向き合い方ひとつでお子さまは変わります[2012年度入試で何が問われたか<算数> お子さま主導型で成長を実感できる算数 第4回]

以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの宮本算数教室・宮本哲也先生の講演を抄録したものです。
ご家庭での算数の勉強に、ぜひお役立てください。



向き合い方ひとつでお子さまは変わります

●算数の問題を解くうえで大切なことは二つ (1)答えに走らないこと=試行錯誤を楽しむこと (2)わからないことを、わかったことにしない
 試行錯誤を楽しむということは、解けることを楽しむことではありません。解けないことを楽しむことです。ああでもない、こうでもないとわからないことを楽しめるようになりましょう。

 以前私の塾に「算数の成績が伸びない」と6年生で駆け込んできたお子さまがいました。授業で様子を見ていたところ、ものすごく解き急いでいることがわかりました。冷静さを完全に失っており、目が泳いだ状態で問題を半分しか読まないですぐに解き始める。答えを出したら、見直しをしない。そこで、家庭学習をする時に同じ問題を2回ずつ解くように言いました。まず、問題を読んで答えが出たら、もう1回問題を読んで答えを出す。2回連続同じ答えが出たらそれは正解です。
 このようにアドバイスしたところ、彼女はきちんと実行し、あっという間に算数の偏差値が10ポイント上がりました。秋以降も少しずつ伸びて、無事桜蔭中に合格することができました。

●偏差値マジックに惑わされない
 以前、大手の模擬試験の算数の問題を作成していた経験からお話しします。
 1万人近くが受験する模擬試験の場合、その結果であらゆる受験校の合格可能性判定を出さなければならないため、いくつかの制約があります。150点満点のテストだったとすると、平均点を75点くらいに設定しないといけません。例えば平均点が高くなりすぎて100点くらいになると、満点を取っても偏差値が70に届かない場合があります。そうすると筑波大附属駒場中学のような偏差値が70を超える学校は、合格判定が出せなくなってしまいます。
 反対に、平均点が50点くらいと低くなりすぎると、0点を取ったとしてもある程度よい偏差値が出てしまうことになります。模擬試験はきれいな偏差値分布をつくらなければいけないので、問題もそのように作成されています。
 このことを理解したうえで、模擬試験を利用されることをおすすめします。


プロフィール



子育て・教育Q&A