2011年度入試で何が問われたか<理科>

■雙葉中学校の理科を分析 合否を分けた問題は「生物(環境)」

一昨年から、制限時間が25分から30分に変わりました。問題文やデータを読み取って、じっくり考えさせたり、書かせたりする問題が増えてきています。今年は計算が1問も出ませんでした。雙葉が第一志望の受験生は、理科をひと通り学習したあと、パターンに当てはまらない問題を多く演習する必要があります。
合格に必要な得点率は70%、「合否を分けた1題」は大問3の環境です。



■女子学院中学校の理科を分析 思考力を問われる問題が増加

一昨年度から、思考力を見る問題が一気に増えてきました。算数にも見られた傾向で、思考力重視の学校に変化したと考えてよいでしょう。特に、データを読み取って考える問題や、過去の経験や知識をもとにその場で考えなければならない問題が多く見られます。
合格に必要な得点率は70%、「合否を分けた1題は」大問4です。



■フェリス女学院中学校の理科を分析 合否を分けた問題は「植物(野菜)」

もともと記述量が多い学校でしたが、昨年度は思考問題や計算問題が増加し、今年度は思考問題と一般教養を増やしたようです。わざとパターン的な問題をはずしてきているように思えます。来年度はまた計算問題が出題される可能性もありますので、油断せずに、一般教養・計算問題・思考問題のトレーニングが必要です。
4教科合計400点満点中、理科の配点は60点と少ないですが、絶対に足を引っ張られないようにしましょう。
合格に必要な得点率は80%、「合否を分けた1題」は大問4です。



■桜蔭中学校の理科を分析 合否を分けた問題は「化学(水よう液)」

昨年度に続き、今年度の問題も非常にバランスのよい出題でした。理科の実力がそのまま反映されるように作成されているため、入試問題としては優れています。問題が非常にきれいに仕上がっているので、桜蔭を受験しない人も解く価値があります。桜蔭が第一志望の受験生は、低学年の時に、焦らずにしっかりと一般教養を身に付けておくことが必要です。
合格に必要な得点率は85%、「合否を分けた1題」は大問4です。



■武蔵中学校の理科を分析 合否を分けた問題は、大問1の総合小問集合題

例年、理科では差が付かないような出題だったのですが、今年度は各分野からバランスよく出題されたため、差が付きそうな出題でした。しかし、大問3で全員に加点する措置がとられたため、その結果差が付きにくい結果になったと思われます。
理科的に興味深い出題のある年度も多く見られます。この学校を志望する受験生は、合否に大きな得点差が付く算数を重点的に備え、理科は、入試前に10時間ほど、実物を使った出題(袋問題)を中心にトレーニングしておくと安心でしょう。
合格に必要な得点率は90%、「合否を分けた1題」は大問1です。



■駒場東邦中学校の理科を分析 合否を分けた問題は「物体の運動」

数年周期で非常に難しい問題が出ますが、すべて生物分野です。受験生のレベルを超えた問題ですので、正答できなくても気にしなくて大丈夫です。そこで動揺してしまうと、次のできる問題でまちがえてしまう可能性も出てきますので、冷静に対処しましょう。駒場東邦が第一志望の受験生は、一般教養と思考力問題に気を付けましょう。
合格に必要な得点率は65%、「合否を分けた1題」は大問2です。



■栄光学園中学校の理科を分析 合否を分けた問題は「思考・計算問題」

栄光学園の理科は、ここ数年出題分野が1分野に限られていました。2007年度:生物(ソメイヨシノ)、2008年度:物理(モーターと乾電池)、2009年度:地学(火山)、2010年度:植物・物理(イネ・ごはん)です。2011年度は、水時計に関する内容でした。同じ傾向が続いているので、受験生も気持ちの準備ができていたと思います。
このような出題は、その場の気持ちで得点が決まる要素が大きいです。「栄光に受かりたい! がんばろう!」と、当日「強い」気持ちのある受験生は合格できると思います。そのうえで、グラフ問題の対策をしておくとよいでしょう。
合格に必要な得点率は80%、「合否を分けた1題」は大問2の問2、問3です。



■麻布中学校の理科を分析 合否を分けた問題は「天体」

解くことによって理科の力が付く良問でした。記述は書きにくい問題が多いですが、なんとかがんばって書いて、部分点だけでももらえるようにしたいです。ここ数年、計算量も増えてきていますので、麻布受験生は、記述のトレーニングに加えて計算のトレーニングを増やすと、得点力アップにつながりやすいと思われます。
合格に必要な得点率は65%、「合否を分けた1題」は大問1です。



■筑波大学附属駒場中学校の理科を分析 合否を分けた問題は「電気」

大問1から大問5までを、できるだけ速く解答します。毎年、大問6と大問7が勝負なのですが、大問6で10分くらいかかるため、大問7にかける時間は15分~20分くらいしかありません。しかし大問7を15分で解くのは困難です。無理だと思ったらあきらめて、大問6の見直しをしっかりやったほうがよいでしょう。大問7は、今までに見た入試問題の中でも最も難しい問題に入ります。
合格に必要な得点率は70%、「合否を分けた1題」は大問6です。



■開成中学校の理科を分析 合否を分けた問題は「てこのつり合い」

昨年度は理科ではほとんど差が付かない問題でしたが、今年度は昨年度より難度が上がりました。それでもまだ受験生のレベルから考えると易しい出題です。地学分野では、毎年時事問題が出題されているので、来年度は月食か地震の内容が出題される可能性が高いです。ここ数年の開成の理科の傾向から、物理・化学から手を付けていったほうがよいでしょう。
合格に必要な得点率は90%、「合否を分けた1題」は大問3です。大問3でミスをしないことが、勝負の分かれ目になります。


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