模試には「4つの機能」がある 「模試」と「これからの受験生活」[高校受験]
秋になると、受験校を決めるために何回か模試を受けるでしょう。秋以降の模試にはいくつかの機能があります。まずはそれを挙げておきましょう。
A お子さまの学力が順調に伸びているか判断する機能
B 不得意なまま残されている教科・単元はないか発見する機能
C 答案を作成するうえでの得点力をアップさせる機能
D 志望校の合格の可能性を探る機能
以下では、この4つの機能についてそれぞれ説明します。
A お子さまの学力が順調に伸びているか判断する機能
秋になるとみんなががんばりだすので、お子さまが努力していても、偏差値はそう簡単には上がりません。また、ほとんどのお子さまは、模試ごとに偏差値が大きく変動するため、どの高校を受けたらいいかわからないと、アタマを抱えることになります。
模試ごとに問題が違うことで、お子さまの得意・不得意とマッチしたり、ミスマッチしたり、模試当日に頭がさえていたり、集中力がなかったり……そうした理由から、力が100%発揮できることもあれば、60%しか出せないこともあります。ですから、結果には波があって当たり前なのです。「こんなんじゃ(志望校を)どこにしたらいいかわからない」と動揺するのではなく「これが普通のことなのだ」とドッシリ構えてください。「偏差値を3ポイント、4ポイント上げないと〇〇高校は受けられないわよ」といった励まし方をする保護者のかたがよくいますが、これはお子さまにはけっこうこたえるものです。結果的には同じことなのですが、ある先輩の保護者のかたは次のような言い方をしていました。
「各教科5点ずつ上げていこうね」──5教科で25点上がれば、実は偏差値は3ポイント、4ポイントは上がるのです。いきなり「偏差値3ポイント」と言われると「そんなのムリ~~ツ」となりがちですが、「5点」だとお子さまは可能性があると感じられるのです。これからは頭を使ってアドバイスです。
B 不得意なまま残されている教科・単元はないか発見する機能
10月まではこれをいちばん重視してください。我が子は「どの教科が弱いのか」「特にどの単元なのか」をチェックして、弱い教科、弱い単元を克服することが何より重要です。得意教科でさらに10点伸ばすのは難しいですが、弱い教科が平均レベルになればすぐ10点くらい上がります。
お子さまと話し合って復習対策を立ててください。どの教材(新しいものに手を出すのではなく、これまでやってきたものを使うことが原則)をどう活用して復習するか、スケジュールを含め、具体的に決めることが大切です。塾に通っているのであれば、弱い教科を担当している先生に相談してもいいでしょう。
C 答案を作成するうえでの得点力をアップさせる機能
模試の成績表が返却されると、どうしても保護者のかたは「偏差値」や「合格の可能性」ばかり気にします。ですが、ぜひ答案にも目を向けてください。我が子が犯しやすいミスや、なぜ間違えたかなどをチェックすることで、各教科5点くらいのアップにはつなげられるものです。
たとえば「設問に合った答え方ができているか」「記述式回答の字数は制限字数の8割以上になっているか」「誤字・脱字がないか、はね・はらいで減点されていないか」「解答用紙に単位の記入がない場合には単位までちゃんと書いてあるか」「計算ミスはしていないか」……などといったことです。これらができない場合、案外クセとして身に付いてしまっていることがあります。このクセなどを早いうちに発見し、直しておくことが得点力アップには大変有効なのです。
「D 志望校の合格の可能性を探る機能」については次回お話しします。