第1志望校の高校で安心! その根底には保護者の安全神話が?
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安田教育研究所の安田理氏は、高校入学前の1か月の過ごし方について、保護者に意識してほしいことがあると語る。来年の受験に向けての心構えとして、第1志望の高校に合格し、入学を待つ直前期の過ごし方について助言を伺った。
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我が子が幸い第1志望校に入学できることになった時、「A高校に進めてよかったね。B高校になっていたら人生の可能性が縮まっていた」などと言う保護者のかたが、まれにいます。両校の卒業生の進路を比較すれば、そうした意見が出るのもわかりますが、保護者が「所属先で人生が決まる」価値観を持っていると、子どもにはよくありません。大卒者の就職事情が極めて厳しいことが報じられ、我が子の将来が不安な保護者が増えています。そうした不安から「安全確実な所属先」探しに保護者が向かっていることが危惧されます。
本来なら、先行きが不透明なら、どんな境遇でもやっていけるように実力を付けておこうという方向に向かうべきでしょう。それが、より安全・確実なところに所属させてやりたいという方向に関心が向いてしまっています。所属先で人生が決まるような考え方は捨てたほうがいいし、所属先に依存する生き方はしないほうがいいと思います。
第1志望校に合格し、今回はいい所属先に加入できましたが、今後も常にいい所属先に加入できるとは限りません。必要なのは、恵まれた環境を求める姿勢ではなく、どんな境遇に陥っても、そこで立ち上がり、自分で将来を切り開いていける力です。保護者が所属先に頼る価値観を持っている限り、子ども自身も、肉体的にも精神的にもタフになろうとしません。これからの日本は停滞を避けられないでしょう。だからこそ男子でも女子でもたくましく育てなければなりません。
今回の結果が第1志望校合格であったからこそ、所属先に頼るのではなく、お子さま自身の「個」の力を付けることを意識していただきたいと思います。
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