【数学】大学入学共通テスト分析&対策-2023年の特徴から考える傾向-
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2023年1月14、15日に3年目となる「大学入学共通テスト」(以下、共通テスト)が実施されました。ここでは、今回の数学のテストの特徴を紹介します。
そこから考えられる共通テストの大きな傾向、そして対策を考えていきましょう。
現実の事象を数学的な観点で考察する問題が増加
数学におけるセンター試験と共通テストの決定的な違いとして、現実の事象をテーマとした問題が出題されるようになったことが挙げられます。
今年の数学Ⅰ・数学Aではバスケットボールのシュートの軌道を考察する「2次関数」の問題が出題されました。
また、数学Ⅱ・数学Bではソメイヨシノの開花予想日を考える「微分法と積分法」の問題が出題されました。
これらの問題は、タイトルだけ聞くと題材に関する特別な知識や難しい計算をこなす力が求められているように思われるかもしれません。しかし、実際に強く求められている力はそれらではありません。これらの問題では、複雑な現実の事象が簡単になるように数式を用いて【設定】され、その設定に則った出題がされています。そのため、求められる力は与えられた設定から必要な数値・情報を探し出し、解答する力であるといえます。
このような現実の事象を数学的に考える問題は、共通テストへの移行後、数学Ⅰ・数学Aでは必出、数学Ⅱ・数学Bにおいても出題されることが多く、今後も同じ傾向が続くと予想できます。
なかなか普段の学習の中では練習しにくい部分かと思いますので、模擬試験や共通テスト対策の教材を使用して、同様の形式の問題で対策をするのが効果的です。
- ■バスケットボールのシュートの軌跡など、現実の事象が簡単に【設定】された問題が出題
- ■現実の事象を扱う問題では必要な数値・情報を探し出し、解答する力が求められる
長文や会話形式から情報を読み取り解答する形式の問題が引き続き出題
先述の現実の事象をテーマとした問題と並んで、共通テストならではの傾向として、長い問題文や登場人物同士の会話文での出題が挙げられます。
共通テストでは1つのテーマを深掘りしていく形式の問題も多く、その深掘りの方法が長文で説明されていたり、2人の登場人物による会話形式で提示されていたりすることがあります。
こういった特徴により、センター試験と比べて問題文が長くなりがちです。
今年の問題においても、たとえば、数学Ⅰ・数学Aの第4問「整数の性質」は、数式がまったく登場せず、長い問題文と会話文で構成されている、特徴的な出題でした。
また、数学Ⅰ・数学Aの第5問「図形の性質」では作図手順をテーマとした問題が出題され、手順が文章で説明されていることにより、長い問題文を読む必要がありました。
このような長文・会話文の形式の問題において求められる力は、先述の現実の事象をテーマとした問題と同様に、必要な数値・情報を探し出し、整理して解答する力であるといえます。この形式の問題は今後出題が増えていくことが予想されますので、現実の事象をテーマとした問題と合わせて、似た形式の問題で演習をするのが効果的です。
- ■数式がまったく登場しない問題(や作図手順が文章で説明されている問題)など、長い問題文や会話文での出題に特徴
- ■長文・会話文から必要な数値・情報を探し出し、整理して解答する力が求められる
選択肢形式の問題の割合が増加
センター試験の数学は、計算結果の数値を答える形式の問題が中心でした。
しかし、共通テストへの移行後、選択肢形式の問題が増加しているという特徴があります。そしてそれは年々顕著になってきているといえるでしょう。
たとえば今年の数学Ⅱ・数学Bでは、第5問「ベクトル」にて数式や当てはまる記号だけでなく、「与えられた問題からわかること」が文章の形で選択肢となり、出題されています。
この出題の意図することは、計算力を問うことではありません。
もちろん、共通テスト全体をとおして計算力は求められますが、とりわけこの問題においては、計算力よりも思考力が問われていることがわかるかと思います。選択肢が数式の形ではなく文章で表されていることによって、正答を選ぶためには問題の状況を正しく理解していることが必要になります。
このような形式の問題に対応するためには、「この式はどういう意味があるのか」「この問題では何を求めているのか」などの形で、数学的な状況を言葉で言い表す練習をすることが効果的です。
来年以降、選択肢の問題がさらに増加するのか、減少傾向となるのかはわかりませんが、これは数学の学習を進めるうえで非常に大切であり、理解を深めるのに有効ですので、ぜひ考えてみましょう。
- ■数式や記号、文章を選ぶ選択肢形式の問題の割合が増加
- ■共通テストの選択肢形式の問題では、問題の状況を正しく理解することが求められる
まとめ & 実践 TIPS
2023年の数学の共通テストの特徴をまとめると、以下の3つが代表的なものといえます。
- ①現実の事象を数学的な観点で考察する問題が増加
- ②長文や会話形式から情報を読み取り解答する形式の問題が引き続き出題
- ③選択肢形式の問題の割合が増加
どれも共通テストらしい出題で、なかなか普段の学習では対策しづらいところかと思います。
もちろん、そういった問題を教材から探して解いていくことは大切ですが、共通テスト形式の問題を解くためには基礎力もとても大切になります。
今回の記事の中では挙げていませんが、実際に今年の共通テストでも基礎的な計算力を問う問題は引き続き出題されています。まずは基本的な問題が十分解ける力を付け、その後共通テストの《形式》に対する対策をして慣れていくことが効率的かと思われます。
センター試験から共通テストに変わって3年が経ち、共通テスト全体としての特徴や傾向がだんだんと見えてくる一方で、平均点の変化が大きかったり、まだまだ不確定な要素も多くあったりと、不安な気持ちになることがあるかもしれません。
しかし、対策として行うことは基礎の定着と形式への慣れであることに変わりはありません。まずは基礎固めから、コツコツがんばっていきましょう!
株式会社プランディット 編集事業部 数学課 斎藤
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、数学の教材編集を担当。
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