心理学専門の大学教授に聞く 思い込みを上手に使った子育て法
保護者の声かけや態度が、子どもの思い込みにつながることがある。思い込みを上手に活用し、子育てに生かす方法はあるのだろうか? ベネッセ教育情報サイトでは、人格形成や思い込みの分野の研究が専門の四国大学教授・鈴木敏昭氏に、思い込みを活用しながら子どもをのびのびと育てていくポイントについて伺った。
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子どものころに刷り込まれた思い込みは、大人になってからも考え方や行動に影響を与えることがあります。思い込みには、マイナスの思い込みとプラスの思い込みがあります。もっとも、人生においてすべての思い込みを排除することはできません。そのため、マイナスの思い込みは極力ゼロにし、プラスの思い込みを上手に活用する方法を考えていくことが重要です。
プラスの思い込みの最たるものは、「自分の存在に価値がある」というものです。この自己肯定感は、「あなたがいるだけで幸せよ」という保護者からの言葉や態度から生まれるといわれています。そして、「自分ならばなんとかできるだろう」という自信となり、人生の多くの試練にへこたれずに立ち向かうための根源的なパワーになります。その前提の上に、適度な挫折を経験すると、しなやかな強さが備わっていきます。親の背を見せることも大切です。具体的な方法は「保護者の人間関係の充実度を見せること」と「夢中になれるものを見つけること」です。
母子密着の中から生まれる思い込みを回避するには、母の役割を担う者が自分(子ども)以外に懇意にする他者がいる、別の社会を持っていることを見せる必要があります。また、保護者が人生を楽しんでいるということを見せることで、子どもは自身の人生にも期待するようになります。そして、保護者を一人の人間として認識できるようにもなります。趣味でも仕事でも資格の勉強でもかまいません。自分が夢中になっている姿を子どもに見せるとよいでしょう。
出典:マイナスの思い込みは子育てに禁物! 子どもを枠にはめずにのびのび育てるには【後編】 -ベネッセ教育情報サイト