学校説明会と学校見学会[中学受験]

学校説明会の参加は、9月からが本格的となり、10月も多く、11月で一度減少するが、また12月で増加する。12月に参加者が増加するのは、併願校の選定や志望校の変更が原因と考えられる。学校説明会は、学校によって名称や内容も異なるようだ。学校見学会と称する説明会も多く、学校説明会とは異なる内容が多い。

学校が受験生・保護者のために催す説明会には、学校の教育方針や校風がわかる本来の「学校説明会」と、授業や部活などの学校生活や学校の施設を見学できる「学校見学会」がある。学校見学会と表記する学校が多いが、オープンキャンパス、オープンスクール、学校公開などの名称で表記する学校もある。学校のいろいろなところを総合的に見学する学校見学会とは別に、学校生活の中でも重要な要素となる授業は、「授業見学会」や「公開授業」という名称で単独に行っている学校も多く、見学だけでなく体験できる「授業体験」を行う学校もある。これは部活についても同様で、クラブ見学会やクラブ体験ができる学校がある。その他には入試に関する見学会として、入試問題解説会や入試体験などがある。
入試をはじめ、入学後の生活は未知のもので、受験生・保護者の不安を見学や体験で解消しようという主旨だが、同時に学校の良い点を受験生・保護者にアピールしたいという学校側の意図もある。受験生・保護者としては、学校説明会を生徒募集のイベントという観点で考えるべきであろう。

見学や体験ができるので、入学後の学校生活を理解するには、説明会よりも見学会のほうがわかりやすい。学校生活を理解するために見学会に参加することは重要だが、主客転倒にならないよう注意すべきだ。まずは学校説明会に参加して、学校の根幹となっている教育方針と校風が我が子に合っているか、次に、学校や生徒・教師に活力はあるか、を確認すべきだ。学校説明会で志望校の候補として絞り込んだあとに、学校見学会に参加するという順序にすべきだろう。

志望校の候補を絞り込む前に学校見学会にお子さんを参加させると、親が行かせたくない学校を子どもが気に入ってしまうリスクがある。それだけではなく、親にとっても学校見学会だけで志望校を選定することは、学校の一部のプラス面だけを見て志望校を選定する事になり、入学後に我が子に合わないマイナス面が多いことがわかっても手遅れだ。また、中学校に在籍している保護者のアンケートでは、入学した学校の学校説明会には見学会を含めると3~4回は参加している保護者が多い。おそらく志望校の候補を絞ったあとでいくつかの見学会に参加するのだろう。
つまり、まず学校全体の活気や教育方針と校風のわかる説明会に参加して学校の根幹の部分が我が子に合っているかどうかで志望校の候補を絞り込んでから、志望校の候補となる学校の見学会に参加して、志望校を絞り込むべきだ。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

子育て・教育Q&A