夏休みの学習と学習計画[中学受験]

夏休みの学習計画は、立てることが目的となって、肝心の学習計画の目的を忘れてしまうことがしばしばある。目的や目標のない計画は、ただ実施する内容を書いた予定表になってしまう。「第1志望校の合格」が受験勉強共通の目的で、そのための学習計画の目的も同様だ。だから、学習すべき優先順位や割り振る時間から具体的な学習目標を設定して、「第1志望校の合格」のための学習計画とすべきだ。しかし、実際に学習計画を見ると、「第1志望校の合格」に必要な内容が盛り込まれていない計画や、実行不可能と言われても仕方がないような無理な目標を設定した計画が多い。これでは何のために学習計画を立てたのかわからない。特に、現状を無視した高すぎる目標は、絵に描いた餅の学習計画を作ることになり、学習意欲を損なうだけで意味がない。目標は学習内容や期間・時間や模試の正答率などに数値化したもので、誰にもわかりやすいように具体的にする。その目標を達成するための学習内容や学習時間・日程などを組み立てたものが学習計画となる。

夏休みの学習の目的は「第1志望校の合格」である。今の学力で十分合格できるという生徒はほとんどいないので、目的のためには学力のアップが必要となる。具体的に学力をアップしたい科目や分野単元などの学習内容をこれまでの間違った問題を整理することで絞り込む。なお、受験は総合点で決まるので、得意科目・得意分野単元を伸ばし、不得意科目・不得意分野単元を人並みにするのが最も短時間で効果が高い学習となる。すべてを同じように学習することは効果的ではない。学力の目標達成は、最終的には夏休みの終了後に、模擬試験などで確認することができる。ただ大切なことは単元単元で「解けるようになった」「わかった」という実感がその時々にもてるようになることである。

学習計画で失敗する原因は、現状を考慮することなく現状に合わない計画を立ててしまうからだ。現状とは、子どもの具体的な得点状況で、当然、子どもによって異なるのだが、計画では子どもの個別の状況よりも「第1志望校の合格」にあわせた計画となってしまうことが問題だ。子どもが今、何を学習すべきかの優先順位があるはずなのだ。学習計画は、最初は、もちろん親がアドバイスしなければできないと思うが、次は子ども一人でできるようにすることを念頭に置き、自分で考えさせてから、アドバイスしてほしい。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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