志望校を付属校にすべきか? 進学校にすべきか?[中学受験]

志望校を付属校にすべきか、進学校にすべきか?について、次のような質問がありました。

(質問)
地元の女子大の付属中学校を考えています。入学するとおそらくエスカレーターで大学まで上がることになるのですが、そうなるとやはり勉強はあまりしなくなってしまうのでしょうか? 親としてはある程度の学力はあってほしいという気もある一方で、一人っ子のせいかマイペースでのんびり屋なので、できれば大学受験がないほうが安心という気持ちもあり、志望校を決めかねています。

(回答)
大学の付属校か、進学校かの選択は、それぞれにメリット・デメリットがあって難しい問題です。たとえば、付属校進学には、大学受験を考えずに充実した学校生活を送りながら、付属大学に進学できるメリットがありますが、社会に出たときに大学受験を経験した人との競争に負けてしまうかもしれないデメリットがあります。逆に、進学校には、付属大学よりもランクの高い大学に進学できる可能性がメリットですが、大学受験ですべてのエネルギーを出し尽くすほど勉強し、抜け殻のような状態で大学に進学し、大学では何に取り組むこともなく、得るものがなかったということになる可能性がデメリットです。

子どもは親が用意したことに反発しながら成長するものです。せっかく親が検討を重ねた末に大学の付属校に進学させたとしても、子どもは自分が通っている学校の付属大学にはない学部や、より高いランクの大学を目指すことがよくあります。子どもは親の思ったようには育ってくれないと考えていたほうが良いでしょう。もちろん学校にもよりますが、付属校の卒業生のほとんどは、付属大学に進学するわけですが、他大学受験をする生徒も珍しくはありません。中学入試で志望校を付属校にすべきか、進学校にすべきか迷ったとしても、その決断で子どもの進路がすべて決まるわけではないのです。

大学の付属校であっても、他大学受験を目指す生徒には大学受験指導をしてくれる学校であれば、子どもが成長した時に進路が選べるという考え方もできます。付属校の他大学受験に対する対応は、学校の教育方針や校風にもよります。他大学受験に対する規定は、学校パンフレットや入試要項などを確認すればわかると思いますが、大学合格実績を見たほうが早いかもしれません。しかし、このような中庸の学校選択は、中途半端になることも考えられます。子どもの性格や能力を考えて付属校または進学校を悩んだとしても、子どもが成長した時にどのようなことを希望するかわからない以上、正解はないと思います。それでも、親として、子どもの将来を考えて真剣に悩むべきでしょう。悩まずに学校選定を行うと、進学先で付属校・進学校の問題が起きたとき、「どうしてあの時、きちんと検討しなかったのだろう」と後悔が残り、前向きに問題に取り組むことができません。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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