Jリーグやプロ野球の最前線で学ぶ、国際人を育成するゼミ
大学や学部をどのように選び、何を学べば将来に生かせるのか。そのヒントを求めてさまざまな大学の研究室を訪ねるシリーズ。今回は、野球の桑田真澄氏や水泳の平井伯昌コーチも学んだ、早稲田大学の平田竹男氏の研究室を訪ね、スポーツビジネス分野の学びについて伺った。
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私のゼミの研究テーマは、「トップスポーツビジネス」です。学生たちは、国内外を問わず、サッカークラブやプロ野球球団、広告代理店、スポーツメーカー、マネジメント会社、スタジアムなど、さまざまな最前線の現場を訪ね歩いて、どんな課題があり、どうすれば、強くて人気があり、赤字のないリーグやクラブができるのかを学んでいきます。
優秀な選手や指導者を集めても強いチームができるとは限りません。トップスポーツチームの経営は政治や経済と深く結び付いており、私は必ず、学生たちにそうした背景を調べさせます。スポーツビジネスを学ぶことは、世界の政治・経済事情を深く知ることでもあります。
最近20年間の日本で、サッカーほど輝かしい成功を収めた分野はありません。私自身もその発展には深く関わってきました。今の日本の若者の多くは、自信がなく、夢を抱けずにいますが、私のゼミでサッカーという明るい材料で学ぶうちに、勇気や力が漲(みなぎ)り、「やればできる」という気持ちになれるようです。
ゼミの卒業生は、金融・製造業をはじめ幅広い分野に就職し、活躍しています。スポーツビジネスの専門家を養成するつもりはありません。大学とは、興味の持てることを通じて脳のしわを増やす場所です。スポーツビジネスは、多くの学生が積極的に取り組め、社会人として幅広く役立つ力を育てられる分野です。大切なのは、会社や業界に「食べさせてもらう」のではなく、自分が「引っ張っていく」気概。そんな姿勢で、世界を舞台に活躍してほしいと願っています。