2010年度入試で何が問われたか<理科>

(4)学校別分析

雙葉中学校

今年度から、試験時間が30分になりました(昨年度までは25分)。しかし記述量が大幅に増えたため、時間的に厳しいことには変わりがありません。自分の得意分野から取り組み、悩みすぎずに解き進んでいくようにしましょう。
合格に必要な得点率は70%、「合否を分けた1題」は大問3です。


<合否を分けた1題>

大問3「燃焼」についての問題



女子学院中学校

昨年度から思考問題が増えています。特にデータを読み取って考える問題や、過去の経験をもとにその場で考えなければならない問題が多く見られます。この対策はなかなか難しく、受験勉強だけで理科をカバーするのではなく、低学年の時から工作などをして経験を積んでおく必要があります。
合格に必要な得点率は75%、「合否を分けた1題」は大問5です。


<合否を分けた1題>

大問5「光」についての問題



フェリス女学院中学校

解答用紙が2枚(表裏)あり、記述量が多い出題でしたが、今年度は思考問題や計算問題が増加しました。来年度から理科の配点が100点から60点に変更され、国語・算数重視の配点になります。しかし、今年度の傾向が続くのであれば得点差が出やすい問題構成ですので、理科の比率は従来通りと考えてよいでしょう。
合格に必要な得点率は75%、合否を分けた1題は大問6です。


<合否を分けた1題>

大問6「水の三態・水の循環」についての問題



桜蔭中学校/p>

今年度は非常にバランスのよい出題でした。理科の実力がそのまま反映されるように作成されています。桜蔭を受験しない人にとっても理科の力を試すための最適の問題となるので、解いてみる価値があります。
合格に必要な得点率は85%、「合否を分けた1題」は大問4です。


<合否を分けた1題>

大問4「力学」についての問題



聖光学院中学校

聖光の理科は問題のページ数が非常に多いので、一度は実物と同じ形式の入試問題を利用してトレーニングをしておくとよいでしょう。
合格に必要な得点率は75%、「合否を分けた1題」は大問4です。


<合否を分けた1題>

大問4「熱」についての問題



駒場東邦中学校

2008年度は非常に解きにくく、2009年度は解きやすい出題でしたが、今年度はやや解きにくい問題でした。出題の特徴としては、非常に難しい一般教養と思考力問題が出題される、ということです。問題の難易がはっきりしているので、難しい問題で悩みすぎずに、先に簡単な問題を確実にとっていくことが、合格点をクリアするための鍵となります。
合格に必要な得点率は65%、「合否を分けた1題」は大問4です。


<合否を分けた1題>

大問4「電磁石と方位磁針」についての問題



栄光学園中学校

栄光の理科は過去3年、出題分野が1分野に限られていました。2007年度:生物(ソメイヨシノ)、2008年度:物理(モーターと乾電池)、2009年度:地学(火山)です。2010年度は植物・物理(イネ・ごはん)でした。同じ傾向が続いているので、受験生も覚悟して臨んだようです。
合格に必要な得点率は75%、「合否を分けた1題」は大問2です。


<合否を分けた1題>

大問2「水分量の変化」についての問題



麻布中学校

大問3と大問4がやや難しいので、全体的に例年よりもやや難度が上がりました。ここ数年、計算量が増えてきていますので、記述のトレーニングよりも計算のトレーニングを増やすほうが、得点が上がりやすいと思われます。問題文に沿って誘導的に思考させるように作成されています。また国語力も問われています。
合格に必要な得点率は70%、「合否を分けた1題」は大問4です。


<合否を分けた1題>

大問4「天体」についての問題



筑波大学附属駒場中学校

今年度は解く順番が重要でした。大問1・大問2・大問5・大問7を先に解き、大問6・大問3・大問4と取りかかれば、じっくり考えることができたでしょう。ただし、今回は大問1の植物に簡単な思考問題が入っていたので、これも後回しにしてもよいでしょう。大問4の(2)~(4)にどれだけの時間をかけられるかで、得点は変わってきます。
合格に必要な得点率は80%、「合否を分けた1題」は大問4です。


<合否を分けた1題>

大問4「てこ」についての問題



開成中学校

今年度は非常に易しい出題でした。計算が1問もありませんでした。来年度は難しくなると思われますが、4科目に弱点がないバランスのよい対策をして、どのような出題傾向に変化しても対応できるようにしておきましょう。
合格に必要な得点率は90%、「合否を分けた1題」は大問4です。大問4は国語力が要求される問題です。


<合否を分けた1題>

大問4「物質の性質」についての問題



(5)まとめ

問題のレベルに関しては、男子校が易化、女子校が難化の傾向にあります。特に女子校に関しては、昨年度から思考問題の割合が増加しています。また、全体的に市販されている参考書や問題集に載っているような知識問題が減少し、一般教養の内容が増加してきています。

3~4年生の間は、参考書や問題集は必要ないので、「図鑑」をよく見るようにしてください。動物の飼育や植物の栽培をしたり、興味のある実験を行ったりするとよいでしょう。
志望校によって、5年生か6年生で知識を系統立てて一気に整理すると効果的です。
計算分野は、比例、反比例、比、相似を習得したあとにまわしても十分間に合いますので、あせらずに時期が来たときにじっくりと取り組みましょう。

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