1年間休学OK! 学びの意欲が向上する? 東大「FLY Program」
いよいよ始まるセンター試験の本試験。受験生は最後の追い込みの時期に突入だが、せっかく入学しても学ぶ意欲が希薄であることが、大学にとっても社会にとっても大きな課題とされている。昨今、大学が取り組む「学びの意欲の向上」について、ベネッセ教育研究開発センター・高等教育研究所・大学進学アナリストの村山和生氏が解説する。
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東大「FLY Program」発表に見る、大学の学びの変化
入試対策も大切なことではありますが、特に高校1・2年生にとっては、今大学でどのような変化が起きているのかを知り、志望校選びを真剣に行うことこそ重要です。そこで、大学の変化を象徴しているとも言える、2012年11月に東京大学が発表し多くのメディアで取り上げられた「FLY Program」について少し触れておきましょう。
このプログラムは、2013(平成25)年度以降の入学者を対象にし、入学直後に1年間特別休学して社会的な体験活動を行うというもの。たとえば、海外体験・ボランティア・インターンシップなど、高校までとは異なる世界を知ることで、大学での学びの意欲を高める狙いで設けられました。
今、東大を含め多くの大学で「秋入学」や「ギャップターム」についての議論が行われています。この「FLY Program」は秋入学ではありませんが、このような議論の中で東大が具体的に打ち出してきたものとも言えます。仮に秋入学(9月入学)が導入された場合、高校を卒業してから大学入学までの間に半年間の猶予が生まれます。この期間をギャップタームとし、その間にさまざまな経験をしてほしいという構想が各大学で検討されているのです。ですから東大の「FLY Program」も、高校までの学びを一度自分の中で咀嚼(そしゃく)して、大学での学びを考え直すようにという、ひとつのメッセージであるとはいえるでしょう。大学での学びに対しての本質的な改革は、まだこれから進んでいくことになりそうですが、大学がさまざまな面で変化しつつあることは間違いありません。
また、秋入学のほかにも、クォーター制の導入など、多くの大学でさまざまな議論が本気になって行われています。京都大学での「新機軸入試」の検討のような、そもそもの入学者選抜のあり方についても改革に向けた検討が行われています。現在の高校3年生だけでなく、高校1・2年生、さらにそれに続くかたにとってはなおのこと、今後はさまざまな形での学び方が増えていくことが予想されます。ですから、自分の志望校が今後どのようなことをしようとしているのかについて、ぜひ注目してほしいと思います。