受験のプロが贈る高校入学直前メッセージ「背中を押す」ことのススメ
高校入学前の春休みは、お子さまの将来について、長い目線で考えるのにふさわしい時期といえます。高校での学習では、中学校以上に「自立」と「主体性」が求められます。そのために保護者ができることはなんでしょうか。
進研ゼミ高校受験総合情報センター長の浅野剛がお伝えします。
高校の授業は受け身でなく、課題や問いを持って臨むことが大切
中学校までは義務教育でしたが、高校は自分の意志で選び、主体的に学ぶ場です。基礎的な知識・技能を活用してさまざまな課題について考えていく探究的な学習も増えてきます。ただ授業を受け身で聞けばいいのではなく、課題や問いを持って、主体的に授業に臨むことが大切なのです。
今の子どもたちは、世界や身の回りで起きている出来事について意見をアウトプットすることが苦手だといわれます。しかし、これは私たち大人にも責任があるかもしれません。職場や家庭で、ニュースや社会情勢について話題にしたり議論したりする習慣のある大人は、日本では少ないように思います。意見を形成するには知識がいります。
たとえばある紛争地のニュースについて「あなたはどう思いますか?」と尋ねられたとき、その地域について何も知らなければ答えられませんが、そこに仕事上でつながりがあったり、ましてや友達が住んでいたりすれば、何らかの意見は生まれてくるのではないでしょうか。「知る」にはきっかけが必要なのです。
「知る」きっかけとしてニュースを話題に取り上げる
保護者のかたも、ぜひ世界で起きていることや身近なニュースについて、意識して話題にしてみてください。目の前のことで忙しくてそんな余裕はないと思われるかもしれませんが、子育てや介護と社会情勢、家族を支える仕事と経済情勢など、日頃判断を迫られている身近な問題の多くは地域社会や日本、世界とつながっています。
また、同じニュースを見ても、大人と子どもの感じ方は違うかもしれません。子どもに「教える」という立場ではなく、話題のひとつとして取り上げてみてはいかがでしょうか。
世界を知るチャンスに向けて背中を押す
高校生になると、海外研修やボランティアなどを通して、未知の世界を知るチャンスは中学校時代より大きく広がります。環境の異なる国や地域、考え方の異なる人と知り合う原体験は、好奇心や問題意識を広げ、考える力を深めます。
そういう機会があれば、ぜひ積極的にお子さまの背中を押してあげていただきたいと思います。
保護者の「迷い」も子どもの考える材料に
現在は「予測不能社会」などといわれます。「よい学校を出て大企業に勤めれば安心」といったかつてのロールモデルが崩れ、多くの大人が、自分自身をどう生きるべきか悩んでいる時代だと思います。子どもに何を伝えるべきか、いちばん悩んでいるのは保護者かもしれません。
私は社会人になってすぐにバブルがはじけた世代の人間ですが、下の世代のほうが景気のよい時代を知らないので、かえって強いと感じることがあります。今の中高生にとっては、バブルもリーマンショックも既に「歴史」ですね。物事の感じ方は世代や立場によって異なりますが、親も子も、同じ時代を生きている人間どうしです。
高校進学をきっかけに、お子さまとのつきあいを若干「大人寄り」にシフトし、保護者のかた自身が抱えている迷いや悩みも、少し話題にしてもよいかもしれません。「教える」より「ともに考える」関係で、親子がともに成長していけたらいいですね。
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