東大研究室発 地震でも倒れない全国の五重塔の秘密を探れ!
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大学や学部をどのように選び、何を学べば将来に生かせるのか。そのヒントを求めてさまざまな大学の研究室を訪ねるシリーズ。今回は、日本の伝統的木造建築の耐震性などを研究する東京大学の藤田香織准教授の研究室を訪ね、幾多の自然災害に耐えてきた寺社などの建物に潜んだ知恵を探る研究について伺った。
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日本の代表的な木造建築のひとつ「五重塔」。五重塔は日本全国に20以上ありますが、1000年以上前に建てられた法隆寺五重塔を含め、地震で倒れたものがひとつもありません。調べると、中心の太い柱はわたしが押しただけで動くのに、周りの壁は動きません。太くて短い柱が各層で積み重なった特殊な構造をしており、それが地震に強い要因のひとつと考えられます。
わたしたちの研究テーマは、そんな日本の伝統的木造建築の構造の特性を解明することです。何百年も前に建てられたものですから、図面もなく、構造も建築方法も不明なものが少なくありません。しかし、修理の記録を丹念に読むなどしてその謎に迫り、実際に建物に計器を設置して地震の際の影響を調べ、同じような建物の模型を作って振動実験を行うなどして、研究を進めています。
研究には、推測どおりの結果からは推測の正しさが証明される喜びと、推測とはまったく違う結果から、新たな発見ができたことの喜びがあります。歴史的な建造物の価値を守りながら構造を明らかにし、耐震性などを研究する、わたしたちの研究ならではの醍醐(だいご)味だと思います。
学生を指導する際には、学生自身の興味を大切にしています。興味の方向が私と違っても、リスクがあっても、自分が「知りたい」「おもしろい」と思うことを研究してほしいのです。実際に、そんな選択でバイタリティーあふれる研究をする学生もいて、わたしにとってはそれが刺激や喜びとなっています。
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