「好奇心を引き出すために、うちの場合はどうすればいい?」読者の疑問にズバリ回答!
最先端の脳画像研究を行う、脳医学者の瀧靖之(たき・やすゆき)先生の連載企画もいよいよ最終回! 「好奇心を育てるためには習い事はたくさんさせた方がいいの?」「忙しくてついテレビについ頼ってしまうけどやめた方がいいの?」。今回は、ママとパパの素朴な疑問に答えてくださいました。
ママ・パパの素朴な疑問を脳科学の専門家パパに聞いてみた!
瀧先生にお話を伺う連載企画も今回が最終回。
今回はママ・パパたちの素朴な疑問に答えていただきます!
疑問①:「好奇心」を引き出すには、たくさん習い事をやらせてあげると良い?
確かに習い事は子どもが何かに興味を持つ良い機会になりますが、やみくもに量を増やすのはどうかなと思います。
そもそも脳には年齢によって刺激を受けると発達しやすい時期というものがあります。
脳の成長年齢マップ
参考:瀧靖之(2016). 16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」を育てる究極のコツ (文響社)
視覚や聴覚は生まれてすぐに発達が始まるので、0歳のうちから図鑑や絵本・音楽に触れることで「感覚」や「感性」を磨くことができます。
3〜5歳にかけては、指先や手首の細かい動作に関する「運動野」が発達のピークを迎えます。
フィギュアスケートやバレエ、卓球といった、細かい動きをともなう運動や楽器を始めるなら、まさにこの時期がおすすめです。
このように、年齢によって発達する脳の分野が違ってくるので、その時に合った習い事をさせる方がスムーズに身につくのです。
その年齢に合わせて習い事を選んでもいいですし、「習い事」以外で取り組むこともできます。
それよりもやっぱり大事にしてほしいのは、子どもだけではなく、パパやママも同じことをやって見せることです。
ピアノを習っているなら、一緒にピアノを弾いてみたり、サッカーを習っているならボールを一緒に蹴ったり。
親が一緒に楽しむことがポイントです。
なぜなら、親の姿を見せることで子ども自身が「一緒にやりたい!」「楽しそう!」と主体的に思えることが大事だからです。
たとえ忙しくても、ここは頑張って時間をつくりたいところかなと思います。
私自身も息子と一緒にピアノを習っているのですが、毎朝練習時間をとって、地道な努力を続けています。(笑)
親も一緒になって習い事を楽しむ環境や時間をしっかりとつくる方が、むやみに習い事の種類を増やしていくより効率的だと思います。
親子が関わる時の褒め方のポイントは?
http://benesse.jp/kosodate/201709/20170904-2.html
疑問②:図鑑を買ってあげても、子どもが食いつかない…。どうしたらもっと興味を持ってくれるの?
ただ買い与えるだけではいけません。
子どもに図鑑を見てほしいなら、親も一緒に楽しんであげてください。
大切なのは親の関わりです。
親が図鑑を読んで、例えばクイズを作って子どもに出して遊んだりすれば、子どもの興味も惹きつけられると思います。
図鑑を通じて虫や動物、植物などに子どもが少しでも興味を持ったら、土日に「一緒に見に行こう」と出かけても良いですし、博物館や美術館、科学館、海や川、山などへ本物を見に行くのもいいでしょう。
そんな風に、親がバーチャルの世界とリアルの世界をつなげる機会を作っていく。
脳のしくみから言うと、これを繰り返すことで子どもの好奇心はさらに引き出されていくはずです。
疑問③:電車が大好きで他のことに興味が向かない…。いろんなモノ・コトに興味を持って欲しい!
まずは、そのまま突っ走ってもらって良いと思います。
そのある1つの分野を起点にして、いずれ他の分野にも興味が広がっていくと思います。
私自身は生物が好きなのですが、その中で例を挙げると、沖縄本島と宮古島と他の島では、同じ種類の鳥や虫でも模様が違うんですよ。
理由は、島の成り立ちの時期が違うからなんです。
そうすると、「じゃあ島はいつ頃できたんだろう」「同じ頃できた他の島はどこにあるだろう」というふうに歴史や地理に興味が広がって、さらに「実際にその島に行ってみて観察したい」と思って、旅行という実際の行動につながることもあります。
大切なのは、親の決めつけで、子どもの好奇心にブレーキをかけないことです。
質問にあったように、興味がある電車以外にも、いろんなモノ・コトに興味が向くよう親が働きかけることはできますが、だからと言って、「親の好みを優先して、いま、やりたいことをやらせない」のはよくありません。
電車が好きなら電車で好き放題やってもらって良いと思いますよ。
そのうえで、ほかのことに興味を持つかどうか見守ってみる。
好き嫌いなく比較的何でも興味を持つ3歳・4歳・5歳くらいの時は、親の努力も必要だとは思います。
一緒に楽しんだり、親が楽しんで見せたり、こういうことにも興味を持つのかな?と新しいモノ・コトを試してみたり、時には少し待ってみたり。
そうすることで、子どもは自分の好奇心をきっかけに、学びの広げ方を学ぶので、あとは自力で進んでくれるようになります。
一緒にと言っても、必ずしも横に並んで同じページを読まなくてもいい。
例えば前回もお話ししましたが、我が家では私が夜に息子の図鑑を読んで、息子と一緒にいる時に図鑑の内容をクイズで出す、ということをしています。
それだけでも息子は「お父さんは同じ図鑑を読んでいる」「同じことに興味を持っている」、自分の興味関心を受け止めてもらえていると、感じてくれているんじゃないかなと思います。
好奇心の引き出し方をもっと詳しく!
