お子さまの志望校に合った「模試」を 「模試」と「これからの受験生活」[高校受験]

今回は前回に引き続き、模試の機能についてお話しします。

D 志望校の合格の可能性を探る機能

・模試のレベルは受けている集団の違い
 模試について、次のようなことをおっしゃる保護者のかたがいます。

「〇〇模試と××模試では、同じ学校でも3ポイントも違う偏差値が付いてくる。△△模試だと10ポイントも違うそうよ。〇〇模試はレベルが低いみたいね……」

 模試で出てくる偏差値というのは、どのような集団が受けているかで違ってきます。中学校と高校との間で入試相談が行われていない場合には保護者と高校との間の入試相談で模試の偏差値が材料として使われますから、模試を受けないわけにはいきません。そうした県の模試は当然ふだん勉強をしていない生徒まで受けにくるわけで、受験者の絶対数が増えれば、相対的に学校ごとの偏差値は高くなります。
 一方、必ずしも模試を受ける必要がない都道府県の場合には、学力のあまり高くない層はわざわざ模試を受けません。そうした模試の場合には、学校ごとの偏差値は前者より低くなります。

 また、難関国私立高校受験者が対象という模試では、受験者数自体が少なく、そのほとんどの学力レベルが高いので、差が付きにくく、学校ごとの偏差値は格段に低くなります。
 模試での偏差値の違いは、このようにあくまで受験する母集団の違いからくるものなので、お子さまの志望校の合格可能性の判定にはどの模試がふさわしいのか(その志望校の受験者が大勢受けているのはどの模試か)、という観点で選べばいいでしょう。
 普段通っている塾でも、塾独自のテストを行っているケースが多いのですが、私立高校との相談で参考にされているものは、私立高校・専門学校等の会場で行われる大手模試会社の模試に限られるのが普通です。

・志望校に合った模試を
 お子さまの志望校が中堅校であれば、難関国私立高校受験者対象の模試を受ける必要はありません。へたに受けて、難しい問題ばかりでまったく手が出なかったということにでもなれば、自信を失うもとになります。
 反対に、出題される問題が難しい難関国私立高校を受験する場合には、標準的な問題の模試でいくら高得点を取れていても、合格の可能性は判断しづらいといえます。特定の有名な高校の場合には、大手学習塾が「学校別オープン」などの模試を実施している地区もありますので、それを受けるといいでしょう。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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