理系大学の系列中学校に人気が集まる理由とは?
2013年度の中学受験における受験者数前年対比は、全般的に減少した。その中にあって、受験者数が増加した学校もある。森上教育研究所が行った独自の調査結果を元に、森上展安氏がその人気の背景を解説する。
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※森上教育研究所調べ
上記の理系大学の系列中学校は、同じ難易度の平均よりも受験者数前年対比が高く、受験者数が増加した学校である。大学での理数系の学習は、必ず理論立てや実験での検証が行われ、世界的な潮流も常に教育の場に生かされる環境がある。その結果、概して理系学生、とりわけ国立大理系の就職は安定感がある。その期待において理系大学の系列校人気はもっともだといえよう。
その分人文系への進学が大きな割合を占める女子中位校は、人気が沈静化している。男子の社会科学系学部への進学の多い中位校も緩和している。なぜならその先の就職難がよく知られているからだ。いずれも将来の職業を意識した中学受験が増えてきているということだろう。
また、上記の6校はすべて大学系列にあり、総じてキャンパスが広く設備も整っている点も見逃せない。人気の背景としてその辺りも今の恵まれた環境に育った受験生に好まれそうである。
ほかにも、玉川大学には中高校舎に隣接して大規模なサイエンス館ともいうべきサイテックセンターが、学習院大学には中高大を通じた理系の一貫教育セミナーなどがある。理系大学の系列校だけではなく、総合大学の系列校にも、知的資産を生かしやすい総合キャンパスを持つ強みがあることに、注目する必要があるだろう。