中学入試偏差値は6年間でどれだけ変わるか[中学受験]
中学入試における学校偏差値は、合格・不合格の基準となるわけで、受験生・保護者にとって重要な指標だ。しかし、6年前ともなると自分の志望校といえども、その偏差値を知っている受験生・保護者は少ない。6年前の偏差値を調査する理由は、中学校に入学してから高校を卒業するのに6年かかり、大学合格実績という結果が出るからだ。今の偏差値が6年前はどうだったかを知ることで、6年後の偏差値を予想し、志望校の未来を考えることができるかもしれない。
6年前と現在の中学入試偏差値にどれだけ差があるのか、首都圏模試の偏差値で、一定以上GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)の合格実績のある首都圏の学校178校を対象に調査してみた。さすがに10以上偏差値が上がった学校は1校あるだけで、10以上下がった学校はなかった。偏差値が7.5以上上がった学校は3%程度、7.5以上偏差値が下がった学校は1%程度で少ないが、偏差値が5以上上がった学校は13%と大幅に増加する。1ランクは偏差値5ずつで区切られているので、6年間で1ランク以上上がる学校は13%で、8校に1校はあることになる。6年間で偏差値2.5、つまり半ランク以上上がる学校は34%もある。3校に1校という計算になる。
一方偏差値が下がった学校を見ると、5以上偏差値が下がった学校は1%程度とわずかだ。せいぜい1.5以上偏差値が下がった学校も10%程度と少ないのは、一昨年までは私立中高一貫校への進学ブームで受験者数が伸びてきたことや、多くの受験生がGMARCHに一定以上合格した学校を選んだことが原因と考えられる。
6年後に偏差値が5以上上がる学校は、不況の影響による受験者数の減少で今ほど多くなくなる可能性もあるが、5以上偏差値が上がる学校を志望校として選ぶ眼力を持ちたいものだ。偏差値が上がるということは、学校の潜在的な優位性が明確化されたことになる。当然、その期間在学していた生徒には多大な影響を与えたことになる。
また、偏差値が下がるということをどのように考えるべきだろうか? 一言で言えば、偏差値が下がった学校は、学校に問題点があり、それが表面化したことになる。もちろん学校としては、そのままにしておくことは考えづらい。何がしかの学校改革を進めていくことが多い。そのような学校の説明会では、学校を改革しようという意気込みを感ずることができるだろう。もしも、その時点でも学校にその意識が薄ければ、さらに偏差値が下がる可能性もある。
6年間で、中学入試の学校偏差値は、かなり変わることがわかる。入学時に同じ偏差値の学校でも、卒業時には周囲の評価が変わることになる。偏差値は、学校の人気度合いを示す指標だが、6年後に評価が高まる学校を選ぶことが、親としての見識を問われるところだ。これから進学する学校の良し悪しが、我が子の成長にも多大な影響を与えると考えると、志望校の選定はこれからの伸びも考えて慎重にすべきだ。