「お得な学校」を「6年後のGMARCH合格実績」で判断する
志望校を選定するときに、子どもの学力を伸ばしてくれる学校を選びたいと思うのは、保護者として当然のことだろう。そこで、中学校・高校の評価をするとき、大学の合格実績がひとつの基準になるわけだが、それは中学入試における偏差値とほぼ一致する。しかしながら、なかには、中学入試偏差値の割に6年後の大学合格実績が高い「お得な学校」もあるという。そんな「お得な学校」について、森上教育研究所の森上展安氏が解説する。
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グラフは、6年前の中学入試時の偏差値と大学合格実績の関係を示す「学力を伸ばす学校」を分析するためのグラフで、昨年も6年前もそれほど学校の偏差値が変わっていないので、同じようなグラフに見えるが、まったく意味合いが異なるグラフとなる。グラフは2011年3月卒業の神奈川県女子校16校の「GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)合格実績」と「その生徒が中学受験をした6年前の中学入試偏差値」で示した。
ほとんどの学校は合格実績◆が入試偏差値曲線の周辺にあり、中学校入学時の偏差値で大学合格実績が決まることがわかる。グラフを見ると、偏差値が高い学校ほど、累進的に大学合格実績は高くなる。これは、優秀な生徒は、一人で複数のGMARCHに合格するためである。しかし、偏差値の高い学校には、中学入試で優秀な生徒が入学するので、高い合格実績になるわけで、偏差値が高いからといって学力を伸ばす学校とは限らない。私立中高一貫校では、大学合格実績を向上させるために、どの学校でも多大な努力をしている。そのような状況では、同じ中学入試の偏差値の学校では、他校よりも顕著に学力を伸ばすことは、難しいことがわかる。
しかし、グラフを見ると、大学合格実績◆が中学入試偏差値の曲線よりも上方にある、つまり、6年前の中学入試偏差値と比べて大学合格実績が高い「学力を伸ばしてくれる学校」が数校あることがわかる。大学合格実績が上がると中学入試偏差値も連動することが多いので、6年前よりも現在の偏差値は上がっていることも考えられるが、同じ偏差値の学校でも学力を伸ばすシステムがあるとすれば、更に6年後の合格実績を伸ばしてくれる可能性は高いと考えるべきだろう。また、他校よりも学力を伸ばし切れていない学校も何校かあることがわかる。学力を伸ばし切れていないことは事実だろうが、学力以外で魅力のある学校ということも考えられる。