小論文の書き方講座 具体例と意見を効果的につなげるには?
適切な具体例で意見の説得力もUP!
小論文の問題では、「具体例を用いて自分の考えを述べなさい」という条件がありますが、いざ書き始めてみると、「具体例と意見のつなげ方が難しい…」「意見に対して、具体例がしっくりこない…」と手が止まってしまうこと、ありますよね。
そんなお悩みを解決する方法は、まず原因を探ることです! 小論文に限らず、何かにつまずいた時はよくやることですよね。ここでは、「具体例と意見のつなげ方が難しい」という悩みを、2つの原因から考えてみましょう。
【原因その1】意見がきちんと固まっていない!
自分では「この具体例しかない!」と思うのに、どうも具体例がしっくりこないという場合、自分の意見がきちんと固まっていないことが考えられます。そもそも、自分の本当の意見がよくわかっていないのかもしれません。
具体例とは、そもそも自分の意見やその理由を補強・補完するためのものです。つまり、具体例を用いることで、意見の説得力を高めるというわけです。そのため、意見が固まっていなければ、具体例を考える際も何を拠り所とするべきかわからなくなり、うまく書けない…と感じてしまいます。
「この具体例で適切なのか…」と悩んだ時には、まず「何を一番伝えたいのかが、自分の頭の中で固まっている?」と自問してみましょう。そこで意見があいまいだと気づけば、意見を練り直し、そのうえで適切な具体例を再考してみてください。
逆から考えるパターンもあります。
自分の本当の意見は、その具体例の中に隠れている場合が多いものです。「なぜ、この具体例を思いついたのか? この具体例によって何を示したいと思ったのか?」が明確になれば、自分が一番伝えたいこと(=意見)に気づくこともあります。具体例で示したかったことに合わせて、意見を修正していきましょう。
【原因その2】具体例が、意見の主旨とずれてしまう!
「具体例と意見のつなげ方が難しい」という原因の二つ目に、意見の主旨と、具体例で述べられているポイントがずれてしまうということが考えられます。
意見と理由の筋はきちんと通っているのに、具体例を加えることで意見の焦点がぶれてしまうパターンです。この場合は、意見の内容を詳しく説明しながら具体例を示すとポイントがずれにくくなります。
例えば、「人は見かけで判断してはだめだ」という意見があったとしましょう。
この意見を詳しくするために、
「例えば、制服はその人の立場や役職などを表すが、そのせいで制服を着ていることがその人の性質をも表していると錯覚させてしまうという弊害がある。公的機関の制服を着ていれば、それだけで簡単に信用してしまう傾向があるだろう。また、よく知る企業名の入った制服を着ていれば、確認もせずに家に入れてしまう可能性があるのではないか。実際、そのために起きた事件もある。」
というように、「人は見かけで判断してはだめだ」という意見を、「人は見かけで判断する傾向がある」という点と、「見かけで判断した結果の影響」という点に分けて具体的に説明しています。
このように、意見を要素に分けて考え、それぞれの要素に対して具体的に説明していきます。また、上記のように自分の意見とは逆の事象を考え、それに反論する形で具体例を示すと説得力が高まります。逆に、自分の意見の通りに事象が行われた結果のメリットを具体例として示すことも効果的です。
以上のように、意見と具体例をうまくつなげられない時には必ず原因があるので、その原因をまず考え、どこが問題なのかを明らかにしましょう。そのうえで、これまで述べたポイントを活用し、意見に説得力を持たせられる具体例を書きましょう。
文/進研ゼミ高校講座 受験情報担当 伊藤
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