抱えていることは明らかですので、早めの手立てが必要になってきます。



子どもに問題行動の多い家庭とは?

多くのご家庭から少年非行に関する相談を受けますが、「うちの子に限ってなぜ問題行動を起こすのかわからない」と言われることも少なくありません。多くの保護者がお子さまを「良い子」に育てようと、さまざまな努力や工夫をされていると思います。しかし、お子さまを思いやるあまりに、過保護や過干渉になってしまい、それがお子さまの負担になっている場合があります。保護者の期待や要求が高くて、お子さまはそれに応えようとしてかなり無理をしてしまうのです。上手にそのストレスを解消できる子もいれば、保護者に本音を言えず欲求不満がたまり、非行行動でそのストレスを解消しようとする子もいるのです。
ですから、お子さまの非行行動は何らかのお子さまからのSOSであるととらえ、原因を追求するとともに、家庭でのコミュニケーションが一方通行になっていないか振り返っていただきたいと思います。多くの保護者が良かれと思って取っている行動が、お子さまにとって負担になっている可能性もあります。

次回は、具体的な対応策についてお話ししたいと思います。


プロフィール


村尾泰弘

立正大学社会福祉学部教授。家庭裁判所調査官として非行や離婚等の家庭問題にかかわった後、立正大学専任講師、助教授を経て、現職。主な著書に『非行臨床の理論と実践-被害者意識のパラドックス』(金子書房)、『Q&A少年非行を知るための基礎知識』(明石書店、編著)

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