【回答:中曽根陽子】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その3>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。


【【回答:中曽根陽子】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その3>

携帯電話を持たせるか迷っています

兄と同じ学校に行きたいと言っていますが…

塾の宿題が多くて、睡眠不足が心配です

携帯電話を持たせるか迷っています

来年から中学受験のため塾に通わせる予定ですが、娘のなかでは塾=携帯電話というようにセットになっています。すでに塾に行っている友達は持っているようです。防犯のためにもGPS機能などがついた携帯なら安心だと思いますが、出会い系サイトの犯罪を考えると持たせるべきか迷っています。何かアドバイスをお願いします。
警視庁の調査によると、小学生の3割が携帯電話を持っています。おっしゃるように、塾に通いだすのをきっかけに、防犯のために携帯電話を持たせるというご家庭は増えているようです。

何かと物騒な世の中ですから、お子さんが一人で塾に通う場合などには、持たせたほうが安心だという考えも、理解できます。

しかし、ご心配のように携帯は便利なツールであると同時に、弊害もあるツールであることを親は理解していなければなりません。

子どもたちは、友達との連絡に通話よりメールを使うことが多いのですが、このやりとりで友達同士のトラブルに発展したり、有害なサイトにアクセスして犯罪に巻き込まれたりしてしまう可能性もあります。実際、出会い系サイトだけでなく、学校裏サイトなどでひぼう中傷が書き込まれ、大きな社会問題にもなっています。携帯電話はインターネットへの入り口でもあるのです。

お子さんに携帯を与えるかどうかは、最終的にはご家庭の判断になりますが、与える場合には、こうした有害サイトにアクセスできない契約(携帯会社によって、名称や契約内容は異なる)をするなど、トラブルを未然に防ぐ手立てをすることは、親の責任でしょう。また、お子さんにもこうした現実をよく話して、例えば塾に行くときだけ使用して家では使わないなど、“わが家の使い方のルール”を決めることが必要でしょう。

いずれにしても、一方的に決めるのではなく、お子さんが納得できるように、きちんと話し合うようにしたほうがよいと思います。

兄と同じ学校に行きたいと言っていますが…

兄が通っている中学に行きたいと言っていますが、その学校は弟の学力にも個性にも合っていないように感じています。あまりはっきり言うと、弟の気持ちを傷つけてしまうけれど、現実は直視する必要はあるし、どのように働きかければいいのか困っています。今4年生ですが、まだ志望校をはっきりさせなくてもいいのでしょうか?
お兄さんが通っている学校にあこがれている弟さんの気持ちは頭ごなしに否定したくないですね。
一方で、親としての勘も侮れません。
学力の面で可能性が低いということなら、今はまだ決めつけずに、そのあこがれをバネにしてがんばって勉強させたらいいと思います。
個性が合っていないというのは、具体的にどういうことかわかりませんが、もし弟さんに合っていそうな学校が他に考えられるのであれば、お子さんと一緒に文化祭や学校説明会に足を運ばれたらいいと思います。
それでも、どうしても弟さんがお兄さんの学校を志望するというのであれば、その意思を尊重してあげて、併願校の対策を立てたらいいのではないでしょうか。
いずれにしても、まだ4年生ですからそんなに志望校をはっきりと決めてしまう必要はないと思います。

塾の宿題が多くて、睡眠不足が心配です

小5の女の子です。塾の宿題をこなすために、夜遅くまで起きているようになり気になっています。
途中まででもやめさせようとするのですが、本人は頑として聞き入れません。このままだと睡眠不足が心配です。
また、今からこんなにハードだと、6年生になったらさらに遅くまで勉強することになるのでしょうか、それも心配です。本人に、全部やらなくてもいいと認識させるにはどうしたらいいでしょうか。
塾にもよりますが、5年生になると急に負担が増える場合が多いようです。生活もそれまでとは変わっていくので、お母さまとしては体を壊さないかと心配ですね。
お子さんは、宿題をやらないで塾に行くのがイヤなのだと思います。
とてもまじめで、頑張り屋さんですね。そのことはほめてあげたいです。
一方で、今からこんなに大変で大丈夫なのかというお母さまの心配ももっともです。
睡眠時間をけずらなくてはこなせず、翌日に影響が出ているのなら何か対応を考えたほうがいいでしょう。
人によって必要な睡眠時間は異なりますが、確かに成長期のお子さんが夜更かしをするのはよくありません。実際、睡眠時間をきちんと取ったほうが成績もいいという研究結果もあります。
お子さんにも、そのことを教えてあげて、遅くても○○時までには寝るというように、時間を決めましょう。
一方で、宿題をきちんとやりたいというお子さんの気持ちも尊重してあげなくてはいけません。
朝は今までより30分でも早く起きて、勉強することにしてはどうでしょう。
お母さまが宿題の内容をチェックして、スケジュールを立ててあげてもいいかもしれません。
それでもこなせないくらいの量になっているのなら、塾の先生に相談して、先生に少し減らしてもらってもいいと思います。

プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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