分数と小数の関係が、イマイチのみ込めていません[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小6女子(性格:論理的)のお母さま
質問
分数と小数の関係が、イマイチのみ込めていません。たとえば、1時間の3分の1は何分?というような問題が、しばらく考えないと解けなかったり、0.25時間を25分と答えてしまったり。図に描いて説明しているのですが、その時は理解したつもりでも、あとで一人で解こうとすると、わからなくなってしまうようです。
小泉先生のアドバイス
アナログ時計を使って理解を深める
10進法以外の、n進法に関する計算に戸惑っているように思います。「時間」や「角度」を題材にして、分数や小数の計算を練習すると良いでしょう。その際、たとえば1時間=60分ということが視覚的にイメージできるように、アナログ時計を実際に使って理解を深めてください。
たとえば、1時間で長針が1回りするのですから、「1時間の3分の1」とは長針が12から4の文字に移動する時間であることが視覚的に理解できます(下図参照)。そして、1文字間が5分ですから、5×4=20(分)であることも視覚的にわかります。あるいは「1時間の2分の1は何分?」から考え始めれば、さらに直感的でしょう。「1時間は60分であり、その2分の1、つまり半分だから30分」であることや、それは12から6まで長針が移動した時間であることがイメージできます。これに慣れてくれば、「4分の1は?」「6分の1は?」を長針や文字盤とともに考えることで、15分、10分とすぐに答えが出てくるようになると思います。そしてこれを何回か繰り返せば、実際の時計がなくても図やあるいは頭の中でアナログの時計をイメージできるようになります。このイメージとはとても大切なもので、計算によって得た答えが間違っている時、「何か変だな」と思えるようになります。もちろん「9分の1は?」になると計算が必要になりますが、3分の1の時にたてた60×1/3=20(分)という計算式から類推して60×1/9=20/3(分)という式がたてられるようになります。
以上のことは、小数の時も同じです。0.5時間とは1時間の半分ですから、分で考えれば30分のことであり、長針が12から6まで移動した時間であることが視覚的に理解できます。計算式で表すと60×0.5=30(分)になります。そして、0.3時間を考える時はまず0.5時間を求める計算式を思い出すことで、60×0.3=18(分)に到達できます。初めは時間がかかるかもしれませんが、計算練習を繰り返すことで0.3(時間)=60×0.3=18(分)が違和感なく素早く出てくるようになるでしょう。そしてもしも0.25時間=25分とやってしまった時でも、「0.5時間=30分なのに、その半分の0.25時間が25分というのはおかしい?」という「算数の勘」が働くようになるのです。これが、アナログ時計で視覚的にイメージしながら学んだ強みです。
アナログ時計の場合、長針は60分で1回転ですから、角度の計算にも活用できます。これをさらに複雑にしたものが「時計算」と呼ばれるものですが、そこまで発展させても良いと思います。たとえば「3時10分の時、時計の長針と短針のつくる角のうちで、小さいほうの角度は何度ですか。」などの問題です(考え方は下記参照)。
計算で答えが出たら、実際にアナログ時計の針を動かして確かめてみましょう。「だいたいこんなもの」ということで、自分の答えが正しいかどうか見当がつけられると思います。この「だいたい……」という勘も算数や数学では案外大切だと思います。