受験校を絞り込む(1)合同説明会やパンフレットを活用しよう [高校受験]

公立高校も、合同説明会等で特色を見極めて

2学期の中盤になると、第1志望校はおおよそ固まりつつあるけれど、併願校はまだ決まっていないというかたが多いのではないでしょうか。

できれば10月中に、第1志望校はもちろん、受験を考えている学校のすべてに足を運んで、候補を絞り込んでおくことをおすすめします。11月末ごろから、中学ではお子さま・保護者のかた・担任の先生での三者面談が行われますが、この面談は合格可能性を前提に「受かりそうな受験校を決定する」話し合いになりがちです。その前に、お子さまは「自分に合った学校」、保護者のかたは「我が子を伸ばしてくれそうな学校」という視点で、受けたい学校を絞り込んでおく必要があるのです。

特に公立高校が第1志望の場合、内申点や通学しやすさ等の条件だけで決めてしまいがちですが、公立でも各校、それぞれに異なる文化や特色があります。さまざまな学校と接して志望校を客観的に見るため、合同説明会に参加してみるのもよいでしょう。多くの都道府県では、公立高校も合同説明会を開催していますので、ぜひ参加してみてください。たとえば東京都の場合、都内東部、中部、多摩地区の3会場で、例年10月末から都立高校の合同説明会が行われます。

また、都市部では、地下鉄や私鉄など、交通機関の相互乗り入れにより、以前なら遠くて通学が難しかった学校も通いやすくなっている場合があります。通学圏は広めに考え、実際にお子さまと足を運んで絞り込んでいってください。



学校案内やパンフレットから見えてくるもの

併願校について、まずは学校案内やパンフレットを見て検討されるかたが多いと思います。パンフレットを見比べると、各学校の方針の違いやカラーがある程度までははっきりと見えてきます。「国公立大学○名」「早慶○名」などと大学合格実績をストレートに示している学校もあれば、勉学と部活の両立をうたった質実剛健なもの、仏教系やキリスト教系の宗教教育による人格形成や、環境の豊かさや施設の充実を前面に出している学校もあります。

まずは資料から、その学校が何にいちばん力を入れているかを読み取ってください。お子さまはきれいな校舎やかわいい制服など、外面に目を奪われがちですが、大事なのは教育の中身です。いくら施設が立派でも、パンフレットに表れている学校の方針やカラーにどことなく違和感を覚えるなら、あまりおすすめはできません。

もちろん、掲げている方針と実態がかみ合っていない場合もあります。資料を検討して候補を絞り込んだあと、必ず学校見学や説明会に足を運ぶことが大切です。



大学合格実績の数字は確認しつつ、踊らされないこと

近年、前年の大学合格実績が、翌年の志願者数にダイレクトに影響する傾向が続いています。そのため、公立でも私立でも、難関大学への進学指導には力を入れざるを得ません。これまでは難易度も知名度も決して高くなかった私学が、特進コースを設けるなどして大学合格実績を上げ、その結果、数多くの志願者を集めているケースもたくさんあります。難関大学を目指すなら公立が優位と考えられていた地方でも、この傾向は顕著です。

もちろん、難関大学を目指すのは意味のあることです。ただし、保護者のかたには、高校は大学への通過点ではなく、お子さまが人格形成期を過ごす大切な場だということは忘れないでいただきたいと思います。高校で得た経験や興味・関心、友達と過ごした思い出は一生の宝物になります。繰り返しになりますが、大事なのは数字より教育の「中身」なのです。
教育の中身は数字だけでは測れません。「ここは、子どもが青春時代を送るのにふさわしい場所か」という観点を大切にしてください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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