臨床心理士に聞く、幼児期の困った行動への対処法
「我が子はなぜいつも言うことを聞かないのか」「なぜわざわざダメだと言うことをするのか」。幼児期になると、子どもの行動に悩まされる保護者が増えてくるようだ。「幼児期の特徴を理解して、十分な愛着関係を築いてほしい」と語るのは、世田谷子どもクリニック副院長で臨床心理士の帆足暁子氏。帆足氏に、幼児期の困った行動への関わり方についてお話を伺った。
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幼児期の特徴は、保護者への依存から、愛着関係を基盤にして徐々に自立していくことにあります。「愛着」とは、保護者などの養育者と子どもの間に生まれる心の絆のこと。身近な人たちの愛情を感じることで育つ、情緒の安定と保護者への信頼感は「生きる力」の基礎となります。この愛着関係が確かなものになると、養育者を「安全基地」にして、そこから少しずつ対人関係が広がっていきます。0~2歳で十分に愛着関係を築けた子どもは、自己肯定感を身に付けることができ、自立に向けて自分の能力を発揮することができるようになるのです。
一方、十分に保護者との愛着関係を築けていない場合、問題行動を起こしてしまう場合があります。その多くは、自分の気持ちを十分に聞いてもらう経験が少ないことが原因ではないか、と感じています。
授乳時に目を合わせずスマホを見る。スマホのアプリで子どもをあやす。子どもが話しかけても話をじゅうぶんに聞かない。赤ちゃん時代から「自分のことを誰も見ていない」「自分の気持ちを誰にも聞いてもらえない」経験をすると、心の絆ができていないので、第1次反抗期に過剰に保護者を困らせる行動を起こすようになります。
子どもが困った行動をした場合、その子なりの理由が必ずあります。なぜ、その行動をしているのか、子どもの気持ちに寄り添い、言葉に出してほしいと思います。「本当はこうしたかったの?」「これが嫌なのね」と子どもの思いを言葉にして確かめて、「あなたの気持ちはわかる」と共感してあげることが大切です。
出典:幼児期の困った行動への関わり方【前編】裏側にある子どもの気持ちを考える -ベネッセ教育情報サイト