保護者ができる、学部選びへのアドバイス
大学が扱っている学問の種類は保護者世代の学生時代とは大きく異なっており、学部選びに迷うお子さまも少なくないようです。お子さまに学部選びを相談された時、どのようなアドバイスをしたらよいでしょうか。
学部名に惑わされず、中身の確認を!
ご自身が大学受験を経験されたかたは、当時のことを思い出してみてください。どの学問を学ぶか、どの大学に行くか迷ったご経験はあるかもしれませんが、大学の学部名自体にそれほど多くの種類はなかったはずです。ところが現在、日本の大学の学部名はきわめてバラエティに富んでいます。「文学士」「法学士」といった、学部を卒業した時に得られる「学士」の種類は、1991年まで29種類でしたが、現在は700種類以上あると言われています。
多くの大学が独自色を出すために、また、より今の時代に即した学びができることを強調するために、「グローバル○○学部」「先進○○学部」「現代○○学部」といったこれまでにない名前の学部をつくっていますが、かえって何を学べるのかがわかりにくくなっているケースもあるようです。つまり最近の学部選びでは学部名だけでなく、何が学べるか、中身をしっかり把握することの大切さが増していると言えます。
お子さまから学部選びの相談を受けたら、まずは保護者のかた自身が、学部名から得られるイメージだけで本人への向き不向きを判断しないことが大切です。そしてお子さまに対しては、以下の3点を調べてみたかどうか、確認してみてください。
実際に学べる内容を確認した?
学部名から「何となくこういうことが学べるのだろう」と判断するのは最も危険です。学部名は現代的でも、実際のカリキュラムは以前設置されていた学部とほとんど同じだったり、同じような学部名でも大学によって学べる内容がまったく違ったり、といったことは珍しくありません。大学案内やホームページ、オープンキャンパスなどを活用して、在籍している教員の専門分野や、実際にどんな内容の授業が行われているのか、先輩たちがどんな卒業研究をしてきたのかなどを確認させるとよいでしょう。
その学部で、将来の夢はかなえられる?
将来なりたい職業、将来に向けて取りたい資格などがある場合、また「在学中に長期留学したい」などハッキリした希望がある場合、本当にその学部・学科で実現できるかどうかは念入りに確認しておきたいところです。同じ学部内でも、学科によって制度のある/なしが異なることもあるので注意してください。また、制度があっても実際に実現した人がほとんどいない、といったケースもあるので、過去の実績まで確認しておけば、より安心できます。
ほかの大学と比較した?
気に入った大学・学部が見つかった時点で、「もう第一志望はここしかない!」と思い込んでしまっていたら要注意。吟味を重ねたうえで選んでいれば問題ありませんが、「ひとめぼれ」で決めてそのままになっているようであれば、同じ大学の別の学部や、他大学の似た学部との比較を促しましょう。より魅力的な大学・学部が見つかるかもしれません。もし見つからなかったとしても、「ほかと比べてここが一番自分に合っている」ということがわかれば、より志望意欲が高まり、学習にも熱が入ることでしょう。