家で解きなおしをすると自力で解けるのに[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小5男子(性格:論理的)のお母さま


質問

テスト全般において、家で解きなおしをすると自力で解けるのに、テストでは10点~20点位失点をします。日頃からどのような解き方やクセをつければ失点を少なく抑えられるのでしょうか。


小泉先生のアドバイス

ひとつの原因としては、精神的なものによる場合があると思います。

「家で解きなおしをすると自力で解けるのに……」というお子さまは、少なくありません。原因としてはいくつか考えられますが、なんといっても多いのが思い込みの激しさ、俗に言う≪おっちょこちょい≫によるものでしょう。算数で正しい答えが出ているのに、解答欄に記入する時に間違えてしまう。計算の途中で0と6を書き間違える。国語の抜き出し問題で本文ではひらがなで書いてあるのに、解答欄には漢字で書いてしまうなどです。採点する先生にしてもこれらの間違いを「あちゃー」と思うのですから、お母さんにとっては、本当に「なんで?」と思われるミスだと思います。

こうしたミスを少なくするには、何といっても検算や見なおしのクセをつけることですが、それと同時に、自分のケアレスミスの傾向やパターンを知っておくことも大切です。自分がどんなところでミスをしやすいかを知ることで、その工程にさしかかった時に気持ちを一段と集中させることができますから、結果として徐々にミスを少なくできるでしょう。
ちなみに、国語でも出てきた答えを確認することで、間違いの発生をかなり抑えることができます。たとえば、傍線部分の言い換え問題や穴埋め問題で自分なりの答えが出てきた時に、傍線部や穴あき箇所にあてはめてみて、前後の内容と一緒に通して読んでみます。内容的に意味が通じるようであれば、おそらく答えとして問題ないと確認できるわけです。算数の検算と同じように、国語でも検語(?)を行う習慣をつけましょう。

もうひとつの原因としては、精神的なものによる場合があると思います。たとえば、クセによるケアレスミスを続けていると、自分の実力以上に自分はできないと思い込むようになります。本当であれば解ける算数の問題も、たとえ正しい解法の方針を見出した時でも、「こんなに簡単に解けるはずはない」と途中で考えることをあきらめてしまいます。
これは、国語でも同じです。難しい文章を読む時は、「読むぞ!」という気力が必要なのですが、誤った苦手意識により途中で集中が切れてしまうのです。ただでさえ難しい内容なのに、集中が切れれば内容が頭に入ってくるはずはありません。目は文字を追っていますが、内容はあやふやなまま問題を読み終えることになるでしょう。こんな状態では、設問を解いてもまともに答えられないのはあたりまえです。
なんでも同じですが、「自分なら解けるんだ。自分なら読めるんだ」という自信は本当に大切です。特に小学生の場合は、まだまだ自分の気持ちを上手にコントロールできない年齢ですから、誤った苦手意識をなくし、自信を持たせることは大人以上に大切なのです。

このような苦手意識をなくすためには、やはり復習が一番効果的でしょう。テストではできなかったが、果たして本当に難しい問題だったのかを一つひとつ検証し、納得する作業が必要です。本当の自分の実力がわかり、テスト時にも自信を持って問題に立ち向かっていけるようになります。ケアレスミスを減らすことで点数を上げ、さらに自信が出てくるという良い循環に早く移行することが大切です。そして、このような小学生のメンタル部分のバックアップこそ、保護者の重要な役割だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

子育て・教育Q&A