子どもに合った志望校の選び方:6年生春編

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中学受験を成功させるためには、6年生の春頃には志望校の検討を本格化しておくことが必要です。志望校の検討の際にどのような観点から学校を検討していけばよいのか、森上教育研究所がお伝えします。

この記事のポイント

子どもをここで学ばせたいと思う「校風」か確認を

建学の精神、学校文化は子どもに合うか

私立の中高一貫校の場合、学校文化や建学の精神に基づいた校風にははっきりとした個性があります。自主独立を重んじるのか、調和を重んじるのかによって、教育姿勢はかなり違ったものになるでしょう。思春期の子どもを通わせるわけですから、まず親御さんがそうした学校の姿勢に共感し、子どもに合うと考えられるかどうかを確認することが基本となります。

私学の場合は宗教系の学校も多く、それが学校文化の中心となっている場合もあります。キリスト教系であれば個性がはっきりしており、自主性や生徒個々人の個性を重んじたり、授業中に議論をさせたりするなど、授業や行事にも特徴があります。

仏教系の場合は調和を重んじるなど日本人にとっては自然で身近な校風であることが多いという良さがあります。ただ、宗教については道徳の時間や行事以外では直接扱わない場合も多いため、宗教そのものよりもどのような教育方針かという点に着目すべきでしょう。

男子校、女子校、共学のどれを選ぶか

男子校・女子校といった別学を選ぶか、共学を選ぶかによっても校風は大きく変わってきます。男子校・女子校では、その性別の良さが学校内で行事などを通して十分に発揮される点が強みです。男子は女子の目を気にせず、女子も男子の目を気にすることなく活動できるため、文化祭や体育祭など行事も盛り上がりますし、学校生活においても伸び伸びと過ごせます。

一方共学は、異性の目を気にする部分はあるものの、男子も女子も校内で一緒に活動するため、男性女性に関係なく人間同士として多くの時間を共有することになります。そのため相手の性別を気にすることなくコミュニケーションを取る力が鍛えられるという良さがあります。

ただ男子校、女子校については偏差値の偏りがあるためお子さんの成績に合う学校がない場合もあります。「絶対男子校に行かせたい」と絞りすぎてしまうと、志望校選びの幅が狭まってしまう可能性もあるため、ここは柔軟に「ちょうどよい学校があれば選ぶ」程度で考えたほうがよいでしょう。

偏差値は現状+5まで大丈夫だが、入学後の序列も考慮に入れて

6年生の2学期の学力の伸びで偏差値は+5も可能

校風などが魅力的だけど現状のお子さんの偏差値と学校の偏差値とが離れているので、どうすればよいかと悩むかたもいらっしゃるかと思います。しかし、6年生の2学期に多くのお子さんは学力がぐっと伸びます。

6年生の春の時点から偏差値+5くらいはがんばりしだいで十分伸びますから、その程度の範囲内であれば上を見て志望校を決めてもいいでしょう。ただ偏差値が10離れると6年生の2学期に追いつくのは難しくなるので注意しましょう。

入学後の校内の成績は真ん中以上にいられるように

自分の偏差値以上の学校にチャレンジする場合は、入学後の校内の成績についても考えておく必要があります。せっかく志望校に合格しても校内で成績が最下位レベルになってしまうと学校が面白くなくなってしまいます。できれば、ギリギリでの入学ではなく、校内の成績が真ん中以上を確保できるような学校をめざしたいところです。

ただし、チャレンジをあきらめるべきというわけではありません。実力以上の学校を目指す場合は、お子さんに学校は成績で序列がつく場所であり、もしチャレンジ校で合格を勝ち取った場合は、入学後にしっかりがんばらなければ学校生活が楽しくなくなる可能性があることはきちんと伝えておきましょう。

安全に通わせられる場所か、あるいは寮生活をさせるか

同世代との寮生活も得るものは大きい

学校選びでは立地も重要です。一人で安全に通わせることができる通学距離であり、何かあったときに親御さんがすぐにかけつけることができる立地かどうか必ず検討しましょう。ただし、遠距離の場所であってもお子さんに寮生活をさせるという選択肢もあります。

たとえば、商売をされているご家庭や離婚をされているご家庭などで親御さんがとても忙しくてお子さんの教育に十分時間を割くことができない場合は、お子さんの生活環境ごと見てもらうことができる寮に入れることも考えるべきでしょう。寮は同世代のお子さんや先輩と四六時中一緒に過ごして時には議論もすることで人間を丸ごと見る視点が身に付けられます。

思春期は男子も女子も同性の中で真剣に人格を磨く時期ですから、寮生活は思ってもみない教育効果が生まれます。中学からお子さんと離れるのは寂しいと感じる親御さんも多いかと思いますが、寮という選択肢も頭の片隅に置いておくとよいかと思います。

最終的な選択は子ども自身に

押し付けられたと思わせないように

志望校をある程度の範囲までリストアップするところまでは、親御さんが担うべきでしょう。しかし、最終的な志望校を決める部分では、お子さん自身が選んだ形にすることが重要です。この時期のお子さんは成長段階で気持ちが変わることもしばしばあります。そうしたときに、親御さんが決めた学校だと「なぜこの学校に入れたんだ」と言われる事態になってしまいます。

親御さんがぜひここに行かせたいと惚れ込んだ学校があればそれは親の希望としてきちんと伝えるべきですが、最終的にはお子さん自身が納得して志望校を決定する形を取れるよう注意してください。

まとめ & 実践 TIPS

志望校の検討の際に確認したいポイントは以下の通りです。
・子どもをここで学ばせたいと思う「校風」かどうか
 建学の精神、学校文化は子どもに合うか、男子校、女子校、共学のどれを選ぶか
・偏差値は子どもの学力の伸びしろの範囲内か
 偏差値は現状+5の範囲の学校か、入学後の校内の成績は最下位レベルにならないか
・安全に通わせられる場所か、あるいは寮生活をさせるか

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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