「過去問」の取り組み方 [中学受験] 6年生
保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。6年生を対象に、志望校の過去問題、いわゆる「過去問」の取り組み方について取り上げます。
■過去5年~10年分を、古いほうから解く
志望校の過去問題を解く目的は、問題の傾向と、自分の弱点をつかみ、本番までに自信を付けることです。過去問は、塾ではやらない場合が多いので、ご家庭でしっかりと時間をとってください。10年分やれば安心。少なくとも5年分を用意し、古いほうから取り組みます。1月の受験直前期に、去年の問題の合格点がとれるようになることを目標にしてください。
■最初は、半分以下しかできなくても当然
過去問は、最初は「できなくて当たり前」と考え、お子さまにもそう伝えてください。「こんなに難しいのはできない」「どうせだめだ」などと、弱気にさせないことです。時間も、60分のところを75分にするなど、お子さまの様子を見て長めに取ってあげてください。
難しい問題は飛ばしてけっこうです。大事なのは、「落としてはいけない基本問題を落とさない」ようにすることです。
保護者のかたは、過去問題の正答率に注意してください。入試説明会に行くと、正答率付きの問題集がもらえたりします。正答率が5割以上の問題を落とさず、確実に得点できるようになることを目指してください。正答率が4割、3割といった難問は、できなくてかまいません。
入試には、合格確率50%程度の子どもたちが集まります。ということは、5割の人ができている問題を落とさず、半分より上の得点がとれれば合格する可能性が極めて大きくなるということです。
■正答率50%以上の問題に絞って復習
過去問を解き終わったら、正答率50%以上の問題でできなかったところに絞って、丁寧に復習させてください。すべての教科で、合格者平均点に達していれば、合格率は80%程度になりますが、そこまでできる必要はありません。恐らく、1教科か2教科、苦手な教科があって合格者平均点に達していないというかたが多いと思います。数年分の過去問に取り組むうちに、お子さまがどの教科のどの単元を伸ばせば合格点に達するか、はっきりしてきます。「理科の『天体』の苦手を克服して、あと10点得点すればいい」といった課題が見えれば、対策もしやすくなります。
■問題の配列と傾向をつかみ、「手を動かす」練習を
中学入試の問題形式は、たいてい毎年大きくは変わりません。最初に漢字の問題がくるとか、あるいは大問の(3)か(4)に難しい応用問題がくる、最後には必ず時事問題がくる、など……。
最初のころはペースがつかめず、時間が足りなくなったりすると思いますが、問題形式に慣れるうちに、問題を見ただけでどこから手を付けるべきか、落としてはいけない問題はどこかが、お子さまにもつかめてきます。頭を真っ白にすることなく、解くきっかけをつかんで「手を動かせる」ようになることが大切です。
また、どの単元が出る、出ないといった傾向の分析もしておくと、対策が楽になります。理科には環境問題は必ず出る、国語は「死」や「恋愛」を扱ったものが出やすいなど、学校によって問題のテーマにも特色があり、慣れておくと本番で焦らずにすみます。保護者のかたに分析が難しければ、塾の先生や家庭教師などのプロに頼むのもよいですね。
なお、時事問題は、ほとんどの学校の理科や社会で出題されます。今年度の夏ごろまでに話題になったニュースや社会問題にも、目配りしておいてください。
■昨年の問題で総仕上げ!
昨年の問題は最後にとっておき、受験直前の総仕上げに使ってください。この時は時間を計って、本番どおりに取り組めるとよいですね。
「この1点が大事なんだ」と、一生懸命最後まで考える子は、必ず伸びます。「絶対解ける」「解くぞ」という気迫が出てくると、合格も見えてくるのです。