http://benesse.jp/kosodate/201709/20170904-3.html
疑問④:集中力がなく、すぐに他のことに興味が移る我が子。どうしたら集中して取り組む姿勢が身に付く?
子どもが長時間集中することって、そもそも難しいですよね。
うちの息子も同じで集中力も落ち着きもありません。
スーパーに行っても、「なんでこんなに落ち着きがないんだろう」って思いますから(笑)。
でも、興味の対象がいっぱいあるなら、今はそのままやらせてあげれば良いと思いますよ。
いずれ本当に好きなことに出会ったら集中して取り組むようになると思います。
息子は今、恐竜にはまっているんですが、その分野に対する集中力には本当に驚かされますね。
古生代とかカンブリア紀とかも覚えて、そのうち恐竜から鳥に進化して。そこから爬虫類や両生類に興味が向いて、脊椎動物とかいまや魚類にも興味が出てきて…。
一見目移りしているようにも見えますが、一つ一つのテーマへの取り組み方をみていると、実はすごい集中力を発揮しているかもしれないんです。
そう捉えれば、別に問題じゃないと考えることもできます。
あとは、いまはまだ本気で集中していないとしてもいつか、本当に興味があることが見えてくる時が来るので、気長に見て良いと思います。
疑問⑤:保育園から帰ってくると、家事も多くて、テレビをつけてしまいがち。これって良くない?
いえ、難しく考えなくて良いと思います。うちもテレビをつけますよ。
何でも極論で判断するのは良くなくて、テレビを無理にやめさせる必要はない。
やりたいことをやめさせるとストレスになるというのもありますし、むしろうまく活用すれば良いと思います。
うちの場合は動物系の番組に絞ったり、時間を決めたりしています。
動物系の番組であれば親子共通の興味ですし、動物の名前を覚えたり、実際に動物園に行って実物を見たり、興味の範囲を広げてくれるんです。
図鑑ではわからない動物や昆虫の動きがテレビでは見えますから、やはり魅力的ですよね。
だらだらと見続けてしまって、運動したり親子で会話したりという機会を失ってしまうのは確かに良くないかもしれません。
でも、テーマや時間を決めてテレビを見るということは、好奇心を伸ばすきっかけの1つになると思います。
疑問⑥:幼稚園でプログラムや幼児教材を使っていれば、家で何もしなくても好奇心は伸ばせる?
園で経験できることと、家族で一緒にできることは本質的に違うと私は思っています。
コミュニケーションを通して親子関係をつくりあげていくことが、将来長い目で考えた時に精神的な安定につながると、一般的には言われていますね。
精神的に安定すると、好奇心を伸ばす土台がつくられる。
だからこそ、親子で過ごす時間をできるだけつくることは大切になってきます。
例えば家でできる子どもの興味関心を広げることという観点で、よくできているなあと思う教材が<こどもちゃれんじ>なんです。
これは親子で一緒に楽しめる内容になっていますね。
最初は絵本やDVDなどで一つのテーマを深堀りしていって、次は外に出てみようというように提案している。
また時期によって子どもたちが興味を持つようなテーマに変わっていくのも、子どもの好奇心を伸ばす上で良い影響があると思います。
そして親向けの情報誌も付いていて、子どもとどう関わるか、どのように教材を活用すればいいかということをガイドしてくれるんですね。
まさにこれは、私の伝えたいことでもあるんです。
基本は「親子で一緒にやる姿勢を持つ」ということが大事です。
習い事や教材は、あくまで学びのきっかけや材料を与えてくれるもの。
そんな風に捉えて、親子で楽しむ方法を探してみてはいかがでしょうか。
あなたも<こどもちゃれんじ>をチェック
http://www2.shimajiro.co.jp/?s_oid=kochaad_kjkiji20170929_top
イラスト:©うえたに夫婦