2011年中学入試における入試日程や偏差値の影響 [中学受験]

塾の先生からは、2011(平成23)年入試では、実力よりも難易度が高い学校に合格している生徒も多かったという話を聞いた。これは、昨年の模試結果で志願者数が減少する学校が多くなる傾向が見られたため、入学辞退が増えることを予測した学校が、例年よりも多めに合格者を出したことが原因と考えられる。受験生・保護者にとってより志望順位の高い学校に合格すれば、順位の低い学校の入試は、志願をしていても受験しないことが考えられる。つまり、2月1日や2月2日で合格者が多く出れば、2月4日以降の入試を受験しないことになり、受験者数前年対比が減少した説明にもなる。

実際に、2011年中学入試では、12月・1月入試(受験者数前年対比112%)、2月1日~3日午前入試(同96%)、2月1日~3日午後入試(同110%)と比べると、2月4日以降の入試では同90%前後と大幅な減少となった。2月4日以降の入試で受験者数前年対比が激減した原因は、それ以前の入試で例年よりも多めに合格者が出たことだけではなく、その他にもあると思う。受験生も保護者も早く受験を終わらせたいという心理が働くようで、滑り止めやお試し受験で合格してしまうと、2月4日以降の受験を取りやめてしまうことが考えられる。結果として、2月4日以降の入試は、ますます受験者数が減少することになる。

以上のように2011年入試では、2月4日以降の受験者数が減少して入試が易しくなったと考えられるが、2012(平成24)年入試でも同じことが起こりうる。しかし、学校も2011年入試で2月4日以降の受験生が少なかったことから、それまで2月4日以降だった入試を2月1日~3日の午前または午後入試に振り替えてくる可能性もある。入試日の変更は7月頃までにほぼ決定されると思うので、その時点で来年の2月4日以降の入試の難易を予測すべきだ。

入試日程ばかりではなく、入試難易度によっても受験者数前年対比は異なるようだ。2011年の入試を偏差値群ごとに見ると、下記のように受験者数が減って易しくなった学校もあれば、逆に受験者数が増えて難しくなった学校もある。
A群の受験者数前年対比は102%、以下同様にB群は100%、C群は106%、D群は94%、E群は92%、F群は85%、G群は83%、H群は99%と、H群を除けば、明確に入試難易度が高いほど受験者数前年対比が高くなる傾向が見られる。

2011年入試は全体では受験者数が減少して易しくなったが、入試日程や偏差値群によっては難しくなった入試もある。2012(平成24)年入試も同様に、入試日程や偏差値によって入試の難易度が異なることが予測される。来年の中学受験が易しくなるといううわさに翻弄されることなく、入試日程や偏差値に加え、学校の所在地、男子校・女子校・共学校、付属校・進学校・半付属校、などの要素で細分化して難易度を分析すべきだ。


※偏差値は、四谷大塚の学校偏差値で65以上がA群、B群は64~60、C群は59~55、D群は54~50、E群は49~45、F群は44~40、G群は39以下。H群は受験者数が少ないなどの理由で偏差値が付かない非エントリー校。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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