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総合監修:二瓶 健次 先生
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病気と予防アドバイス - 心とことば
おもらしをしてしまったことを強く怒ってしまい、それからはお出かけやお風呂などすぐにトイレに行けないときには大泣きしてしまいます。もう8ヵ月続いているのですが、神経科に連れていった方がいいですか?
下の子が1泊入院することになり、いつもと変わらない生活と説明したのですが、ひとりで夜も家にいなければいけないと思ったらしく、その週は幼稚園で2回、家で2回おもらしをしました。オムツはずれもスム-ズでその後おもらし、おねしょも3回ぐらいだったので、強く怒ってしまい、それから頻尿になってしまいました。
今は家では落ち着いていますが、お出かけ、お風呂など今すぐトイレに行けないと思うと大泣きしてしまいます。もう8ヵ月続いているのですが、神経科に連れていった方がいいですか?
心因性頻尿のようです。お子さんの不安や緊張を受け止め、リラックスさせてあげましょう。頻尿の経過が長いので一度小児神経科を受診されることをおすすめします。
頻尿の原因として、心因性のものと病気によるものがあります。
病気によるものには、膀胱(ぼうこう)炎がありますが、この場合は発熱があり元気がなくなりますし、尿に白血球が多くなっているので診断がつきます。
また、たくさん水を飲んでたくさん尿が出る多飲、多尿がありますが、これは尿崩(にょうほう)症というまれな内分泌系の病気です。
一方、心因性の頻尿は幼児から大人まで比較的よく見られる症状で、精神的ストレスによって起こります。尿量が多いわけではないのにトイレ通いを繰り返しますが、何かに夢中になっていたり、寝ついてしまうと忘れているのが心因性頻尿の特徴です。
ご相談のお子さんは、症状から膀胱炎や尿崩症といった病気は考えられませんので、緊張が続いたときにおもらしをしてしまい、さらに強く叱られたことが引き金になって心因性頻尿の症状が出てきたのでしょう。
「またおもらししたらどうしよう」という不安が強く、緊張が高まると実際に尿意を催すこともありますし、すぐにトイレに行かれない状況で大泣きとなってしまうのです。小さい子どもの頻尿は、まわりの大人が神経質にならず見守っているうちに自然に治ります。
しかし、8ヵ月間続いているとのことですが、幼稚園ではどのように対応されてきたのでしょうか?
5歳とはいえ、子どもにもプライドがあります。トイレに行くことをお友だちに指摘されるとお子さんの緊張が続きます。頻尿という症状だけではなく、お子さんの心の問題としてとらえ、頻尿を治そうとするのではなく、お子さんの不安や緊張を受け止め、リラックスさせてあげてください。
不安があってもうまくその場を切り抜けられたときに「トイレに行かれないのが心配だったけど大丈夫だったね、がんばったね」といった言葉をかけ、お子さんの気持ちを受け止めつつ安心させ、少しずつ自信をつけてあげましょう。
頻尿の経過が長いときは、臨床心理士による遊戯療法が有効な場合もあります。遊びの中で自己表現をさせながら、緊張したお子さんの心を解きほぐしていきます。
できれば一度小児神経科を受診されることをおすすめします。