成績の伸び悩み、どう対処する? [中学受験 5年生]
保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。5年生の秋に起こりがちな成績の伸び悩みと、その対処法について取り上げます。
■あんなにがんばったのに、なぜ?
この時期、成績が思うように伸びず、落ち込んでいる5年生のお子さまは多いですね。夏休みも遊びたい気持ちを抑えてがんばったのに、秋の模擬試験やクラス分けテストで成果が出ない。その理由は、これまで何度かお伝えしたように、5年生の2学期から急に学習内容が難しくなるためです。単元によっては、高校受験以上にハードな内容が入ってきます。ですから保護者のかたにはそもそもかなり無理なことをさせているのだという自覚を持っていただくことが大切です。「何ができたか」ではなく「何をしたか」、成績よりも、勉強に取り組んでいるお子さまの努力そのものを評価してあげてください。
■ポイントは「だましだまし」。「ごほうびの週」でメリハリをつけて
得意な教科であれば、内容が難しくても子どもはついていきますが、少しでも苦手意識のある教科で難易度が高ければ、投げ出したくなるのは当然です。この時期のポイントは「だましだまし」。メリハリを付けながら学習を続けさせる工夫です。
たとえば、苦手で歯が立たない単元をやる週、学校行事で忙しくて勉強時間が取れない週は、塾をお休みしていい「ごほうびの週」にする。ただし、その週は次の週にやる単元の学習に集中させます。すると、次の週はよい成績が取れて、お子さまも自信をつけることができます。その際、どの単元の学習が抜けているかをチェックしておき、秋の連休や冬休み、春休みにまとまった時間をとって取り戻すようにします。その単元だけ家庭教師を頼んだり、得意な人に来てもらって教わったりするのがよいでしょう。毎週コンスタントにがんばれといわれるよりは、お子さまもかなり気が楽になると思います。
ただし、「つらくなったら休んでいいよ」という言い方だと、いつまでもずるずる休みたくなってしまいますので、お休みはあくまで「ごほうび」として。大事なのはメリハリです。
■成績は気持ちのバロメーターでもある
この時期、得意と苦手な単元がはっきりし、成績にばらつきが出るのは当然で、まったく心配はいりません。算数で偏差値60がとれるのに、社会は40といった場合は、社会に興味がないか、勉強していないだけ。やればできるようになりますので、「なぜできないの」などと追及すべきではありません。
一方、何週間も成績の悪い状態が続く場合は、学校や塾で人間関係のトラブルがないかどうか、よく気を付けてあげる必要があります。成績は、気持ちのバロメーターでもあるのです。
長期休暇の後は、いじめや学級崩壊が起こりやすい時期です。塾の生徒同士、あるいは担任の先生とトラブルになっている可能性もあります。塾からお子さまが帰ってきたら、「どうだった?」とさりげなく声をかけてあげてください。浮かない顔をしていれば何かあると考え、すぐに信頼できる先生に相談しましょう。クラス替えや塾を変わる必要がある場合もあります。
■「間接ほめ」で気持ちを伝える
このように、5年生の秋は何かと落ち込みやすい時期です。お子さまが落ち込んでいたら。好きなおやつを用意したり、「来週はここへ行こう」と楽しいおでかけを計画したりなどして、気持ちを引き立ててあげてください。
保護者だけで子どもの気持ちをケアするのは大変です。身近におじいちゃんやおばあちゃん、親戚やご近所のかたなど、お子さまが信頼する大人がいれば、そういった方々に励ましていただけるとよいですね。また、子どもは「お母さん、無理にほめてるな」「おだてて勉強させようとしているな」といったことは敏感に感じ取りますので、間接的にほめるのはよい方法です。「おじいちゃん、あなたがすごくがんばってるってほめてたよ」と伝えるとか、塾の先生から「お母さん、きみがよく勉強するようになって頼もしいと言ってたよ」と伝えてもらうとか。「ふだんはいわないけど、そんなふうに見てくれてたのか」と思ってもらえれば、しめたものです(笑)。
この時期は保護者も疲れ始め、何事も深刻に考えがちな時期です。お母さんは必死なのにお父さんは無関心というように、受験に対する両親の温度差も表面化しやすくなりますが、あまり温度差が大きいと子どものストレスにつながります。保護者のかたも、疲れたら数日間は受験のことを忘れ、思い切り息抜きすることも必要かもしれません。まだ入試は1年以上先ですから、あえてどーんと構えていただきたいと思います。